🗨️「古書店に大量注文って、誰が買ってるの?」
注文主は分かっていません。分かっているのは、複数のアカウントから別々の店に注文が入っているのに、送り先がどれも岡山県の同じ物流センターだったことです。業界内では生成AIの学習データを集める目的ではないか、という見方が広がっています。
[IT・ネット] この記事の要点
2026年9月22日 発表
- オンラインで古書を販売している古書店
- 実家の片付けや引っ越しで本をまとめて手放そうとしている人
- 絶版の専門書や地域資料を持っている人
8月ごろから、注文の入り方がおかしい
日本テレビが9月22日の午前10時30分に配信した独自取材によると、全国のオンライン古書店で、2026年8月ごろから書籍の大量注文が続いています。取材に応じた古書店の言葉がそのまま載っていました。
「1日100冊売れる」「売上が5倍になった日もある」
注文が集まっているのは、小説でもコミックでもありません。東京都内の古書店は、売れた本のジャンルを「脈絡がない」と表現しています。哲学、歴史、医学、法律。そこに「江戸時代の生活・文化」や「30年前の政界の話」の本まで混ざる、という説明でした。
古本が売れてるなら、お店は儲かっていいことでは?
売れたこと自体は喜ばしいはずなのですが、取材に答えた古書店の一つは「売上が上がるのはうれしいが、本の価値は今後どうなるのか。複雑な気持ちもある」と話しています。買われた本がどうなるかに、理由があります。
記事で扱った5冊のうち、最初に買うならこの3冊
5冊すべて買う必要はありません。自分がどこで止まっているかで、読む1冊が変わります。
最初の1円までがいちばん短い本です。第1章がLINEスタンプ作りから始まるので、何から触ればいいか分からずに止まっている段階なら、ここから手が動きます。巻末の20ジャンル一覧がそのままアイデア帳になります。
自分の経験や知識を有料記事にして売る型を、集客から書き方まで通しで扱っています。AIの章は8章のうち1章だけで、残りは「何を誰に売るか」の設計です。売る場所をnoteに決めた人向け。
AIの話は出てきません。2023年刊で、売るものを決める・商品にする・集客する・売る、という土台だけを会話形式で扱います。AIの手順書を読んでも手が止まる人は、たいていここが空いています。
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送り先が、どの店も同じだった
報道で最も具体的な事実がここです。複数のアカウントからそれぞれの店舗に注文が入っているのに、古本の送り先はいずれも岡山県にある物流センターだったという共通点が確認されています。
1,000冊以上を売った関東の古書店の店主(50代男性)は、注文の間隔が等しいことから「機械的にシステムを組んで買っているのでないか」と話しています。東京都古書籍商業協同組合も、そういう動きは把握しており、業界内ではAIの学習目的ではないかと話題になっている、と日本テレビの取材に説明しました。
送り先の物流センターを運営する日本企業は「個別の取引については回答を控える」として、目的も取引先も明らかにしていません。
| 分かっていること | まだ分かっていないこと |
|---|---|
| 8月ごろから全国のオンライン古書店に大量注文が続いている | 注文主が誰なのか |
| 送り先はいずれも岡山県の物流センター | その物流センターの所在地と運営者の目的 |
| 売れているのは哲学・歴史・医学・法律などの専門書 | 買われた本がどう使われたのか |
| 西日本の古書店には海外企業から「数万冊を注文できるか」というメールが届いた | その海外企業の名前 |
つまり「AI学習か」の「か」は、まだ外せません。ここを断定している報道は、9月22日時点でありません。
そもそもAIは何を読んで賢くなっているのか
大量注文の話に驚く前に、AIが何を材料にしているのかを1本見ておくと、あとの話が早く入ります。
「日本の本 50トン」の輸出記録
日本テレビは、輸出入データを分析するツール「Sayari(セイヤリ)」を使って追跡しています。米国のAI企業アンソロピックが訴えられた裁判資料に日本の大手出版取次の名前があり、そのグループ会社から米国向けに、昨年以降「JAPANESE BOOKS(日本の書籍)」として計50トン以上が輸出された記録が確認できた、という内容です。
重いハードカバー(1冊500グラム換算)だと仮定すると、およそ10万冊分にあたります。この日本企業は個別取引にはコメントせず、「当グループにおいて、AI企業の学習向け用途と認識したうえで販売した事実はございません」と回答しています。
買われた本は、本には戻らない
ここが、古書店が「複雑な気持ち」と言った理由です。米国のアンソロピックは「世界中のすべての書籍を破壊的にスキャンする」と計画し、本を集め、裁断し、スキャンし、データにしていたとされています。米国メディア「404 Media(フォーオーフォー・メディア)」は、Amazon(アマゾン)も紙の本を倉庫に集めて裁断・スキャンし、廃棄している実態を報じており、そこには日本の本も含まれていたとされます。
古本屋に並んでいた1冊が売れると、ふつうは誰かの本棚に移ります。今回の流れでは、背表紙を切り落とされてスキャナを通り、紙は捨てられます。中身はデータとして残っても、その本は二度と誰かの手に渡りません。
それは違法ではないのか
早稲田大学の上野達弘教授(知的財産法)は、いまの日本の著作権法では「AI学習(情報解析)についての著作物利用は適法であると考えられる」と説明しています。ただし「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」は例外とされていて、上野教授によると、そこが立場によって議論になっているとのことです。
法律の側の正本は、文化庁の文化審議会著作権分科会法制度小委員会が令和6年3月15日にまとめた「AIと著作権に関する考え方について」です。2026年9月時点でこれが最新で、著作権法30条の4の条文は改正されていません。「2026年に法改正された」と書いている解説を見かけますが、そうではありません。
出版の側は納得していない
適法とされていることと、業界が納得していることは別です。日本雑誌協会などは2023年に共同声明を出し、学習利用の価値が権利者に還元されないまま大量のコンテンツが生成されることで創作の機会が失われる、という点を問題にしました。2025年には出版社や日本漫画家協会らが連名で、権利者に必要な許諾を得るなどの対応を求める声明を公表しています。
いっぽうで、古書業界の団体からは公式の声明が出ていません。東京都古書籍商業協同組合も「日本の古本屋」も、9月22日時点でこの件についての告知を出しておらず、取材に答えているだけです。
本を手放す前に、一度だけ考えること
実家の片付けや引っ越しで本を処分するとき、まとめてオンラインの古書店へ流すのはふつうの手です。今回の話は、その先がどうなるかを決められないという話でもあります。
- 売った本の行き先は、売り手にも古書店にも分かりません
- 絶版の専門書や地域資料は、1冊しか残っていないことがあります
- 手放す前に、図書館や大学への寄贈を受け付けているかを調べる道もあります
そのうえで売るのは、もちろん自由です。ただ「売れてよかった」で終わらせるかどうかを、一度だけ自分で選べる話になった、というのが今回のニュースの中身です。
生活・仕事にどう効くか
- 古書店の売上:「1日100冊売れる」「売上が5倍になった日もある」という声が出ている。ただし何冊が誰に渡ったのかは店側にも分からない。
- 売った本のゆくえ:米国では本を裁断・スキャンしてデータ化し、紙を廃棄する手法が裁判資料や報道で明らかになっている。本そのものは戻らない。
- 法律の扱い:文化庁の考え方は令和6年3月15日のものが最新で、著作権法30条の4は改正されていない。専門家は現行法では適法と考えられると説明している。
結局どうすればよいか
- 本をまとめて売る前に、絶版の専門書や地域資料が混ざっていないかを見る
- 残したい本があるなら、図書館や大学が寄贈を受け付けているかを先に調べる
- 「AI学習が違法になった」という解説を見たら、文化庁の令和6年3月15日の資料で確かめる
公式出典
- 日テレNEWS NNN「【独自】古書店で「謎の大量注文」相次ぐ……AI学習か 米国向け「日本の本 50トン」の輸出記録も」(2026年9月22日発表)
- 文化庁 文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日発表)
- 文化庁「AIと著作権について」(2026年9月22日発表)
更新履歴
- 2026年9月22日 初版を公開
※本記事は2026年9月22日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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