広島県呉市の斜面住宅地で、2025年11月と2026年7月に崩落が相次ぎました。内神町では水道管とガス管、山手1丁目では水道管が破損しています。
人的被害は確認されていませんが、避難や断水が発生しました。2026年9月2日時点で、市はどちらの崩落も原因を「不明」としています。
この記事は2026年9月2日10時30分までに確認できた呉市・国土交通省・気象台・広島ガス・報道機関の公表内容をもとにしています。復旧予定や原因調査は更新される可能性があります。
この記事でわかること
- ✓ 山手1丁目と内神町で何が起き、復旧はどこまで進んだか
- ✓ 「原因不明」を、老朽化や漏水の断定に置き換えてはいけない理由
- ✓ 擁壁・斜面の異変を見つけたとき、近づかずに連絡する順番
呉市で何が起きている? 山手は3世帯が断水、内神町は8世帯14人が避難
直近の崩落は、呉市山手1丁目で2026年7月27日14時44分に通報されました。市の最新報告では、里道と高さ5.5mの石積擁壁が延長8.0m、幅1.7mにわたって崩れています。
水道管(直径40mm)が破損し、3世帯が一時断水しました。仮配管により同日16時40分ごろに断水は解消。人的被害はなく、崩落箇所の上下が空地だったため、市は住民避難の必要はないと判断しました。
翌28日にブルーシートで斜面を覆い、二次被害防止措置を実施しました。呉市の2026年9月1日付第2報では、測量設計を9〜11月、復旧工事を2026年12月〜2027年5月ごろとしています。シートを掛けた状態は、復旧工事の完了ではありません。
住まいのリスクに対する備え
土地の履歴やリスクを知ったら、次は「起きたときにどうするか」です。最低限そろえておくと動けるものを挙げます。
一から集めると抜けが出ます。まずセットで用意して、家族の人数分と常備薬だけ足すのが早いです。
断水で最初に困るのがトイレです。備蓄で見落とされやすい一方、代用が効きません。
停電時は懐中電灯より、部屋全体を照らせるランタンの方が使えます。電池でも充電でも点くものだと、どちらが尽きても止まりません。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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2025年〜2026年の崩落を時系列で整理
| 日付 | 場所 | 状況 | 生活への影響 |
|---|---|---|---|
| 2025年11月21日 | 内神町 | 斜面・私道が幅20m、高さ5m、奥行3mで崩落。水道管・ガス管を損傷 | 最大8世帯14人が避難。一部家屋で水・ガスが使用不能 |
| 2026年7月27日 | 山手1丁目 | 里道と石積擁壁が延長8.0m、幅1.7m、高さ5.5mで崩落 | 3世帯が一時断水。16時40分ごろ仮配管で解消 |
内神町では2025年11月21日21時49分に、民家裏の斜面が崩れたと通報がありました。幅20m、高さ5m、奥行3mにわたり崩れ、水道管とガス管から水とガスが漏れました。
呉市の第1報によると、消防は9世帯に避難を呼びかけ、片山中学校へ最大8世帯14人が避難しました。水道管は23時40分、ガス管は翌22日0時20分までに閉止。人的被害はありませんでした。
22日夕方にブルーシートを展張し、6世帯への避難の呼びかけを終了。影響範囲の2世帯3人には、降雨時などに避難所へ移れる体制と消防の巡回を続けました。
市はその後、石積擁壁への落石防護網、崩落面へのモルタル吹付などを特別緊急代執行で実施しました。2026年7月10日の完了発表で、避難所の受け入れ体制と巡回警戒を終了しています。
中国新聞は、2026年の山手の現場近くで2024年にも細い市道の石積みが崩れ、複数軒が断水したと報じています。ただし一次資料で正確な発生日と規模を確認できなかったため、上の2025〜2026年表には加えていません。
現地写真を含む中国新聞の公式投稿です。写真は保存・転載せず、Xの公式埋め込みで表示しています。
呉の斜面の住宅地で原因不明の崩落相次ぐ、水道管やガス管の破損も
— 中国新聞 (@ChugokuShimbun) August 24, 2026
「原因不明」は、何も調べていないという意味ではない
山手1丁目は2026年9月1日の市第2報でも「発生原因 不明」。内神町も発生翌日の第1報で「原因は不明」とされています。古い石積み、水道管の漏水、大雨のどれかが原因だと確認されたわけではありません。
一般論では、斜面や擁壁は複数の条件が重なって動きます。国土交通省は、宅地擁壁が時間とともに老朽化し、雨や地震でひび・傾きが生じること、背面の水が排出されないと擁壁へ過大な力がかかり、基礎地盤の軟弱化や破壊につながることを点検資料で説明しています。
- 古い石積みや擁壁の劣化、目地のずれ、はらみ出し
- 地中に入った水で土の抵抗力が弱くなること
- 地下水や大雨後の浸透水、排水設備の機能低下
- 給排水管からの漏水による背面土や地盤への影響
- 造成から長い時間がたった斜面住宅地の地形とインフラ
給排水管の漏水は調査候補になり得ますが、崩落で配管が壊れて漏れた可能性もあります。前後関係を確かめずに「水道管が原因」とは言えません。
読者
呉だから特別に崩れやすい、ということですか?
急斜面に住宅と細い道、古い擁壁や配管が集まると、点検と工事が難しくなります。ただし、地形や築年数だけで個別の崩落原因は決まりません。
呉市の公式資料は、1889年の鎮守府開庁後に人口が急増し、平地が少なかったため大正期に斜面へ住宅地が広がった歴史を紹介しています。今回の2件をこの歴史だけで説明することはできませんが、住宅・道路・配管が急斜面に重なる背景です。
なぜ水道管やガス管まで壊れるのか
水道管やガス管は、道路や宅地の下に埋められています。斜面や石積擁壁が数十cmでも動けば、地中の管には曲げる力や引っ張る力がかかります。
特に継ぎ目、地盤の硬さが変わる場所、擁壁の境目では力が集中します。管や継ぎ目が耐えられなくなると、漏水・ガス漏れ・断水・供給停止につながります。

ガス臭があるときは、換気扇や電灯のスイッチも着火源になります。火気を使わず、スイッチ類に触れず、安全な場所から広島ガスへ連絡してください。
斜面住宅地で確認したい異変 近づいて測らない
見るのは「前からあるか」より、「新しく出たか・急に広がったか」です。国土交通省の擁壁点検資料は、ひび割れ、湧水、はらみ出し、傾き、継ぎ目のずれ、沈下などを変状として挙げています。
- 擁壁に新しい亀裂が入り、幅や長さが広がっている
- 石積み・ブロックが外側へ膨らむ、傾く、ずれる
- 小石やブロック片が落ちるようになった
- 斜面や擁壁から水が染み出し、濁っている
- 今までなかった湧き水や、いつも湿った地面が現れた
- 擁壁の上の地面が沈み、亀裂や段差ができた
- 家、基礎、塀に突然ひびや傾きが出た
- 排水の流れが変わり、水が一か所へ集まるようになった

「写真を撮ってから」「ひびの幅を測ってから」と近づく必要はありません。気象台も、土砂災害警戒情報が出ていなくても普段と違う斜面の状況に気づいたら、安全な場所へ避難し、市町へ連絡するよう案内しています。
異変を見つけたら、原因を探す前に離れる
音、落石、急な沈下、土の動き、ガス臭があるときは、擁壁の上・下・横から離れてください。斜面の上下は、落ちる土砂と一緒に地面が動く範囲に入り得ます。
- 家族や周囲へ声をかけ、危険な斜面・擁壁から離れる
- 安全な場所から自治体、道路管理者、水道局、ガス会社へ連絡する
- 火災、負傷、閉じ込め、今にも崩れそうな状況なら119。交通上の緊急危険など警察対応が必要なら110

呉市で連絡できる窓口
| 異変 | 呉市内の連絡先 |
|---|---|
| がけ地・市道・河川 | 土木維持課 0823-25-3352〜3355 |
| 道路上の漏水 | 上下水道局 管路管理課 0823-26-1637 |
| 夜間・休日の水道 | 夜間休日緊急センター 0823-26-1600 |
| ガス臭・ガス漏れ | 広島ガス保安指令センター(呉地区)0823-22-3219 |
| 火災・負傷・閉じ込め | 119。交通上の緊急危険や警察対応が必要なら110 |
広島ガスは、ガス臭がするときに火気を使わないことに加え、換気扇・電灯などのスイッチに触れないよう案内しています。可能なら窓を開けますが、危険な斜面や建物へ戻ってまで行う必要はありません。
よくある質問
原因不明なら、何に注意すればよいですか?
原因を推測するのではなく、亀裂・膨らみ・ずれ・湧水・沈下など、今までと違う変化を見ます。変化が急なら近づかず、自治体へ連絡してください。
土砂災害警戒区域の外なら擁壁は安全ですか?
区域指定は避難判断の重要な情報ですが、個々の私道や宅地擁壁の健全性を保証するものではありません。擁壁そのものの変状は別に確認します。
水道の漏れが崩落原因ですか?
今回の2件では確認されていません。漏水が地盤へ影響する場合も、崩落によって管が破損する場合もあるため、個別調査なしに前後関係は決められません。
まとめ 斜面の異変は生活インフラの異変でもある
呉市の2件は、擁壁や通路だけでなく、水道・ガスまで同時に影響しました。斜面住宅地の崩落は、足元の土だけの問題ではなく、断水・ガス停止・避難へつながる生活インフラの問題です。
異変を感じたら、原因を自分で確かめようとしないでください。危険な斜面と擁壁から離れ、安全な場所から呉市、上下水道局、広島ガス、緊急機関へ連絡する。この順番が、最も実用的な備えです。
住まい周辺の土砂災害区域を先に確認したい場合は、住所から災害リスクを調べる無料ツールも使えます。色のある場所だけでなく、擁壁の現況と避難経路も一緒に見てください。
出典
- 中国新聞デジタル「呉の斜面の住宅地、原因不明の崩落相次ぐ」(2026年9月2日確認)
- 呉市「山手1丁目の里道崩落について」第1報
- 呉市「山手1丁目の里道崩落について(第2報)」
- 呉市「内神町 斜面崩落に対する呉市の対応状況(第1報)」
- 呉市「内神町 斜面崩落に対する呉市の対応状況(第2報)」
- 呉市「内神町 斜面崩落に対する呉市の対応」(2026年7月10日)
- 国土交通省「宅地擁壁について」
- 国土交通省「我が家の擁壁チェックシート(案)」
- 国土交通省「道路土工構造物点検要領」
- 国土交通省「がけ崩れとその対策」
- 気象庁 高松地方気象台「土砂災害警戒情報」
- 呉市「異常を感じたら連絡を(がけ地・河川など)」
- 広島ガス「ガスくさいと感じたら」


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