甲府市で、大雨のときに水がたまるおそれがある道は5か所です。
5か所を並べて、書き方が他の県と違うことに気づきました。アンダーパスでも地下道でもありません。山梨県の一覧は、5か所とも「◯◯との立体部」と書いています。
この記事でわかること
- ✓ 甲府市の「道路冠水注意箇所」は5か所。山梨県15か所のうち最多です
- ✓ 5か所とも鉄道との立体部。JR中央本線が4か所、JR身延線が1か所です
- ✓ 説明表の警察署の欄は5か所とも「110」だけ。署の名前が書かれていません
箇所の数・種別・住所は国土交通省 関東地方整備局「道路冠水注意箇所」山梨県15か所と、箇所ごとの説明表5枚から自分で数えました。雨の条件と指定の日付は甲府市上下水道局「雨水出水浸水想定区域について」(2025年3月19日更新)と甲府市「甲府市内水浸水想定区域図」「甲府市内水ハザードマップ」です。標高は国土地理院の住所検索APIと標高APIで引いています。
山梨県の15か所のうち、5か所が甲府市です

山梨県の一覧は15か所です。市町村別に数えると甲府市5、甲斐市4、笛吹市2。富士河口湖町・甲州市・富士吉田市・南部町が1ずつで、そのほかの市町村はゼロです。
この15か所という数は、全国でもかなり少ないほうに入ります。新潟県は471か所、愛知県は262か所、広島県は68か所。山梨県は、平地そのものが甲府盆地に限られているぶん、数えられる場所も少なくなります。
その5か所は、国道が1か所(国道358号)、県道が1か所(甲府昇仙峡線)、市道が3か所(富士見通り線・甲運8号線・甲運14号線)です。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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5か所とも、鉄道との「立体部」です
地先名の欄を読むと、書き方が独特でした。「甲府市住吉2丁目〜中小河原1丁目(平和通り・JR身延線との立体部)」「甲府市飯田1丁目〜塩部2丁目(JR中央本線との立体部)」というふうに、区間と、何との立体交差かがそのまま書いてあります。
5か所を数えると、JR中央本線との立体部が4か所、JR身延線との立体部が1か所。5か所とも、線路の下をくぐる道です。道路どうしの立体交差は1つも入っていません。
名前が付いているのは2か所だけです。国道358号の「中小河原アンダー」と、県道の「飯田アンダー」。市道の3か所は路線名と立体部の説明だけで、呼び名がありません。川田町の1か所には「甲運小北側」という目印が添えてあります。

説明表の警察の欄が、「110」だけです
説明表には管理者・警察署・消防署の3つの連絡先を書く欄があります。甲府市の5枚を開いて、少し驚きました。
管理者は書かれています。国道と県道の2か所が山梨県中北建設事務所、市道の3か所が甲府市。電話番号も載っています。ところが警察署の欄は、5か所とも名称が空で、電話番号が「110」。消防署の欄も名称が空で「119」だけです。
他の県の説明表は、たいてい所轄の署名と直通番号が入っています。この連載で見てきた市では、警察署が3つに割れる市も、6つに割れる市もありました。甲府は割れるどころか、署の名前そのものが書かれていません。
実務としては110番と119番で足りる、という判断だと思います。ただ「道が冠水しているが事故は起きていない」ときの連絡先を探すなら、管理者の欄——山梨県中北建設事務所か甲府市——を見るしかありません。
標高はどれも250メートルを超えています

| 管理番号 | 種別 | 場所 | 立体交差の相手 | 標高 |
|---|---|---|---|---|
| 山梨県-02-003 | 国道358号 | 住吉2丁目〜中小河原1丁目 | JR身延線 | 257.7m |
| 山梨県-02-011 | 市道 | 川田町(甲運小北側) | JR中央本線 | 265.8m |
| 山梨県-02-004 | 県道 | 飯田1丁目〜塩部2丁目 | JR中央本線 | 272.7m |
| 山梨県-02-009 | 市道 | 飯田1丁目〜富士見1丁目 | JR中央本線 | 272.7m |
| 山梨県-02-010 | 市道 | 横根町 | JR中央本線 | 437.6m |
標高は住所から引いた町ごとの代表点です。横根町は山ぎわまで広い町なので、実際の道はこれより低い場所にあります。
この連載で標高を引いてきて、いちばん高い並びになりました。4か所が257メートルから273メートルのあいだ。海に面した市なら1メートル台の場所が出てきますが、甲府はそもそも盆地の底が250メートルより上にあります。
数字だけを見ると「高いところだから安心」に見えます。けれど冠水は海抜で決まるのではなく、まわりとの高低差で決まります。250メートルの土地でも、線路をくぐるために2メートル掘り下げれば、そこがいちばん低い場所になります。
この住所は浸水しやすい場所ですか
ここまでは市全体の話です。知りたいのは自分の住所がどうかだと思います。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
想定している雨は1時間147ミリ、24時間で160.5ミリです

甲府市の内水の地図が想定しているのは、1時間雨量147ミリ、24時間総雨量160.5ミリの降り方です。
この147ミリという数字は、市が決めたものではありません。国が全国を降り方の似た15の地域に分け、それぞれの地域で観測された最大の雨から設定しています。同じ147ミリなのは、愛知県岡崎市・三重県四日市市・静岡県焼津市。関東の市は153ミリ、広島県福山市と新潟県上越市は130ミリでした。
山梨県は関東地方整備局の管内ですが、雨の地域区分では東海の市と同じ値になります。地図を見比べるなら、関東の市より東海の市のほうが条件が近い、ということです。
2025年3月と2026年5月、2段階で指定されています
甲府市の内水の地図は、2つの役所が段階を追って作っています。
まず甲府市上下水道局が2025年(令和7年)3月に「雨水出水浸水想定区域」を公表しました。対象は下水道法の雨水事業計画区域と市街化区域で、全体図と北西部・北東部・南西部・南東部の4エリア、それに浸水継続時間の図が付きます。
次に市の道路河川課が、これに雨水排水区域を足した「内水浸水想定区域」を作り、2026年(令和8年)5月に水防法第14条の2に基づいて指定しました。対象は山間地等を除く市街化区域、市街化調整区域、そして中道地区の一部です。
水防法に基づく地図は、不動産の売買や賃貸のときに宅地建物取引業者が説明する対象になります。甲府市の内水の面は、この2段階を経て説明される側に入りました。
甲府市の雨水出水浸水想定区域図には、深さのほかに「0.5メートル以上の浸水が24時間以上(48時間以内)続く区域」も示されています。水が来るかどうかだけでなく、引くまでにどれだけかかるかを見る図です。市の内水ハザードマップは南部(中道)・南部・東部・西部・中央部・北部のブロック別に分かれています。
もし車で水に入ってしまったら


5か所は、どれも線路の下をくぐる道です。手前から見ると水面は平らに見えて、いちばん深い底は見えません。
JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
甲府の5か所は、警察も消防も110番と119番しか書かれていません。車が動かなくなったら、迷わずそこへかけてください。水深がひざ下でも、流れがあれば大人は歩けず危険です。50センチより深いときは、無理に移動せず高いところで待ってください。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市も1つずつ調べています。同じ資料でも、出てくる答えは場所ごとに変わります。
- 道路冠水マップ どこで見られるの?
- 松本市 冠水 どこが危ないの? 21か所のうち20か所は市道です(長野県)
- 長野市 冠水 どこが危ないの? 国のリスト29か所、26か所は市道です(長野県)
- 沼津市 冠水 どこが危ないの? 国が数えたのは3か所だけ、3つとも沼津駅のそばの「ガード」です(静岡県)
- 岡崎市 冠水 どこが危ないの?(愛知県) 同じ1時間147ミリ想定で、観測史上最大は146ミリです
- 福山市 冠水 どこが危ないの?(広島県) 12か所のうち11か所が鉄道の下、福塩線だけで5か所です
この記事のまとめ
甲府市で道路が冠水しやすい場所は5か所で、山梨県15か所のうち最多です。5か所とも鉄道との「立体部」で、JR中央本線が4か所、JR身延線が1か所。説明表の警察署と消防署の欄には署名が入っておらず、110番と119番だけが書かれています。
標高は4か所が257メートルから273メートルで、この連載でいちばん高い並びになりました。市の内水の地図が想定する雨は1時間147ミリ・24時間160.5ミリ。上下水道局が2025年3月に雨水出水浸水想定区域を公表し、市が2026年5月に内水浸水想定区域として指定しています。
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