🗨️「バイクのすり抜けって、何の違反になるの?」
「すり抜け」という違反はありません。道路交通法にも施行令にも、この言葉は一度も出てきません。取り締まられるときは、その場で成立した別の違反が当てられます。渋滞の列に割り込めば第32条(割込み等)で1点・二輪6,000円、路側帯を通れば第17条(通行区分)で2点・原付6,000円。つまり同じ6,000円でも、原付と二輪で中身が違います。
[交通] この記事の要点
2026年9月12日 発表
- 原付・バイクで通勤している人
- 渋滞した道でバイクに横を抜かれる車の運転者
- これから原付免許・二輪免許を取る人
法律に「すり抜け」という言葉はありません
道路交通法と道路交通法施行令を全文で検索しても、「すり抜け」「追い抜き」という語は1か所も出てきません。定義も、禁止規定もない。取り締まりのときに当てられるのは、その場で成立した別の違反です。
定義があるのは「追越し」のほうです。法第2条第1項第21号にこうあります。「車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう」。
進路を変え、なおかつ前に出る。この2つがそろって初めて「追越し」です。進路を変えずに横を通り過ぎるだけなら、この定義から外れます。
渋滞と通行止めで動けなくなったときに要るもの
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渋滞と通行止めで動けなくなったとき、いちばん先に困るのがトイレです。高速道路上ではパーキングまで降りられないので、車に積んでおくものの中では優先度が高い1つです。
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場面ごとに、当たる条文が変わります
| どうやって抜けたか | 成立しうる違反 | 条文 | 点数 |
|---|---|---|---|
| 路側帯や歩道を通った | 通行区分違反 | 法17条1項 | 2点 |
| センターラインを越えた | 通行区分違反 | 法17条4項 | 2点 |
| 進路を変えて前に出た(左から抜いた) | 追越し違反 | 法28条1項 | 2点 |
| 交差点・横断歩道の手前30m以内などで抜いた | 追越し違反 | 法30条 | 2点 |
| 停止・徐行中の列に追いつき、前に割り込んだ | 割込み等 | 法32条 | 1点 |
| いちばん左以外の車両通行帯を走った | 通行帯違反 | 法20条1項 | 1点 |
| 黄色の実線を越えて進路を変えた | 進路変更禁止違反 | 法26条の2第3項 | 1点 |
| 歩行者の横を、間隔も取らず徐行もせず通った | 歩行者等側方安全通過義務違反 | 法18条2項 | 2点 |
| 速度や方法が危険だった | 安全運転義務違反 | 法70条 | 2点 |
見てのとおり、1点の違反と2点の違反が混ざっています。分かれ目になるのは、その道に車両通行帯があるかどうかです。白線で車線が区切られている道なら20条系(1点)、区切りのない道で左端を抜けば17条・28条系(2点)になります。
同じ6,000円でも、原付と二輪では別の違反です
反則金は施行令の別表第六で決まっていて、車種が4つに分かれています。大型車・普通車・二輪車(大型自動二輪と普通自動二輪)・原付等(原動機付自転車、小型特殊、軽車両)。
| 違反 | 普通車 | 二輪車 | 原付等 |
|---|---|---|---|
| 通行区分違反・追越し違反・安全運転義務違反 | 9,000円 | 7,000円 | 6,000円 |
| 歩行者等側方安全通過義務違反 | 7,000円 | 6,000円 | 5,000円 |
| 通行帯違反・進路変更禁止違反・割込み等 | 6,000円 | 6,000円 | 5,000円 |
原付で6,000円になるのは、いちばん上の行だけです。つまり通行区分違反・追越し違反・安全運転義務違反のどれか。一方、二輪車で6,000円になるのは下の2行で、割込みや通行帯違反のほうです。
「バイクのすり抜けは6,000円」とひとまとめに言われることがありますが、原付の6,000円と二輪の6,000円は、当たっている条文が別です。二輪車の通行区分違反・追越し違反は7,000円で、6,000円ではありません。

大阪府警が挙げている根拠は第32条です
大阪府警察は「二輪車のすり抜け割り込み禁止!!」というページで、根拠として道路交通法第32条(割込み等の禁止)を挙げています。反則金は二輪車6,000円・原付5,000円、点数1点。施行令の別表第六とぴったり一致します。
第32条の条文はこうです。「停止し、若しくは停止しようとして徐行している車両等…に追いついたときは、その前方にある車両等の側方を通過して当該車両等の前方に割り込み、又はその前方を横切つてはならない」。
読むと分かるとおり、要件は「前に割り込む」か「前を横切る」ことです。列の横をただ通り過ぎて、前に入らなければ32条は成立しません。その代わり、そのとき路側帯を踏んでいれば17条が、白線をまたいでいれば20条や26条の2が当たります。抜け道になっているわけではなく、当たる条文がずれるだけです。
路側帯を通れるのは、原付ではありません
まぎらわしいのが法第17条の3です。路側帯を通行してよいと書かれていますが、対象は「特例特定小型原動機付自転車及び軽車両」。つまり一部の電動キックボードと自転車などです。
原付(一般原動機付自転車)と自動二輪は含まれません。原付が路側帯を通れば、17条の3の話ではなく、17条1項の通行区分違反になります。2点、6,000円です。
二輪の死者は、全体の18.3%
令和6年の状態別の交通事故死者数です。
| 状態 | 死者数 | 割合 |
|---|---|---|
| 歩行中 | 965人 | 36.2% |
| 自動車乗車中 | 876人 | 32.9% |
| 自動二輪車乗車中 | 372人 | 14.0% |
| 自転車乗用中 | 327人 | 12.3% |
| 一般原付乗車中 | 115人 | 4.3% |
| 合計 | 2,663人 | 100% |
自動二輪と原付を足すと487人で、全体の18.3%になります。
ただし、この統計に「すり抜け中の事故」という分類はありません。警察庁の事故統計にも、大阪府警の啓発ページにも、すり抜けが原因の事故が何件かを示す数字は出ていません。取り締まり件数も、統計の区分が「通行区分違反」「追越し違反」といった反則行為名なので、すり抜けとしては数えられていません。
言葉としては誰もが使っているのに、法律にも統計にも存在しない。それが「すり抜け」という語の位置です。
生活・仕事にどう効くか
- 路側帯や歩道を通ったとき:通行区分違反(法第17条第1項)。2点、原付6,000円・二輪7,000円。路側帯を通行できるのは特例特定小型原付と軽車両だけで、原付・自動二輪は含まれない。
- 渋滞の列に割り込んだとき:割込み等(法第32条)。1点、二輪6,000円・原付5,000円。条文は「前方に割り込む」「前方を横切る」までを要件にしている。
- 交差点の手前30メートル以内で追い越したとき:追越し違反(法第30条第3号)。2点、原付6,000円・二輪7,000円。曲がり角付近・トンネル・踏切・横断歩道の手前も同じ。
結局どうすればよいか
- 反則金の額から逆算しない。同じ6,000円でも原付と二輪では当たっている条文が違う
- 車両通行帯(白線で区切られた車線)があるかどうかで、1点の違反になるか2点の違反になるかが変わる
- 車の側を走るときは、路側帯の線を越えていないかを見る。越えた時点で通行区分違反になる
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
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公式出典
- e-Gov法令検索「道路交通法」(昭和35年法律第105号)(2026年9月12日発表)
- e-Gov法令検索「道路交通法施行令」(昭和35年政令第270号)別表第二・別表第六(2026年9月12日発表)
- 大阪府警察「二輪車のすり抜け割り込み禁止!!」(2026年9月12日発表)
- 内閣府「令和7年交通安全白書」状態別交通事故死者数(2025発表)
更新履歴
- 2026年9月12日 初版を公開。条文と反則金・点数は道路交通法および同施行令(別表第二・別表第六)の現行条文による。
※本記事は2026年9月12日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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