学区を全校の人数だけで比べると、850人の学校を避けるために土地代を350万円多く払う、という選び方になりかねません。神戸市で児童が850人を超える小学校は10校ありますが、今後の住宅供給で教室が足りなくなることを市が心配して要注意地区に指定しているのは、そのうち5校だけです。
この記事でわかること
- ✓ 神戸市は、住宅開発で教室不足が心配な18の小学校区を「要注意地区」として公表している
- ✓ 児童850人以上の10校のうち、要注意地区は5校。1,000人を超えても指定のない学校がある
- ✓ 5年間で市全体の児童は10.8%減ったが、要注意の18校は中央値で3.2%しか減っていない
850人の学区か400人の学区か 土地代350万円の差で迷う相談
Yahoo!知恵袋に2024年2月、土地を選んでいる人からこんな相談が出ました。
土地選びをしていて、2つの学区で迷っています。
A学区の小学校は全校850人ほどで、1学年4〜5クラス。B学区は400人ほどで、1学年2〜3クラス。坪単価はBのほうが6万円高く、60坪で考えると土地代は350万円ほど違います。夫婦ともA学区にするつもりでいながら、マンモス校には良いイメージが持てない、という相談でした。
回答は9件。ベストアンサーは「マンモスだからいい・悪いというより、地域性のほうが大事かなと思います。」でした。子どもの性格しだい、という回答もあります。その中で1件だけ、大きい学校を2種類に分けた回答がありました。
大規模マンションがたくさん建って、元々規模の小さかった学校に子供が押し寄せた結果一時的にマンモス校になっている…等なら嫌だけど、常に4、5クラスあるような地域の学校なら大きくていいね、という感じですね。
この回答者の子の学校は、人数が急に増えて教室や設備の整備が追いついていないそうです。ただ、目の前の学校がどちらの種類なのかを見分ける方法は、9件のどこにも書かれていませんでした。
読者
全校850人って、やっぱり多すぎますか
人数だけでは決まりません。見るのは、その人数がこれからも増え続けるかどうかです。神戸市はそれを校区ごとに公表しています。
神戸市は教室が足りなくなりそうな校区を公表している
神戸市教育委員会は、住宅開発との関係で2種類の地区を決めています。1つめは受入困難地区です。
具体的には、神戸市としてとりうる対策(暫定校舎の設置や隣接校との校区調整など)を講じても、今後6年以内に教室不足が生じると予測される地区です。
受入困難地区は、2026年9月時点で「現在、該当する地区はありません」となっています。もう1つが要注意地区で、市のページは次のように定めています。
「要注意地区」とは、今後の住宅供給により受入困難地区になることが懸念される地区のことをいいます。
指定されているのは18の小学校区です。
- 東灘区: 本山第一
- 灘区: 高羽・西郷・西灘・稗田
- 中央区: 中央・こうべ・山の手・湊
- 兵庫区: 神戸祇園/北区: 藤原台
- 須磨区: 北須磨・妙法寺
- 垂水区: 高丸・垂水・霞ケ丘・舞多聞・東舞子(長田区・西区はなし)
この地区で住宅を開発する事業者には、市が協力を求めることがあります。例として挙がっているのは、分譲を段階的に行うこと、マンションのファミリー向け戸数を見直すこと、そして学校や校区の状況を購入者や入居者に前もって十分に説明することです。
指定は毎年のように動きます。2025年4月には垂水区の東舞子小学校区が加わり、中央区の宮本小学校区と西区の出合小学校区が外れました。区ごとの地図と対象の町名は、市のページで最新のものを見てください。
児童850人を超える小学校は10校 要注意地区はその半分
では、人数が多い学校ほど要注意地区なのか。神戸市が公表している学校別の児童数(2026年5月1日)で、市立小学校162校を並べました。

850人以上は10校で、要注意地区は舞多聞・霞ケ丘・高羽・東舞子・こうべの5校です。東灘区の本山第二(1,074人)と御影北(1,046人)は1,000人を超えていますが、指定はありません。
反対に、要注意地区18校のうち6校は、学級数が法令の標準の範囲に収まっています。学校教育法施行規則41条は「小学校の学級数は、十二学級以上十八学級以下を標準とする。」と定めていて、西郷・稗田(17学級)、垂水(15学級)、西灘・高丸(13学級)、北須磨(12学級)がこの中に入ります。人数が多いことと、教室が足りなくなりそうなことは、別の物差しです。

読者
じゃあ、今850人でも指定がなければ安心ですか
今の指定がないなら、少なくとも市は、住宅が増えて教室が足りなくなるとは見ていない、ということです。そのうえで、5年前と比べて増えているか減っているかを見ます。
5年で児童は1割減 要注意の18校は3%しか減っていない
同じ市の統計で、2021年5月1日と2026年5月1日の児童数を学校ごとに比べました。

市全体の児童は72,967人から65,076人へ、5年で10.8%減りました。要注意地区以外の144校は中央値で11.6%減っています。これに対して要注意地区の18校は、中央値で3.2%の減少にとどまりました。
増えた学校もあります。中央区の山の手(+18.0%)・中央(+15.7%)・湊(+15.5%)の3校は、市全体が1割減るなかで1割以上増えています。須磨区の妙法寺は549人から786人になりました。
一方で、要注意地区でも減っている学校はあります。灘区の高羽は1,207人から1,012人へ16.2%減、西郷は26.2%減です。今の人数と5年の動きが、指定と必ずしも一致するわけではありません。北区の鹿の子台のように、指定がないまま5年で19.1%増えた学校もあります。
要注意地区は、これから建つ住宅の計画をもとに市が決めるものです。過去5年の人数とずれることがあるので、両方を見てください。
読者
神戸市以外で土地を探しています。同じことは調べられますか
市の教育委員会に、候補の小学校の5年前と今の児童数、それから住宅開発で児童が増える校区の扱いがあるかを聞いてください。神戸市の「要注意地区」と同じ名前とは限りません。
私はこう見ています 見るのは人数ではなく、増え方と市の指定
私は、850人と400人のどちらが良いかを考えるより、その学校がこの先も増えるのかを確かめるほうが、6年間の学校生活に直結すると見ています。
一時的にマンモス校になった学校なら嫌だ、という回答の感覚には理由があります。教室が足りなくなれば、暫定校舎や校区の調整で対応することになると、市自身が書いています。常に4〜5クラスある学校では、この心配はありません。
もう1つ、要注意地区で家を買う人には、事業者から学校の状況について前もって説明がされるよう、市が協力を求めています。私は、この説明を買う側から求めてよいと考えます。建売やマンションの販売担当に、この校区が要注意地区かどうか、学校の状況の説明があるかを聞くだけで、答えの中身がそのまま判断材料になるからです。

土地を決める前に確かめる3つ
- 候補の土地の小学校区が、市の要注意地区に入っているか(神戸市は教育委員会の「受入困難地区、要注意地区」のページ)
- 学校別の児童数を5年前と比べて、増えているか減っているか(神戸市は「学級数・児童生徒数等」のExcel)
- 近くで大きな分譲地やマンションの計画があるか。販売担当に学校の状況の説明を求める
神戸市の窓口は教育委員会事務局の学校環境整備課(078-984-0691)です。相談の人がA学区を選ぶなら、850人という人数より、その850人が5年前は何人だったかを先に見てください。350万円を払ってBを選ぶかどうかは、そのあとで決めても遅くありません。
出典
- 神戸市教育委員会「開発事業区域の選定に伴う教育委員会との協議(受入困難地区、要注意地区)」
- 神戸市「学級数・児童生徒数等」(2004~2026年) 2021年・2026年5月1日の小学校別児童数を当サイトで集計
- 学校教育法施行規則 41条(e-Gov法令検索)
- Yahoo!知恵袋「マンモス校ってやめた方がいいでしょうか?」
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