1997年から2016年まで、放火は20年連続で1位だった
いまの順位表からは想像しにくいのですが、消防白書は平成29年版で「放火は20年連続で出火原因の第1位」と書いていました。平成9年(1997年)から平成28年(2016年)までです。
平成29年(2017年)にたばこが上回り、以後2025年まで9年連続でたばこが1位です。
| 年 | 全出火件数 | 放火火災(放火+放火の疑い) | 全火災に占める割合 |
|---|---|---|---|
| 平成20年(2008) | ― | 10,776件 | 20.6% |
| 平成26年(2014) | 43,741件 | 8,038件 | 18.4% |
| 平成28年(2016) | 36,831件 | 5,814件 | 15.8% |
| 令和2年(2020) | 34,691件 | 4,052件 | 11.7% |
| 令和6年(2024) | 37,141件 | 3,904件 | 10.5% |
| 令和7年(2025・概数) | 40,783件 | 4,041件 | 9.9% |
2008年の10,776件から2025年の4,041件へ、約20年で3分の1近くまで減りました。全火災に占める割合も20.6%から9.9%へ下がっています。放火が5位になったのは順位の入れ替わりだけでなく、件数そのものが大きく減ったからです。
放火が起きている場所は、家の中よりも屋外が多い
令和7年の放火火災を出火箇所で分けると、上位はこうなっています。
| 出火箇所 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 空地・河川敷・田畑等 | 1,144件 | 28.3% |
| 公園 | 505件 | 12.5% |
| 住宅の居室 | 390件 | 9.7% |
いちばん多いのは空地・河川敷・田畑で、住宅の居室の3倍近くあります。令和6年の集計では、発火源はライターが1,090件で最多、時間帯は16時台が最も多くなっていました。
ここから住まいの側でできることは1つに絞られます。家の外に、火がつくものを置いたままにしないことです。段ボール、新聞の束、ごみ袋、灯油缶、物置の脇に立てかけた古い畳。放火する側から見れば、これらは屋内に入らずに火をつけられる材料です。
火災警報器があるかないかで、死者も損害額もほぼ半分になる
消防庁が令和2年から令和5年の4年間を集計した数字です。
| 指標 | 警報器なし | 警報器あり |
|---|---|---|
| 住宅火災100件あたりの死者数 | 12.3人 | 6.2人 |
| 火災1件あたりの損害額 | 3,446千円 | 1,744千円 |
| 火災1件あたりの焼損床面積 | 65.5平方メートル | 27.4平方メートル |
消防庁の要約は「死者数及び損害額は概ね半減、焼損床面積は約6割減」です。
設置率は令和7年6月1日時点で全国84.9%。ただし条例で決められた場所すべてに付いている「条例適合率」は65.8%にとどまります。都道府県で最も高いのは福井の94.0%、最も低いのは沖縄の65.4%です。
住宅火災で亡くなる人の4人に3人は65歳以上
令和7年の概数では、住宅火災による死者(放火自殺者等を除く)は970人。うち65歳以上が730人で75.3%です。令和6年の確定値も1,030人中779人で75.6%と、ほぼ同じ比率でした。
この割合は平成17年の56.6%から一貫して上がり続けています。81歳以上では、人口10万人あたりの住宅火災死者数が全年齢平均の4.0倍です(令和6年)。逃げ遅れが403人(令和7年)で、着火物は寝具類が最も多くなっています。
実家に高齢の親が1人で住んでいる場合、確認する順番は「警報器が付いているか」ではなく「押したら鳴るか」からになります。10年前に付けた本体は、鳴らないまま付いているかもしれません。
生活・仕事にどう効くか
- 家のまわりの片づけ:放火火災の出火箇所は空地・河川敷・田畑等が1,144件で28.3%、公園505件、住宅の居室390件。屋外の燃えるものが最も多い
- 火災警報器の有無:消防庁の集計(令和2〜5年の4年間)で、住宅火災100件あたりの死者は警報器なし12.3人に対しありは6.2人。損害額は344.6万円と174.4万円で、どちらも約半分
結局どうすればよいか
- 家の外に段ボール・新聞・ごみ袋・灯油缶を置いたままにしない(放火火災の出火箇所は屋外が最多)
- 住宅用火災警報器を10年以上使っているなら、本体ごと交換する目安の時期にあたる
- 警報器を押して作動確認をする。直近の任意調査では約3.5%に電池切れ・故障が見つかっている
公式出典
- 総務省消防庁 令和7年(1月〜12月)における火災の状況(概数)(2026年5月28日発表)
- 総務省消防庁 令和7年版 消防白書 第1章 第1節「4.出火原因」(2026年1月1日発表)
- 総務省消防庁 令和7年版 消防白書「1.住宅用火災警報器の設置の現況」(2026年1月1日発表)
- 総務省消防庁 住宅用火災警報器の設置率等の調査結果(令和7年6月1日時点)(2026年8月1日発表)
更新履歴
- 2026年9月10日 初版を公開
※本記事は2026年9月10日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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