改修すると家賃が上がる仕組みが、令和9年3月から始まる
いまは、リノベーションを終えた住戸と終えていない住戸で使用料が同じです。財務省はこれを不公平だとして、省令を改正します。施行は令和9年3月1日の予定です。
やり方は、経過年数の始期を後ろにずらして「新しい建物とみなす」というものです。
| 改修の種類 | 経過年数の始期 | 試算例(地方部・築50年) |
|---|---|---|
| 改修なし | 建築時のまま | 月額9,384円 |
| 水回り更新 | 建築後15年経過日とみなす | 月額14,421円 |
| スケルトン改修 | 建築後25年経過日とみなす | 月額17,526円 |
| (参考)新築とみなした場合 | — | 月額33,810円 |
試算例は鉄筋コンクリート造・規格c(55〜70平方メートル)の場合です。水回りを直すだけで月5,037円、スケルトン改修なら月8,142円上がる計算になります。
この「水回り更新は15年ぶん、躯体からの改修は25年ぶん、建物を若返らせたとみなす」という区分は、民間の賃貸や自宅の改修を考えるときの目安としても使えます。国が制度として採用している線引きだからです。
使用料は3回に分けて引き上げ済み。23区の水準はこうなっている
宿舎の使用料は国家公務員宿舎法第15条で、標準的な建設費用の償却額・修繕費・地代・火災保険料に相当する額をもとに、政令で定める算定方法で決めると定められています。5年経過ごとに建築費相当部分を減額する調整も入ります。
平成25年12月に見直しが決まり、平成26年4月・28年4月・30年4月の3回に分けて、3分の1ずつ引き上げられました。見直し時に示された試算値(平成30年4月以降・月額)はこうなっています。
| 区分 | 東京23区(新築〜15年) | 東京23区(築26年) | 地方部(新築〜15年) |
|---|---|---|---|
| 独身用 | 16,700円 | 13,400円 | 8,600円 |
| 世帯用(係長・補佐) | 60,000円 | 48,100円 | 31,100円 |
| 世帯用(幹部) | 139,400円 | 116,300円 | 59,500円 |
| 駐車場(平面) | 15,400円 | — | 3,300円 |
地方部は人口30万人未満の市町村(県庁所在地を除く)です。この引き上げで、宿舎関係の歳出約540億円に対して、使用料収入は460億円程度まで届く見込みとされました。従来の算定方式では300億円程度だったので、約1.5倍です。
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全国では余っている一方、東京23区は3,090戸足りない
宿舎の必要戸数は、令和7年度の調査で全国約15.0万戸。設置戸数15万9,446戸に対して、数のうえでは足りています。
ところが宿舎が設置されている1,015市町村の内訳を見ると、供給不足が70市町村(7%)、供給過多が91市町村(9%)、需給が均衡しているのが854市町村(84%)です。不足がいちばん大きいのは東京23区で3,090戸。以下、宝塚市459戸、那覇市291戸、札幌市267戸、熊本市261戸と続きます。
全国の合計では足りているのに、必要な場所では足りていない。これは公務員宿舎に限った話ではなく、空き家が増えている一方で都心の賃貸が取り合いになっている、いまの住宅市場そのものと同じ形をしています。数の問題ではなく、置き場所の問題です。
報道が伝えた「公開された宿舎」の場所は食い違っている
今回の公開について、財務省や関東財務局の報道発表は確認できませんでした。報道陣への公開であって、リリースを出す形ではなかったとみられます。
そのため、公開された宿舎の所在地は報じた社によって違っています。世田谷区とする社と、目黒区とする社があります。一次情報での確認が取れないので、この記事では区名を断定しません。
報道が共通して伝えているのは、改修前は浴室に換気扇がなく台所に給湯がなかったこと、コンセントの増設と風呂・洗面・台所の改修を行ったこと、家賃が月額4万円弱から4万円台半ばへ約5,000円上がることです。
生活・仕事にどう効くか
- 改修と家賃の関係:財務省は、リノベーション実施住戸の使用料を上げる省令改正を令和9年3月1日施行の予定で進めている。試算例では地方部の築50年の住戸が、未改修の月9,384円から、水回り改修で14,421円、スケルトン改修で17,526円になる
- 老朽化のスピード:築50年超は23,278戸から10年で53,782戸へ2.3倍になる見込み。5年で1,200戸のペースでは追いつかない計算になる
結局どうすればよいか
- 財務省の国有財産レポートと国有財産分科会の資料で、戸数・築年数・使用料の数字を直接確認する
- 報道が伝える「公開された宿舎の場所」は社によって食い違っているので、区名は一次情報が出るまで確定しない
- 自宅の水回り改修を考えるときは、国が使っている「水回り更新は築15年、スケルトン改修は築25年とみなす」という区分が目安になる
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- 住所まるごとチェック — 住所の表記ゆれ・実在をまとめて確認する
公式出典
- 財務省 国有財産レポート 令和8年版 第3章(2026年1月1日発表)
- 財政制度等審議会 第67回国有財産分科会 資料3「国家公務員宿舎の整備等」(令和8年2月27日)(2026年2月27日発表)
- 財政制度等審議会 国有財産分科会 資料4「国家公務員宿舎の現状と課題」(令和7年6月17日)(2025年6月17日発表)
- 財務省「国家公務員宿舎使用料の見直しについて」(平成25年12月12日)(2013年12月12日発表)
更新履歴
- 2026年9月10日 初版を公開
※本記事は2026年9月10日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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