海老名の渋滞が何年たっても直らないのは、海老名ジャンクション(JCT)の作りが悪いからではありません。JCTの合流部には2015年11月と2016年7月に手が入っていて、東名から圏央道へ向かう外回りは、渋滞そのものが消えています。それでも混むのは、渋滞をつくっている場所がJCTの外――横浜町田インターチェンジ(IC)から海老名JCTまでの東名の本線側にあるからです。
その本線を広げる工事は、いま動いています。終わりは2029年3月下旬。ただしNEXCO中日本は、工事のあいだは今より渋滞が延びると自分で予測を出しています。
この記事でわかること
- ✓ この区間は国土交通省の渋滞ランキングで全国ワースト1位(上り)と4位(下り)。上りの年間の渋滞損失時間は171.5万人・時間
- ✓ 「海老名JCTの欠陥設計」は2015〜2016年の改良で外回りの渋滞が解消し、事故件数は7分の1に減っている
- ✓ 本線の拡幅工事は2029年3月下旬まで。工事のあいだは渋滞が約1km延び、渋滞する日数が年間で約60日増える見込み
海老名の渋滞は、全国のワースト1位と4位です
国土交通省は、全国の高速道路をIC区間ごとに並べた渋滞ランキングを公表しています。最新版は平成31年・令和元年の1年分で、公表は令和2年6月8日。その1位が東名の上り、海老名JCTから横浜町田までの13.8kmです。
| 順位 | 道路・方向 | 区間 | 渋滞損失時間 | 延長 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 東名 上り | 海老名JCT〜横浜町田 | 171.5万人・時間 | 13.8km |
| 2位 | 中央道 上り | 調布〜高井戸 | 167.0万人・時間 | 7.7km |
| 3位 | 東名 上り | 東名川崎〜東京 | 116.6万人・時間 | 7.7km |
| 4位 | 東名 下り | 横浜町田〜海老名JCT | 110.6万人・時間 | 13.9km |
渋滞損失時間は、混雑のせいで余計にかかった時間を全員ぶん足し上げた数字です。同じ調査で、全国の高速道路の合計は2.3億人・時間。高速道路を1台使うごとに7.1分ずつ損している計算になります。海老名JCTから横浜町田までの上りは、その全国合計の中で最も大きい一区間です。
この資料には、順位のあとに渋滞の中身の内訳も載っています。ここに、上りと下りの差が出ます。

読者
上りと下りで、そんなに中身が違うものですか?
違います。上りは事故による渋滞が43万人・時間で、速度が40km/hを下回る渋滞の4割弱を占めます。資料が挙げている全国の目安は約2.5割なので、この区間は事故で止まる割合が高いほうです。下りは逆で、111のうち76が「40km/h以上」。止まりはしないけれど、ずっと流れが遅いという中身になっています。
このランキングは令和2年6月8日公表分が最新で、それ以降は更新されていません(2026年9月4日に国土交通省の道路関係データのページで確認)。数字は平成31年・令和元年のものです。
「海老名JCTの欠陥設計」は、もう直っています
海老名JCTが供用を始めたのは2010年2月です。そのあと圏央道が順次つながり、2014年6月に東名と中央道・関越道が結ばれ、2015年10月には東北道までつながりました。JCTを通る車は一気に増え、ランプ部は外回り・内回りとも1日2万台を超えます。
このころ書かれた記事が「海老名JCTは欠陥設計」と呼んだ状態です。ただ、そこで止まっている情報を読んでも、いまの渋滞の説明にはなりません。NEXCO中日本はランプ部の車線幅を詰めて2車線で使う対策を打ち、外回りを2015年11月、内回りを2016年7月に切り替えているからです。
効果は、あとから技術報告にまとめられています。
| 対策前 | 対策後 | |
|---|---|---|
| 外回りの渋滞時間(1日あたり) | 平均5.1時間・最大14.1時間 | 渋滞が解消 |
| 外回りの事故件数(1年) | 21件 | 3件(7分の1) |
| 外回りでさばける交通量 | 約1,500台/時で頭打ち | 約2,000台/時を超えても速度が落ちない |
| 内回りの渋滞量 | - | 交通量が約1割増えて渋滞量は約3割減 |
| 内回りの渋滞中の平均速度 | 42km/h | 50km/h |
拡幅はしていません。もともと右の路肩2.635m・車線3.5m・左の路肩1.125mだったところを、車線3.25mを2本と路肩0.38mずつに引き直しただけです。線を引き直して、事故が7分の1になりました。
それでも混むのは、JCTの手前だからです
同じ技術報告には、続きがあります。内回りの対策後、JCTのランプ部では速度が上がったけれど、その500m手前の速度は対策前と同じままでした。報告が挙げている理由は3つで、JCT手前のクレスト部(上り坂の頂上)、走行車線側への交通量の偏り、そして海老名ICの合流摩擦です。
つまり、直せたのはJCTの中だけでした。その手前の道路の形は、線を引き直しても変わりません。
NEXCO中日本がいま出している説明も、同じ場所を指しています。横浜町田ICから海老名JCTまでは1日平均14万台が通る区間で、アップダウンが多いことと、大和トンネルによる速度低下が重なって渋滞が慢性化している、という書き方です。
読者
つぎはぎに車線が増えたせいで、かえって混むようになったのでは?
Yahoo!知恵袋にも「つぎはぎの4車線になってから毎日大渋滞するようになったのはなぜでしょうか」という質問が残っています。ただ、車線の数そのものより、上り坂の頂上と合流が続けて来ることのほうが大きいというのが、技術報告が名前を挙げている要因です。
海老名サービスエリア(SA)も、この列に加わります。NEXCO中日本 東京支社は公式Xで、海老名SAの上り線出口が混んで本線に戻るのに時間がかかるので前後の休憩施設を使ってほしい、と呼びかけています。2026年9月に出た集中工事の資料にも、横浜町田IC〜海老名JCTの上り線が渋滞しているときは海老名SAから本線に合流するのに時間がかかる、と同じことが書かれています。休憩施設の出口が、本線の渋滞に足を引っ張られる側に回っています。
いま広げているのは、JCTではなく橋です

NEXCO中日本は2024年7月26日、横浜町田IC〜海老名JCT間で橋を拡幅して付加車線を設置する工事を発表しました。対象は大和高架橋・小田急高架橋・大東橋の3本と、綾瀬スマートIC付近の土工部およそ1.5kmです。橋はどれも1968年4月25日に開通していて、いま58年目に入っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 工事期間 | 2024年11月9日〜2029年3月下旬(約4年半) |
| やること | 橋の床版を広げて付加車線を1本つくる |
| 工事中の車線 | いまの6車線を確保したまま。ただし車線幅が3.6mから3.25mに狭くなる箇所がある |
| 進め方 | 工事する車線を入れ替えながら3つのSTEP(ステップ)で進む |
対策そのものは、今回が初めてではありません。神奈川県のワーキンググループが海老名JCTと大和トンネル付近の渋滞を議題にしたのが2015年9月、工事着手が2016年10月です。2021年7月には大和トンネルを含む区間で付加車線が動きはじめ(上り約3km・下り約2km)、2022年11月には横浜町田IC下り線の加速車線が約0.5km延びています。それでもまだ足りない、という判断で組まれたのが今回の4年半です。
工事のあいだは、いまより混みます
ここが、この工事のいちばん飲み込みにくいところです。NEXCO中日本は発表の時点で、工事期間中の渋滞をこう予測しています。
| 何が | どうなる見込み |
|---|---|
| 渋滞の長さ | 現在の平均約10kmから、約1km延びる |
| 所要時間 | 約5分増える |
| 渋滞する日数 | 年間で約60日増える |
| 渋滞のピーク時間 | 平日は18時ごろ/休日は9時ごろと18時ごろ |
渋滞を減らすための工事で、渋滞が年60日増えます。車線を減らさずに橋を広げるには、その車線を細くして脇に寄せるしかないからです。工事区間の車線幅3.25mは、2015年にJCTのランプを2車線にしたときと同じ幅です。あのときは狭めたぶんが車線1本になりましたが、今回は本線の6車線を保ったまま作業帯をひねり出すために使われています。
そして工程は、すでに1年ずれています。NEXCO中日本は2026年1月30日、STEP1からSTEP2への車線の切り替えを2026年2月ごろに予定していたが、現地条件が変わって施工計画を見直した結果、2027年2月ごろになる見込みだと発表しました。日本経済新聞は同年3月13日、基礎の作業に入る前の調査で支障物が見つかったためで、4車線化の完成時期もずれる見通しだと伝えています。
読者
2029年3月に終わるという話は、まだ生きているんですか?
2029年3月下旬という数字は、いまも工事の案内に出ています。ただ、そこに向かう途中の切り替えが1年ずれたところなので、この先の区切りも動く前提で見ておくほうが安全です。STEP2以降の車線規制の計画は「別途お知らせ」とされたままです。
海老名を通るなら、何時を外すか
工事が終わるのを待つ話ではなくなったので、当面の付き合い方のほうを決めておきます。
- 平日は18時ごろ、休日は9時ごろと18時ごろがピーク。この山を1時間ずらせるかどうかで所要時間が変わる
- 海老名SAは出口が本線に戻りにくい。休憩と給油は手前か先のSA・パーキングエリア(PA)に振る
- 規制の位置と当日の所要時間は、NEXCO中日本の東名軸大規模工事サイトで日ごとに出る
- 2026年10月19日0時から11月7日6時までは、東京IC〜大井松田ICで別の集中工事が重なる。この期間の渋滞予測は夜に寄っていて、昼間の欄には「工事規制による渋滞は生じない」と書かれている
海老名JCTの合流は直りました。事故は7分の1になりました。それでもこの区間が全国ワースト1位から動かないのは、直せたのが線の引き方で、直せていないのが道路の高さと形だからです。橋を広げる工事はそこに手を入れる最初の工事で、始まってから2年、残りが3年半あります。
海老名市に住む・引っ越すことを考えている場合は、海老名市の学区一覧(町名から小学校・中学校を検索)も一緒に見ておくと、通勤の道と子どもの通学先を同じ地図の上で決められます。
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出典
- 国土交通省「平成31年・令和元年 年間の渋滞ランキング」(令和2年6月8日公表・PDF)
https://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-data/pdf/highway_ranking_r01.pdf - 落合淳太・花房秀樹・山本隆「海老名JCT暫定二車線運用の取組み ~ETC2.0プローブデータの活用を通じて~」土木技術資料59-4(2017)
https://pwrc.or.jp/thesis_shouroku/thesis_pdf/1704-P048-051rep_ochiai.pdf - NEXCO中日本「渋滞緩和を目指してE1 東名 横浜町田IC〜海老名JCT間で橋を拡幅して付加車線を設置する渋滞対策工事を実施します」(2024年7月26日)
https://www.c-nexco.co.jp/corporate/pressroom/news_release/6110.html - NEXCO中日本「E1 東名 横浜町田IC〜海老名JCT間 渋滞対策工事 車線切替時期の見直しについて」(2026年1月30日)
https://www.c-nexco.co.jp/topics/2377.html - NEXCO中日本「東名軸大規模工事サイト E1 東名 渋滞対策工事 工事概要」
https://tomei.c-nexco.co.jp/tj1-2024/construction/ - NEXCO中日本「E1 東名(東京IC〜大井松田IC)で集中工事(昼夜連続・車線規制など)…」(2026年9月1日)別紙-1
https://www.c-nexco.co.jp/corporate/pressroom/news_release/6668.html - 日本経済新聞「東名の渋滞区間・大和トンネル付近の4車線化遅れる見込み NEXCO中日本」(2026年3月13日/会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC255J30V20C26A2000000/ - Yahoo!知恵袋の質問(2026年9月4日に閲覧)
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14307032749
数字は2026年9月4日時点で各一次資料を確認したものです。工事の期間と車線規制の計画は今後変わることがあります。


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