「売ったあとも、今の家にずっと住める」とは限りません。国土交通省の調査では、リースバック事業者が結ぶ賃貸の契約は80%が定期借家で、期間が来れば終わる契約です。
お金の面では、1,200万円で売って家賃が月10万円なら、10年で家賃の合計が売った値段に並びます。国交省のガイドブックには、700万円で売って月約15万円を払っていた事例が載っています。4年たたずに並ぶ計算です。
この記事でわかること
- ✓ 家賃の合計が売却額に並ぶ年数=売却額÷(月の家賃×12)。1,200万円・月10万円なら10年
- ✓ 事業者39社の半数が「買取価格は周辺相場の7割以下」と答えた(2020年度の国交省調査)
- ✓ 2026年10月1日から、買戻し・契約期間・定期借家かどうかを業者が故意に告げないと宅建業法違反
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家賃が売却額を超える年
リースバックは、家を売って現金を受け取り、そのまま家賃を払って住み続ける取引です。家賃は、持ち主になった事業者が払う固定資産税や修繕費も踏まえて決まる、と国交省のガイドブックは説明しています。
国民生活センターが2026年8月に出した注意喚起には、70歳代の女性の相談が載っています。6年前に築40年のマンションを約1,000万円で売り、家賃7万円で住んでいたところ、約10万円への値上げを求められ、応じないなら退去と言われたという内容です。

値上げの前なら11.9年、後なら8.3年です。同じ家に住んでいても、家賃が上がれば並ぶ時期は3年以上早まります。国民生活センターも、家賃の総額が売却金額を上回る場合があると書いています。
| 売った値段 | 月7万円 | 月10万円 | 月15万円 |
|---|---|---|---|
| 800万円 | 9.5年 | 6.7年 | 4.4年 |
| 1,200万円 | 14.3年 | 10.0年 | 6.7年 |
| 2,000万円 | 23.8年 | 16.7年 | 11.1年 |
読者
売った値段が相場より安くても、住み続けられるなら同じことでは?
事業者39社の半数は、買取価格を周辺相場の7割以下と答えています。相場3,000万円の家なら2,100万円以下です。安く売って、家賃で払い続ける形になります
住み続けられない契約
定期借家は、期間が満了すると契約が終わります。続けて住むには再契約が必要で、貸す側が断れば退去です。国交省のガイドブックは、事業者が「再契約の予定」を口で言っているだけの場合、家が第三者に売られ、新しい持ち主に再契約を断られることがあると注意しています。
更新のある普通借家なら、貸す側からの解約には正当な理由が要ります。契約書の表題と条文で、どちらの契約なのかを見ます。

民法の買戻し特約は、期間が最長10年です。賃貸の期間が10年を超えると、その後は特約で買い戻せなくなることがあります。
買い戻しの値段
国交省のガイドブックは、買い戻しは「当然の権利」ではないと書いています。「いつまでに」「いくらで」買い戻せるかが契約書にあって、初めて約束になります。
国民生活センターの同じ注意喚起には、1年前に200万円で売り、2年の定期借家で家賃2万円で住んでいた70歳代の男性の相談があります。買い戻しを申し出ると、提示された価格は1,000万円でした。売った値段の5倍です。
Yahoo!知恵袋にも「自宅を買い戻し特例が付いた、リースバックで売却しました。来年早々に買い戻す」という書き出しの質問があります。買い戻すつもりなら、売る前に買戻しの価格の決め方まで書面で確認します。
2026年10月からの新ルール
国交省は「住宅のリースバック取引における宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」を2026年10月1日に施行しました。消費生活センターなどへの相談は、2022年度116件、2023年度227件、2024年度242件、2025年度214件と高い水準が続いています。
ガイドラインは、売買だけでなく賃貸借の内容も、宅建業者が勧誘のときに故意に告げてはいけない事実に当たると明確にしました。違反すると、指示や業務停止、免許取消しの処分の対象です。
| 区分 | 告げずにおくと違反になる主な事項 |
|---|---|
| 売買 | 買戻し特約の有無と内容、契約解除と違約金 |
| 賃貸借 | 家賃の額と払い方、契約期間と更新、定期借家かどうか |
| 賃貸借 | 修繕費をどちらが持つか、家が第三者に売られる可能性 |
あわせて「対応することが望ましい事項」として、売買価格と家賃の算定根拠と、売買代金が家賃の何か月分にあたるかを示すよう求めています。最初の節で計算した年数は、業者に出してもらう数字そのものです。
宅建業者に自宅を売った場合、クーリング・オフはできません。国民生活センターの2026年10月の事例では、1,200万円で売った80歳代の人が解約を申し入れると、手付金50万円の返金と違約金50万円を求められました。
売る前に比べるもの
国交省のガイドブックは、リースバックの前に、普通に売る方法や、家を担保にお金を借りるリバースモーゲージ、売ったあとの引っ越しの時期を調整する方法と比べるよう勧めています。比べるには、まず家の相場が要ります。
私は、リースバックを「ずっと住み続けるための契約」ではなく、「数年後に引っ越すまでの資金づくり」と考えたほうが、家賃と売却額の釣り合いを判断しやすいと考えています。何年住むかを先に決めれば、上の表で損得の線が引けます。
出典(確認日:2026年10月17日)
- 国土交通省 住宅のリースバックに関するガイドブック・検討会での検討内容について
- 国土交通省 住宅のリースバック取引における宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方・概要
- 国民生活センター 自宅の「リースバック」トラブルにご注意!(2026年8月4日)
- 国民生活センター 見守り新鮮情報「リースバック契約は慎重に」
- Yahoo!知恵袋の質問
年数は売却額を家賃の年額で割った単純計算です。更新料・家賃の改定・税金は含めていません。
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