北海道苫小牧市(とまこまい)で、国が大雨のときに冠水するおそれがあるとしている道は、旭大通(あさひおおどおり)アンダーパスと、沼ノ端(ぬまのはた)の臨海東通(りんかいひがしどおり)アンダーパスの2か所です。2024年8月27日の大雨で市が議会で名前を挙げた道路の冠水は、市道弁天東1号線、道道781号の勇払(ゆうふつ)、道道259号の一本松(いっぽんまつ)付近で、どれも国の一覧には載っていない場所です(2024年9月の市議会の答弁。市は「市内各所で冠水の状況を確認」とも答えています)。
市は、拓勇(たくゆう)地区を、それまでの排水ポンプでは「道路冠水などの浸水被害が発生しやすい地区」だったと答えていて(2025年10月)、大雨が予想されるたびに仮設のポンプを置いてきました。
この記事でわかること
- ✓ 旭大通アンダーパスの排水ポンプは1時間70ミリ程度まで(市の答弁)。アメダス苫小牧(観測所1か所)は2013年以降に3回、これを超えています(気象庁の順位表から当サイトで数えた値)
- ✓ 2025年9月21日未明は「苫小牧市平野部付近で約120ミリ」(1時間・解析雨量)。市は2026年度に勇払の雨水ポンプを約2.2倍にする予定です
- ✓ 冠水した道で車が動けなくなっても、市は「道路管理者が補償するものではない」と答えています(2024年9月)
雨の日に「いま通れない道」を見るページ
市のページは、市のトップページから名前で探してください(市はリンクをトップページに張るよう求めています)。
- 市道:苫小牧市「市道通行規制のお知らせ」(市政情報の「都市建設」の中)。2026年9月24日の時点は「現在、通行止めはありません」
- 国道・道道:国土交通省「道路情報提供システム」
- 市のまとめ:苫小牧市「災害警戒・対応状況」(避難所の開設、通行規制のページへの案内)
- 雨の強さ:気象庁「キキクル」(浸水害の危険度)
市の防災メールの2017年からの配信記録を当サイトが「冠水」「通行止」で検索したところ、1件もありませんでした。道路の問い合わせは、市道0144-73-5000、道道0144-32-3171、国道0144-72-5165です。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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国の一覧は2か所、旭大通と沼ノ端のアンダーパス
北海道開発局の「冠水想定箇所」は北海道全体で47か所です(当サイトで数えた値)。説明表の位置図では、Aの旭大通アンダーパスは苫小牧駅の東、Bの臨海東通アンダーパスは沼ノ端駅の西で、どちらも線路の下をくぐります(位置図からの読み取り)。
市は2017年9月の議会で、Aには排水ポンプが2台あり、1時間70ミリ程度の雨まで対応できると考えている、と答えています。Bはポンプ3台で、危険が見込まれるときは直ちに通行規制をする、と北海道の担当から聞いていると市は説明しました。
読者
旭大通アンダーパスは、大雨で通行止めになったことがありますか?
市は、1986年度に使い始めてから冠水で通行止めにしたことはない、と答えています(2017年時点)。ただ2013年8月の大雨では、警察が水たまりで通行止めにし、市が着いたときには水が引いていた例があります。

地図の記号と同じ順です
A 旭大通(あさひおおどおり)アンダーパス
国の冠水想定箇所(北海道開発局 No.43)・市道旭大通。排水ポンプ2台と、南側・北側に注意看板と赤色灯つきの表示板がある(2017年の市の答弁)
若草町4丁目2番地〜緑町1丁目7番地(説明表。室蘭開発建設部のページでは「緑町2丁目~若草町4丁目」)/住所の代表点の標高 6.8〜6.9メートル
管理: 苫小牧市 0144-73-5000 / 警察: 苫小牧警察署 0144-35-0110 / 消防: 苫小牧消防署 0144-36-0119
B 臨海東通(りんかいひがしどおり)アンダーパス
国の冠水想定箇所(北海道開発局 No.11)・一般道道 苫小牧環状線。排水ポンプ3台と前後の情報板がある(北海道の担当の説明を市が紹介、2017年)
沼ノ端中央6丁目1(説明表。室蘭開発建設部のページでは「沼ノ端614」「臨海東アンダーパス」)/住所の代表点の標高 5.6メートル
管理: 室蘭建設管理部 苫小牧出張所 0144-32-3171 / 警察: 苫小牧警察署 0144-35-0110 / 消防: 苫小牧市消防署 0144-36-0119
C 道道259号 一本松(いっぽんまつ)付近
2024年8月27日に道路冠水(市の答弁)。臨海北通と呼ばれる道で、市が管理者の室蘭建設管理部に確かめたところ「近年の異常気象により度々冠水が発生している状況」
点は一本松町の代表点(標高 7.0メートル)。冠水した地点そのものではありません
D 勇払(ゆうふつ)
2024年8月27日に道道781号の「勇払セイコーマート前」が冠水。2025年9月の大雨では勇払地区で道路冠水と床下浸水(いずれも市の答弁)
点は字勇払の代表点(標高 3.5メートル)。店の位置ではありません
F 拓勇(たくゆう)地区
市が、既設のポンプでは「道路冠水などの浸水被害が発生しやすい地区」だったと答弁(2025年10月)。明野川へのはけ口の排水ポンプ6台を2023〜2024年度に更新し、能力は約2倍
点は拓勇西町の代表点(標高 5.8メートル)
G 川沿町(かわぞえちょう)
対策前は1時間30ミリ前後の雨でも道路が冠水していた(2017年の市の答弁)。雨水幹線の整備で「浸水被害がほぼ解消」(2024年の市の説明)
点は川沿町の代表点(標高 5.6メートル)
C〜Gは町・字の代表点なので、実際に水が出た道とは数百メートル以上ずれることがあります。A・Bの点はOpenStreetMap(オープンストリートマップ)のアンダーパスの位置です。標高は住所を国土地理院の住所検索にかけた代表点の値で、道路の底の高さではありません。
2024年8月27日の大雨、冠水した道と拓勇地区
市の答弁では、この日はウトナイ南5丁目で、6時から7時の1時間に43.5ミリ。沼ノ端中継ポンプ場の雨量計では、1時間の最大が41.5ミリで「5年に一度程度」を超えていました。冠水した道では、車が数台動けなくなっています。しらかば町付近にあるアメダス苫小牧は35.0ミリで、市の東部で降った量ではありません。

一本松付近の道道259号は臨海北通(りんかいきたどおり)と呼ばれる道です。市が管理者の室蘭建設管理部苫小牧出張所に確かめたところ、「近年の異常気象により度々冠水が発生している状況」とのことでした。議員は、4日後の31日にも4車線のうち中央の車線付近まで冠水していた、と述べました。同じ質問で議員は、沼ノ端南側の駅前通りや臨海東通の交差点も「かなり冠水していた」と述べています(地図のBのアンダーパスと同じ場所かは確かめていません)。
拓勇地区は、明野川(あけのがわ)へ水を出す3か所のはけ口に、ポンプが2台ずつあります。この日は仮設のポンプを3台足して、9台で水を出しました。6台は2023年度と2024年度の2年ですべて新しくなり、能力は約2倍です(2025年10月の答弁)。
水に浸かった車の補償について、市は「過去の判例などから道路管理者が補償するものではない」と答えています。
\住所だけ・1分で公的データを確認できます/
土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します(道路の冠水・内水は出ません)
2025年9月21日未明、勇払で浸水
9月21日0時37分、気象庁は「苫小牧市平野部付近で約120ミリ」(0時30分までの1時間・解析雨量)の記録的短時間大雨情報を出しました。アメダス苫小牧(しらかば町付近)の20日の1時間の最大は40.5ミリで、勇払で降った量ではありません。
北海道の被害報(第3報・2025年9月22日9時時点の速報値)では、苫小牧市全体で床上浸水1、床下浸水1です(どの地区かは書かれていません)。北海道新聞の写真特集は勇払の住宅の床上浸水を伝え、83歳の住民は「50年住んでいるが、こんなことは初めて」と話しています(21日午前8時45分の撮影)。新聞は「床上」、市の答弁は「床下」と書いていて、違いの理由を書いた資料は見つかっていません。
市は「勇払地区において道路冠水や床下浸水が発生した」として、勇払の雨水ポンプ所の2台(合わせて毎分10立方メートル)を、2026年度に毎分21.6立方メートル(約2.2倍)へ替える予定です(2026年3月の答弁)。
アメダス苫小牧の1時間の雨、上位10のうち5つが2013年以降
1943年からの記録で、1時間の雨の1位は1950年8月1日の126.0ミリです。

市の災害記録では、2014年9月11〜12日の大雨で道路・公園などの冠水39件、床下浸水16件、床上浸水1件。9位の2026年8月27日(61.5ミリ)は、22時43分にレベル4大雨危険警報が出て、市は「浸水の恐れがある場合は自宅の2階に移動してください」と配信しています。この夜にどこが冠水したかを市が公表した資料は、見つかりませんでした。
読者
1時間30ミリくらいの雨なら、冠水しませんか?
場所によります。市は、対策の前は30ミリ前後の雨でも川沿町(かわぞえちょう)などで道路が冠水し、対策の後は同じくらいの雨で起きていない、と答えています(2017年)。市の記録には、1時間25ミリで「市内各地で道路冠水」とある日(2012年9月25日)もあります。
家のまわりが浸かる深さは、市のWeb(ウェブ)防災マップで見る
苫小牧市Web防災マップの「画面切替」で「雨水出水浸水想定区域」を選ぶと、内水(下水道で流しきれずにあふれる雨水)で浸かる深さが4段階の色で出ます。市が想定最大規模とする1時間130ミリの雨を計算した図です(凡例)。計算した地域の境目は黒い枠線なので、家が枠の中かどうかも見てください。
市は、130ミリの計算では100ミリの想定より「浸水箇所や規模が拡大する」と答えています(2025年10月)。市の洪水ハザードマップ(2021年3月)が対象にしているのは、苫小牧川・勇払川・安平川(あびらがわ)の3つの川です。
市のサイトは記事や写真の無断使用を断っているため、この記事では防災マップの区域を写さず、見方だけを案内しています。
\川の洪水と土砂の区域を住所で見る/
洪水の浸水想定区域と土砂災害警戒区域に入っているかを出します(内水の区域と道路の冠水は出ません。明野川など小さな川の洪水の想定が入っているかは確かめていないので、市のWeb防災マップの「画面切替」で川ごとに見てください)
大雨の日は、トイレが流れにくくなることも
2022年8月15〜16日の大雨では、錦岡中継ポンプ場で15日からの雨が158ミリ。市には389件の問い合わせがあり、うち345件がトイレなどの排水不良でした。このとき大雨・洪水警報は出ていませんでした。
市の下水道課は、大雨の日は風呂や洗濯を控えて家から流す水を減らすこと、トイレから「ぼこぼこ」と音がしたら水のう(水を入れたポリ袋)で押さえることを呼びかけています。
ほかの市はどうなっているか
- 道路冠水マップ どこで見られるの?
- 札幌市 冠水 どこが危ないの?(北海道の国の一覧で最も多い12か所)
公式出典
- 国土交通省 北海道開発局「冠水想定箇所」(一覧と説明表 hokkaido-02-011・043)/室蘭開発建設部「豪雨時等において道路が冠水するおそれのある箇所」
- 苫小牧市議会 会議録(2017年9月12日・12月7日、2022年9月13日、2024年3月7日・6月19日・9月6日、2025年10月3日、2026年3月4日)
- 札幌管区気象台「令和7年9月20日から21日にかけての大雨と暴風に関する気象速報」/気象庁「過去の気象データ」(苫小牧の日降水量・日最大1時間降水量・観測史上の順位)
- 北海道「令和7年9月20日からの大雨等による被害状況等」(第3報・2025年9月22日9時時点)/北海道新聞デジタル【写真特集】北海道初の線状降水帯 突風被害も(2025年9月21日)
- 苫小牧市「自然災害・大火・その他特異災害記録」(苫小牧市統計書抜粋)、「苫小牧市Web防災マップ」、「防災ハンドブックとハザードマップについて」、「市道通行規制のお知らせ」、「災害警戒・対応状況」、「土のうステーションのご利用方法について」、下水道課「大雨対策について」(いずれも苫小牧市のトップページから)/苫小牧市防災メール(配信内容の確認サイト)
- 国土交通省「道路情報提供システム」/国土地理院 住所検索API・標高API/地理院タイル(地図)/アンダーパスの位置:OpenStreetMap(© OpenStreetMap contributors)
この記事の数値は公表資料と会議録を集計したものです(2026年9月24日取得)。避難や通行の判断は、必ず苫小牧市と北海道の最新の発表を確認してください。
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