🗨️「個人向け国債が税金で優遇されるって本当? いつから、いくら得になるの?」
金融庁が公表した要望書に載っているのは「国債に関する税制の検討」という一行だけです。税目も税率も対象者も開始時期も書かれていません。報道が伝えている相続税の減免やNISA(ニーサ)の対象化は、要望書の本文には出てこない案の段階です。
[税制・補助金] この記事の要点
2026年9月1日 発表
- 個人向け国債を持っている人、これから買おうとしている人
- 実家や自宅の相続を考えていて、現金・不動産・金融商品の配分を迷っている人
- NISAで運用しながら住宅ローンを返している人
公表された文書に書いてあるのは、この一行だけ
金融庁が2026年8月31日に公表した「令和9年度 税制改正要望項目」を開くと、国債の話は7ページの「その他の要望項目」の中にあります。原文のまま書き写すとこうです。
◇ 国債に関する税制の検討【事項要望】〔財務省と共同要望〕
以上です。税目も、税率も、対象になる商品も、いつからかも書かれていません。「個人向け国債」という言葉すら、この行には出てきません。
ニュースでは相続税が安くなるとかNISAの対象になるとか言っていましたが、あれは?
それは日本経済新聞や時事通信が、自民党の部会での説明や関係者の話として伝えている案です。金融庁が公表した文書のほうには載っていません。読むときは分けて考えてください。
「事項要望」は、中身を書かずに検討だけを求める形式
「税優遇が決まったのなら、いまのうちに買っておこう」と読んだ人がいるかもしれません。決まっていません。要望が出た、というところまでです。
各省庁は毎年8月末までに、翌年度の税制改正でしてほしいことを財務省と総務省に出します。このとき、減税の中身まで具体的に書くものと、「この論点を検討してください」とだけ書くものがあり、後者に【事項要望】という印が付きます。
令和9年度の金融庁の要望で【事項要望】が付いているのは4件です。国債に関する税制の検討のほか、OECD(経済協力開発機構)の新国際課税ルール、保険業に関する制度の見直し、金融制度等の見直しでした。一方、同じ文書の重点要望はNISAの利便性向上で、こちらは中身のある通常の要望として書かれています。国債の税制は、重点でも通常の要望でもなく「その他」かつ「事項要望」という位置づけです。
要望が実際の減税になるまでには、まだ工程が残っています。いまはこの表の1段目です。
| 時期 | 何が起きるか | 中身は決まるか |
|---|---|---|
| 2026年8月末(済) | 各省庁が税制改正要望を提出・公表 | 決まらない(事項要望は論点だけ) |
| 2026年秋 | 与党の税制調査会で各要望を審議 | ここで落ちる要望もある |
| 2026年12月 | 与党税制改正大綱の公表 | 実質ここで決まる |
| 2027年の通常国会 | 税制改正法案の成立・施行 | 適用開始はここから |
報道が伝えている狙いと、慎重論
報道によると、狙いは国債の買い手を増やすことです。日本銀行が国債の買い入れ額を減らしているなかで、個人に持ってもらう量を増やしたい。国債の保有者に占める個人の割合は2%程度にとどまっていると伝えられています。案として出ているのは、相続時の課税を軽くする形と、NISAの対象に加える形の2つです。
同時に、与党内には公平性の観点から慎重な意見があることも各社が報じています。国債だけを優遇すると、ほかの金融商品や預金との間で扱いが変わるためです。

同じ文書には、相続まわりの要望が4つ並んでいる
実家をどうするかを考えている人には、国債より先にこちらを見ておくほうが実益があります。同じ「その他の要望項目」に、相続に関わる要望が並んでいました。
- 上場株式等の相続税に係る見直し
- 死亡保険金の相続税非課税限度額の引上げ
- 相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(取得費加算)に係る所要の措置
- 民法の改正(遺言制度の見直し)に伴う所要の措置
このうち「取得費加算の特例」は、相続した不動産を相続税の申告期限の翌日から3年以内に売ったとき、払った相続税の一部を取得費に足して譲渡所得を減らせる制度です。相続した実家を売る予定がある人には、国債の税制よりこちらのほうが金額に直結します。
私は、住宅ローンがある家では今回の話を気にしなくてよいと考えています
ここからは私の考えです。同じ9月1日に、フラット35の9月金利が年3.460%になったと発表されました。仮に個人向け国債に税優遇が付いたとしても、利子の水準は2%台です。3.460%で借りながら2%台で運用すれば、その差は毎年出ていきます。
住宅ローンを返している家にとって、確実に利回りが取れる置き場所は繰上返済です。国債の税制がどうなるかは12月の与党税制改正大綱まで分かりませんが、その間に自分の借入金利を確かめることはできます。私は、順番はそちらが先だと考えています。
生活・仕事にどう効くか
- 手取り:今の時点で変わるものは何もない。個人向け国債の利子にかかる20.315%の源泉分離課税は、2026年9月現在そのまま。
- 相続:報道では相続税の減免案が浮上しているが、金融庁の公表文書には記載がない。実家の相続の設計を今から組み替える材料にはならない。
- この先の日程:税制改正の中身が固まるのは与党税制調査会の議論を経た12月の大綱。要望が通るかどうかもそこで決まる。
結局どうすればよいか
- 「決まった」ではなく「検討してほしいと要望が出た」段階だと押さえておく
- 実際に何が変わるかは、12月に公表される与党税制改正大綱を見る
- 住宅ローンを返している人は、利回りの比較より先に自分の借入金利を確認する
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くわしく知る(保存版の記事)
ほかに使える無料ツール
公式出典
- 金融庁「令和9年度 税制改正要望について」(2026年8月31日発表)
- 金融庁「令和9年度 税制改正要望項目」(PDF・7ページ「その他の要望項目」)(2026年8月31日発表)
- 日本経済新聞「個人向け国債に税優遇検討、金融庁・財務省が要望 自民部会で提示」(2026年8月26日発表)
- 時事通信「個人向け国債に税優遇 受け皿拡大、財務省・金融庁が要望へ」(2026年8月25日発表)
更新履歴
- 2026年9月1日 初版を公開
※本記事は2026年9月1日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


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