🗨️「大阪で冠水しやすい道路って、どこか分かるの?」
国の名簿はあります。国土交通省 近畿地方整備局の冠水想定箇所リストで、大阪府は181か所。最多は吹田市の12か所です。ただしこの名簿は「掘り下がった構造の道」を数えたもので、2026年6月26日の大雨で実際に道路が冠水した大阪市の46件とは、区の順番がほとんど重なりません。
[災害] この記事の要点
2026年9月6日 発表
- 6日から7日にかけて大阪府内で車を使う人
- アンダーパスやガード下を毎日の通り道にしている人
- 6月26日に水が出た地域に住んでいる人
- 低地の1階・地下に部屋がある人
国が名簿にしている大阪の冠水しやすい道路は181か所
冠水しやすい道路の名簿は、国が公開しています。国土交通省 近畿地方整備局の「道路防災情報Web(ウェブ)マップ」に大阪府版があり、管理番号・市町村名・道路種別・路線名・通称名まで1か所ずつ並んだ表になっています。数えると全181か所、載っている市町村は59。
| 道路の種別 | 箇所数 |
|---|---|
| 市道 | 125 |
| 府道 | 35 |
| 国道 | 12 |
| 町道 | 5 |
| 管理道路・下水道敷・区分なし | 4 |
| 合計 | 181 |
市町村別でいちばん多いのは吹田市の12か所。次が茨木市11、大阪市城東区8と堺市西区8、高槻市7・泉佐野市7・大阪市北区7と続きます。大阪市の区が入っているのは65か所で、堺市は18か所です。
通称名の欄を数えると、「アンダー」を含むものが56、「地下道」が49、「ガード」が14。181か所のうち119か所は、道路が周りより掘り下がっている場所です。国道1号の京阪ガード下(大阪市城東区)、国道43号の西成アンダーパス、国道479号の吹田地下道といった名前が並びます。
吹田市が1位なんですか。海に近い低い土地の話だと思っていました。
この名簿が数えているのは標高ではなく、水がたまる形をした場所だからです。線路をくぐる地下道が多い市ほど数が増えます。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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6月26日に実際に冠水したのは、名簿の上位ではありません
ここが今回いちばん見てほしいところです。大阪市は2026年6月26日の大雨について、被害の確定値を公表しています(令和8年7月10日17時30分現在)。道路冠水は46件で、区別の内訳はこうです。
| 区 | 6月26日の道路冠水(件) | 国の181か所リストに入っている数 |
|---|---|---|
| 住之江区 | 8 | 2 |
| 天王寺区 | 7 | 3 |
| 阿倍野区 | 7 | 2 |
| 住吉区 | 6 | 1 |
| 東成区 | 5 | 0 |
| 平野区 | 5 | 3 |
| 生野区 | 3 | 0 |
| 城東区 | 2 | 8 |
名簿の上位は城東区8・北区7・淀川区6・東淀川区6。ところが6月26日に実際に道路が水に浸かったのは、住之江区・天王寺区・阿倍野区・住吉区でした。名簿の上位と、その日の実績は入れ替わっています。
もっとはっきり出ているのが生野区です。同じ日の住家の浸水は、床上が市内合計55棟のうち生野区だけで25棟、床下は66棟のうち31棟。どちらも市内で最も多いのに、国の181か所リストに生野区の道路は1か所も入っていません。
速報の12件は、確定で46件になった
同じ6月26日について、大阪市は当日11時15分にも報道発表を出しています。そこに書かれていた道路冠水は12件。住家の床上浸水は7棟、床下も7棟でした。
7月10日時点の確定値は、道路冠水46件・床上55棟・床下66棟。速報の数字はその日のうちに数え終わったものではなく、あとから3倍以上に増えています。雨の日にニュースで見た件数を「その日の被害の全部」と読むと、規模を小さく見積もることになります。
名簿に載る冠水と、載らない冠水がある
ずれる理由は名簿の作り方にあります。このリストが拾っているのは、道路が周囲より掘り下げられていて、降った水の逃げ場が無くなる場所です。車が立ち往生して閉じ込められる危険があるので、優先して名指ししてあります。
大阪府はさらに一歩進めていて、府が管理するアンダーパスのうち危険性のある25か所を「冠水想定箇所」に位置づけ、冠水情報板と注意喚起看板を設置しています。府のページには「冠水情報板は水位計と連動しており、水深が一定の高さに達すると『通行注意』や『通行止』を表示し、道路利用者へ危険をお知らせします」と書かれています。豊中IC地下道、吹田地下道、茨木市駅前地下道、徳庵地下道、国分地下道といった名前が並びます。
一方で、平らな交差点や住宅地の道でも水は出ます。下水道が処理しきれずにあふれる型の冠水は、掘り下がっていない道でも起きるので、構造で数える名簿には最初から乗りません。生野区や東成区がリストに無いのに浸水棟数が市内最多だったのは、この差だと私は見ています。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。
名簿に載らない冠水は、土地の傾きで見当がつく
では構造以外に何を見るか。水が抜けるかどうかは、その土地がどれだけ傾いているかで決まります。当サイトでは国土数値情報の地価公示2026(用途=住宅)の地点と、国土地理院の標高API(5mメッシュ)を突き合わせて、全国の平野の傾きを測っています。大阪府から入ったうち、傾きが小さい順に5つを並べます。
| 市区 | 1kmあたりの下がり | 最低標高 | 住宅地の中央値 |
|---|---|---|---|
| 大阪市北区 | 0.8cm(23.94kmで0.2m) | -0.6m | 557,000円/m² |
| 大阪市西淀川区 | 4.5cm(17.64kmで0.8m) | -1.6m | 189,000円/m² |
| 門真市 | 8.2cm(17.01kmで1.4m) | 1m | 132,000円/m² |
| 守口市 | 11.7cm(23.94kmで2.8m) | 1.8m | 187,500円/m² |
| 東大阪市 | 12.7cm(9.45kmで1.2m) | 0.8m | 150,000円/m² |
比べる相手を1つ置きます。2026年8月に「水が引かない」と報じられた千葉県大網白里市は、10.71kmで10.0m下がっていて、1kmあたり93cm。大阪市北区は、その116分の1しか傾いていません。全国134件のうち第2位で、最低標高は海抜マイナス0.6mです。傾きが小さいほど、降った水は流れずにその場にとどまります。
6日から7日、どこを見て動くか
近畿では6日から9日ごろにかけて、再び警報級の大雨のおそれがあります。名簿を暗記する必要はありません。見る順番はこの3つで足ります。
- 地下道・ガード下の入口にある冠水情報板と水位計。「通行注意」「通行止」が出ていたら入らない
- 大阪市の一覧(市内のアンダーパス冠水注意箇所)と、大阪府の25か所。自分の通り道が入っているか
- 自宅側は名簿ではなくハザードマップ。浸水の深さと土砂のリスクは住所で出る
水が乗っているだけなら、ゆっくり走れば抜けられませんか。
JAF(ジャフ)の実験では、走れなくなる水深とドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法が無くなります。
この先の雨の見通しは、関西の警報級大雨の記事にまとめてあります。車での逃げ方は、冠水した道路に入るとどうなるかの記事に実験の数字を載せています。
生活・仕事にどう効くか
- 通勤・送迎の道:181か所のうち119か所はアンダーパス・地下道・ガード下。市道が125か所で、国道は12か所しかない。ふだん使う生活道路のほうが多い。
- 被害の数え終わり:6月26日の大阪市の道路冠水は、当日11時15分の第一報で12件。7月10日時点の確定は46件。その日のうちには数え終わっていない。
- 住まいの選び方:大阪市北区は1km進んで0.8cmしか下がらない平野で、最低標高は海抜マイナス0.6m。それでいて住宅地の価格は1m²あたり55万7千円。
結局どうすればよいか
- 自分の通り道に地下道・ガード下・アンダーパスが何本あるか、先に数えておく
- 大阪府の冠水情報板が付いている25か所かどうかを、府のページで確かめる
- 6日から7日は、地下道の入口で水位計と表示板を見る。表示が出ていたら引き返す
- 自宅側は名簿ではなくハザードマップで、浸水と土砂のリスクを住所で確認する
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
ほかに使える無料ツール
- 住所まるごとチェック — 住所の表記ゆれ・実在をまとめて確認する
- 不動産相場検索 — 市区町村ごとの土地・戸建て・マンション相場を見る
公式出典
- 国土交通省 近畿地方整備局「道路防災情報Webマップ」大阪府 冠水想定箇所リスト(2026年9月6日発表)
- 大阪市「大雨に伴う大阪市の被害発生状況について」(令和8年7月10日17時30分現在)(2026年7月29日発表)
- 大阪市 報道発表資料「大雨に伴う大阪市の被害発生状況について」(令和8年6月26日11時15分)(2026年6月26日発表)
- 大阪府「アンダーパス冠水想定箇所」(2026年8月28日発表)
- 大阪市「大雨時はアンダーパスの冠水にご注意を」(2025年11月21日発表)
更新履歴
- 2026年9月6日 初版を公開
※本記事は2026年9月6日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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