「震源から遠いマンションなら安心」とは言い切れません。長周期地震動は遠くまで伝わりやすく、高層階を大きく長く揺らすことがあります。確認するのは震度だけでなく、建物と家具の揺れ方です。
高層階が長く揺れる理由

気象庁は、揺れが1往復する時間が長い大きな揺れを長周期地震動と説明しています。震源から数百キロ離れても伝わり、高層ビルでは揺れが長く続くことがあります。
建物にはそれぞれ揺れやすい周期があります。地震の波と周期が重なると揺れが増幅します。気象庁の解説では、一般に低層階より高層階の揺れが大きくなる傾向を示しています。ただし、階数だけで危険度を決めることはできません。
同じ街の建物でも、揺れやすい周期は高さや構造で違います。「上の階ほど必ず同じ割合で揺れる」という単純な関係でもありません。いま住む建物について知りたい場合は、管理会社や管理組合に建物の地震対策や設備の点検方法を聞くほうが、階数だけから推測するより実用的です。
「マンションの何階から危険」という一律の境界はありません。構造や高さ、地震の波の周期、住戸の家具配置で変わります。
家の中の家具を固定する用品
ポール式を使う場合は、天井の強度と家具の形状を先に確認し、足元のマットなどを組み合わせます。製品の対応寸法も確かめてください。
東京消防庁の実験では、L型金具で壁に直接ネジ止めするのが最も効果が高いとされています。賃貸で壁に穴を開けられない部屋での代わりがこれです。家具の両端の側板部を、できるだけ奥で突っ張ります。天井側にも強度が要ります。
突っ張り棒だけだと効きが落ちます。同じ資料が、ポール式にはストッパー式や粘着マット式の併用をすすめています。マット単独でも効果は小さいので、上の棒と2つで1組と考えてください。
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震度だけでは分からない
地面付近で発表される震度は、高層階のゆっくりした大きな揺れを十分に表さない場合があります。そのため気象庁は、長周期地震動階級を1〜4で示しています。震度が小さめでも、高層階の室内では家具が動く可能性があります。
この階級は地域の観測情報です。自分の住戸が必ず同じ強さで揺れるという意味ではありません。住む建物の構造や管理会社からの案内と合わせて確認します。
気象庁の階級は1から4まであります。階級が上がるにつれ、室内の物の落下、家具の移動、立っていることの難しさが増します。ただし、観測点の値をそのまま各住戸の被害予測に変換することはできません。ニュースで震度だけを見て終わらず、長周期地震動の情報も一緒に見るのがポイントです。
東日本大震災の事例
2011年の東日本大震災では、震源から離れた東京や大阪の高層建物にも長周期地震動が伝わりました。気象庁の資料は、高層階で家具や什器の転倒・移動が生じた事例を紹介しています。
これは遠方の高層建物で起きた被害の一場面です。東日本大震災全体の被害を長周期地震動だけで説明するものではありません。直下型地震と横揺れの用語の違いは、元の記事で整理しています。
遠方の高層階という例が示すのは、「近くの地震だけを想定する」備えでは足りないということです。震源との距離と、室内で体験する揺れの大きさは一致しません。2011年の事例を自分の部屋に置き換えるなら、倒れそうな棚だけでなく、動きそうなワゴンやテレビ台も見てください。
家具の移動に備える

高層階では、背の高い家具が倒れるだけでなく、キャスター付き家具や重い物が動くことも想定します。寝床や出入口に倒れ込む家具を置かず、家具を固定し、棚の上に重い物を置かないことから始めます。
最初に寝室を見て、夜間に倒れてくる家具がないか確認します。次に玄関までの通路を歩き、家具が滑ったり倒れたりしたときに扉をふさがないかを見ます。キャスターが付いた家具は、通常時にストッパーを使うだけでなく、製品に合う移動防止策も検討します。
東京消防庁の家具転倒防止ハンドブックには、固定器具の種類と取り付け方法が載っています。賃貸住宅で壁に穴を開けにくい場合は、穴を開けない家具対策も確認できます。
長く揺れた後は、床の破片や動いた家具に注意し、建物の管理者や自治体の案内を確認してください。エレベーターを使う前に安全確認も必要です。
主な出典
2026年9月30日確認。図は説明用の模式図です。
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