防災袋に手回しのラジオを入れている家は多いと思います。ところが検索窓に「手回しラジオ」と打つと、4番目に出てくる候補が「いらない」です。
そう言われる理由は、たしかに数字にあります。メーカー自身が取扱説明書に載せている目安を読むと、ハンドルを5分回して得られるのは、満充電の約1%でした。
ただし同じ表を、スマートフォンではなくラジオとライトの行で読むと、結論が変わります。リズムの手回し充電ワイヤレススピーカー「CRANKSPEAKER(クランクスピーカー)」の公式資料をもとに整理しました。運営者はこの商品を持っていないので、使用感は「誰がそう書いたか」を添えてしか出していません。
リズム
手回し充電ワイヤレススピーカー CRANKSPEAKER 9YYA50RH08
手回し充電ワイドFM対応IP44相当
スピーカー・ラジオ・ライト・時計・スマホ給電を1台にまとめた製品です。
画像:Amazon.co.jp の商品ページより(クリックでAmazonの商品ページが開きます)
先に3つだけ
- ✓ 5分回して動くのはラジオで約26.4分、スマホの通話で約10分。どれも満充電の約1%です
- ✓ 回している間は外部に電気を出せません。本体に貯めてから、手を止めて繋ぎます
- ✓ 充電できる温度は10〜40℃。公式の製品ページにも通販サイトにもなく、取扱説明書にだけある数字です
\商品ページで在庫と型番を見る/
ライトグレー(9YYA50RH08)とブラックの2色があります
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「手回しラジオはいらない」と言われる理由
手回しをやめた人の言い分は、10年前からほとんど変わっていません。Yahoo!知恵袋には、2016年9月18日に投稿された相談があります。4年前に買った手回し発電の懐中電灯が、停電のときに使えなかったという内容です。
いくらハンドルを回しても蓄電せず、ハンドルを回している間だけしかLEDが点灯しないようになっていました。
ベストアンサーは、手回しをあきらめて乾電池に戻した人の回答でした。「手回しをどれだけ頑張っても、普通の大きさの乾電池分を発電するのは容易ではありません」。10年保存をうたう乾電池がある以上、発電の効率では勝負にならない、という話です。
ここは反論しようがありません。問題は、そこで話を終えてよいのかどうかです。
5分回して、スマホの通話は10分ぶん
この商品を知ったのは家電Watchのミニレビューです。筆者が実際に回した感想が書かれていました。
5分ほど必死に回しても充電表示が1%も増えなかった時には脱力……上手に回すには少しコツが必要そうです。
これは不調ではなく、仕様どおりの数字です。リズムの取扱説明書には「使用可能時間の目安」という表があり、1秒間に約2回転のペースで回した場合の時間が用途ごとに並んでいます。

満充電ならスマートフォンの連続通話が約17時間ぶんです。手回し5分で得られる約10分は、その1%。ラジオもライトも、満充電に対する割合は同じく約1%でした。「1%も増えなかった」という体感は、表のとおりです。
手回しは、ラジオとライトを動かす装置だった
同じ1%でも、用途によって意味がまったく違います。表をスマートフォン以外の行で読むと、こうなります。
- ラジオ ─ 1分回すと約5.1分、5分回すと約26.4分
- ソフトライト(弱)─ 1分回すと約30分、5分回すと約2時間42分
- スポットライト(強)─ 1分回すと約1.5分、5分回すと約7.5分
ニュースを1本聞くのに26分あれば足ります。停電した部屋の足元を照らすのも、やわらかいほうのライトなら2時間42分。同じ5分が、スマホでは通話10分にしかなりません。手回しが向いているのは後者です。
手回しでスマホを満たそうとすると徒労に終わります。ラジオとライトを動かす手段だと考えると、5分は割に合います。
回している間は、スマホに電気が出ていきません
もうひとつ、回し方の勘違いがあります。取扱説明書には、こう書かれています。
手回し充電は本体のみへの充電をおこない、外部出力(スマートフォン(携帯電話)など)に直接充電することはできません。
別の項にも「本体への充電中(USB接続/手回し充電)は、外部出力には充電できません」とあります。スマートフォンを繋いだまま回しても、こいだぶんが相手に流れるわけではありません。本体に貯めて、手を止めてから繋ぎます。
説明書の「故障かな?と思ったら」にも、持続時間が短い原因として「手回し充電の時間が短いと十分な充電量が得られません」とあります。回しながら繋いで入らないと判断すると、壊れていないものを壊れたと思うことになります。
4年入れっぱなしにしていた人の話
冒頭の知恵袋の相談は、性能ではなく保管の話でもありました。4年間しまいっぱなしだった個体が、肝心なときに蓄電しなくなっていたのです。この製品の説明書にも「3ヶ月に1度程度は充電をおこなってください」という注意があります。3か月に一度、防災袋を開けて充電する家がどれだけあるかを考えると、ここが現実の弱点です。
この製品が普段はスピーカーと間接照明の顔をしているのは、その対策でもあります。阿部氏も「これまで防災ラジオは引き出しの奥にしまいっぱなしでした」と書き、日常的に使うから置き場所を忘れない点を価値に挙げています。
充電できるのは10〜40℃です
取扱説明書の仕様表に、あまり知られていない行があります。使用温度範囲です。非充電時は0〜40℃、充電時は10〜40℃と書かれています。
冬の停電で暖房が止まった部屋、屋外、車の中は10℃を下回ることがあります。寒い日の停電こそ出番だと思って買う道具ですが、充電の条件としては範囲の外に出ることがあります。
この温度は取扱説明書にだけ書かれていて、公式の製品ページにも通販サイトの仕様欄にも見あたりませんでした。低温で何がどうなるかは公式に説明がないので、推測はしていません。
消防庁のリストにあるのは「携帯ラジオ」と「予備の乾電池」
消防庁の非常用持出品チェックシートの「避難用具」の欄には、懐中電灯・携帯ラジオ・予備の乾電池・ヘルメットが並んでいます。手回しという言葉は出てきません。
手回しは、電池が尽きたあとの保険という順番になります。知恵袋の回答者が乾電池を勧めるのと、この製品を置くことは両立します。
ラジオ側にも確かめる点があります。総務省はワイドFM(FM補完放送)について「90.0MHz〜99.0MHzに対応したラジオが必要です」と書き、2025年5月19日から周波数帯が76.0〜99.0MHzへ拡張されたと告知しています。この製品の受信範囲は76.0〜108.0MHzなので拡張後まで入ります。古いラジオだと上のほうを拾えないことがあります。
どんな商品か、こんな人には向きそうです
画像:Amazon.co.jp の商品ページより
画像はいずれも商品ページに掲載されているものです。
| 型番 | 9YYA50RH08(ライトグレー)/9YYA50RH02(ブラック) |
|---|---|
| 本体サイズ・質量 | 高さ195×幅72×奥行78mm/約450g |
| 内蔵充電池 | リチウムイオン電池 DC3.7V 4,000mAh |
| ラジオ | FM 76.0〜108.0MHz(ワイドFM対応) |
| 最長動作時間 | ラジオ約44時間/ソフトライト弱約266時間 |
| 防水・防塵 | IP44相当(端子カバーを閉じた状態) |
| 使用温度範囲 | 充電時10〜40℃/非充電時0〜40℃ |
| メーカー希望小売価格 | 14,800円(税込) |
| メーカー保証 | 1年 |
リズムの公式資料(特集ページ・取扱説明書)による主な仕様。価格はザ・クロックハウス公式オンラインストアに記載の希望小売価格(税込)の記載です。
向きそうなのは、防災用品を引き出しの奥にしまい込んでしまう家です。普段はスピーカーと常夜灯として使い、停電したらラジオとライトに切り替える置き方ができます。逆に、スマートフォンの電池を災害中も保たせたい人には手回しでは足りません。そこは容量の大きい別の道具の仕事です。
この記事で確認した情報源
- ・家電Watch 家電ミニレビュー(阿部夏子氏・2026年4月14日)(この商品を知ったきっかけの記事)
- ・リズム CRANKSPEAKER 特集ページ(サイズ・動作時間・内蔵電池)
- ・リズム CRANKSPEAKER 取扱説明書(使用可能時間の目安・外部出力の制限・使用温度範囲)
- ・消防庁 非常用持出品チェックシート(避難用具の欄の記載)
- ・総務省 ワイドFM(FM補完放送)(必要な周波数帯と2025年の拡張)
- ・Yahoo!知恵袋「手回し発電の懐中電灯について。」(4年しまい込んだ個体の話(2016年9月18日))
- ・ザ・クロックハウス公式オンラインストア 商品ページ(メーカー希望小売価格(税込))
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