引っ越しの役所手続きは、同じ市区町村の中で移るなら役所1か所で終わります。市外・県外へ出るなら、旧住所と新住所の2か所です。持って行くのは本人確認書類とマイナンバーカード、期限はどちらも14日以内。ここまでが答えです。
ただ、マイナンバーカードで転出届をオンラインで出した人ほど、あとでつまずきます。オンラインで済むのは旧住所の1か所だけで、新住所の役所へは必ず行くことになるからです。しかも、オンラインで転出届を出せる期間は、法律の期限より4日早く閉まります。
この記事でわかること
- ✓ 市内・市外・県外で、役所へ行く回数がどう変わるか
- ✓ 窓口に持って行くもの(全員・該当する人・代理で行く人)
- ✓ 期限の数字(転入届14日/オンライン転出10日/児童手当15日/介護保険14日/犬30日)
- ✓ 14日を過ぎたとき、誰が何を決めるのか
- ✓ 役所が終わっても残る手続きが1つあること
市内の引っ越しか、市外へ出る引っ越しか。役所へ行く回数はここで決まります
同じ市区町村の中で住所が変わるだけなら、出すのは転居届の1本です。引っ越したあとに新しい住所を届け出て、それで終わります。
市外・県外へ出るなら2本になります。出て行く前に旧住所の役所へ転出届。引っ越したあとに新住所の役所へ転入届。この2本目は、いまのところオンラインでは終わりません。
住民基本台帳法は、この3つを別々の条文で決めています。転入届は第22条第1項で「転入をした日から十四日以内」、転居届は第23条で「転居をした日から十四日以内」。
転出届だけ、書き方が違います。第24条は「転出をする者は、あらかじめ、その氏名、転出先及び転出の予定年月日を市町村長に届け出なければならない」。日数がどこにも書いてありません。「転出届も14日以内」という説明をよく見かけますが、法律にその数字はありません。「あらかじめ」=引っ越す前に、が条文の言い方です。
読者
もう引っ越したあとなんですが、転出届はもう出せないんですか?
出せます。「あらかじめ」は前に出してくださいという意味で、過ぎたら受け付けないという意味ではありません。多くの市区町村が、引っ越したあとの転出届を郵送やオンラインで受け付けています。

役所に持って行くもの。全員・該当する人・代理で行く人の3つに分かれます
法律には「これを持って来い」という条文がありません。住民基本台帳法第22条第2項が「住所の異動に関する文書で政令で定めるもの」と書いているだけです。実際に窓口で求められるものを、市区町村の案内から並べます。
まず全員が持って行くものです。
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- マイナンバーカード(手続きをする家族全員分。住所の書き換えを同時に行うため)
- 印鑑(不要にしている市区町村が増えています)
- 転出証明書(マイナンバーカードで転出した人には交付されません。これは後で書きます)
次に、該当する人だけが持って行くものです。
- 国民健康保険の保険証または資格確認書
- 介護保険の受給資格証明書(要支援・要介護の認定を受けている人)
- 児童手当の請求に必要なもの
- 原付の廃車申告受付書
- 印鑑登録証(旧住所のもの。返します)
三つ目が代理で行く人です。四日市市の案内はこう書いています。「本人以外の代理人が手続きをされる場合は、原則委任状が必要です。ただし、同世帯の親族の方が手続きする下記のケースでは不要ですのでご確認ください」。転出届・転入届・転居届のいずれも、旧住所で同じ世帯だった親族が手続きするなら委任状は要りません。ここでいう親族は「6親等以内の血族または3親等以内の姻族」です。
読者
夫は仕事を休めません。私が夫の分もまとめて出せますか。
出せます。ただし条件があります。判定は戸籍ではなく、住民票で同じ世帯かどうかです。
夫の分を妻が、子どもの分を親がまとめて出せるかどうかは、住民票で同じ世帯かどうかで決まります。同じ世帯なら委任状は要りません。世帯を分けている場合は、親子でも夫婦でも委任状が要ります。
同じ世帯であれば、マイナンバーカードの継続利用に必要な4桁の暗証番号も、代わりに入力できます。生駒市は「同一世帯員が暗証番号が分からない場合もしくは代理人が暗証番号を封緘したものをお持ちでない場合、継続利用手続きはできません」と書いていて、裏を返すと、同じ世帯の人が暗証番号を知っていればその場で終わるということです。家族の分を持って行くなら、カードだけでなく暗証番号も聞いてから出てください。
必要なものは市区町村ごとに少しずつ違います。行く前に、引っ越し先の市区町村のページで「転入届」を確認してください。
いつまでにやるか。覚える数字は5つです
期限の数字が散らばっているので、先に並べます。
- 転入届・転居届 …… 14日以内(住民基本台帳法 第22条第1項・第23条)
- マイナポータルでの転出届 …… 引っ越した日から10日後まで
- 児童手当の認定請求 …… 転出予定日の翌日から15日以内(15日特例)
- 介護保険の受給資格証明書の提出 …… 転入から14日以内
- 犬の登録事項変更届 …… 所在地が変わった日から30日以内(狂犬病予防法 第4条第4項)
このうち、いちばん引っかかりやすいのが2番目です。法律の期限は14日なのに、マイナポータルで転出届を出せるのは引っ越した日から10日後までです。11日目に気づいた人は、窓口か郵送に戻されます。
オンラインで転出届を出せる期間は、横浜市が「お引越し予定日の30日前からお引越しした日(=転入日)後10日以内」、新宿区が「引越しをする予定日の30日前から」「既に引越しを済ませている場合は、引越しをした日から10日後まで」と書いていて、2つの自治体で一致しています。
そして転入届のほうにも、オンラインで転出した人だけの条件が足されます。引っ越してきた日から14日以内、かつマイナポータルで申請した「引越す日」から30日以内。この2つを両方満たす必要があります。
児童手当の15日特例も見落としやすいところです。転出予定日の翌日から15日以内に新しい市区町村へ認定請求を出せば、転出した月の翌月分から支給されます。過ぎると、その分がもらえない月として消えます。

マイナンバーカードで転出すると、転出証明書は出ません
Yahoo!知恵袋に、2022年9月18日8時35分の投稿でこういう質問があります。
転出届の手続きを忘れて引っ越してしまった場合、どうすれば良いのでしょうか。転入届はまだしない方がいいのですか?
これに付いたベストアンサーが、同じ日の9時14分にこう答えています。
転入届には転出証明書が必要です。転出届を提出すると、転出証明書が発行されます。(略)郵送で転出届を提出できます。提出すると転出証明書が返送されてきますが、届くまで1週間程度かかるので、早めに手続きを始めましょう。
紙で転出した人には、この説明がいまもそのまま当てはまります。ただし、マイナンバーカードを使って転出届を出した人には、転出証明書はそもそも交付されません。1週間待つ必要がないのです。
根拠は住民基本台帳法第24条の2です。「個人番号カードの交付を受けている者等に関する転入届の特例」という見出しで、カードを持っている人が転出届を出した場合、そのあとの転入届については「第二十二条第二項の規定は、適用しない」と定めています。第22条第2項が転出証明書の添付を求めている条文なので、その義務ごと外れる、という作りです。
相模原市はこれを窓口の言葉に直して、「カードを利用した転出届出をされた場合には、転出証明書は交付されず、カードを持って転入の届出をしていただくことになります」と書いています。
読者
では、カードさえ持って行けば大丈夫ですか。
大丈夫です。ただ、そのカードが失効してしまう期限が3つあります。
豊島区の案内が、失効する場合を3つ並べています。
- 転入した翌日から14日以上経過して転入届をしたとき
- 転出予定日の翌日から30日以上経過して転入届をしたとき
- 転入届をした翌日から90日が経過したとき(継続利用の手続きをしないまま)
生駒市も同じ3つを挙げています。失効すると再発行になり、手数料がかかります。転入届と同時に継続利用の手続きまで済ませてしまうのが、いちばん確実です。
期限を14日過ぎたら。決めるのは役所の窓口ではありません
期限を過ぎた人の質問が、知恵袋には毎年並びます。2023年3月1日17時07分の投稿はこうです。
転居届 14日以内を過ぎておりますが、過料はその場支払いですか? その場合会社に通達行きますか? 住民票に載る日付は遡ってそのまま記載されるのでしょうか? いろいろ不安です、、、よろしくお願いいたします。
2024年3月10日15時30分の投稿はこうです。
転入届を14日以内に出すのを知らず、今日で15日目です。明日明後日にでも行こうかと思っていますが、調べたらマイナンバーカード失効するとか5万以下の罰金とかでてきて不安です。本当ですか?どのタイミングで罰金取られるんですか?
2人とも金額そのものより、誰にいつ何をされるのかが分からなくて不安になっています。答えを先に書きます。
住民基本台帳法第52条第2項は「正当な理由がなくて第二十二条から第二十四条まで、第二十五条又は第三十条の四十六から第三十条の四十八までの規定による届出をしない者は、五万円以下の過料に処する」と定めています。そして第53条が「前三条の規定による過料についての裁判は、簡易裁判所がする」と続きます。
過料は罰金ではありません。刑罰ではないので前科はつきませんし、役所の窓口で払うものでもありません。科すかどうかを決めるのは、役所ではなく簡易裁判所です。広島市も「実際に過料に処すかどうかの判断は【裁判所】(簡易裁判所)が行います」と書いています。
同じ広島市のページには、もう2つ、知っておくと気が楽になることが書かれています。「届出期間の最後の日が休日のときは、その翌日をもって期間満了となります」。そして「定められた期間を経過していても届出の方法は変わりませんので、(略)すみやかに届出をしてください」。期限を過ぎても、届出のやり方は変わりません。
ただし、遅れた分だけ窓口で聞かれることは増えます。名古屋市と横浜市はどちらも、期限を過ぎた届出について「一定期間経過しますと転入届出時に窓口で状況を確認させていただき、疎明資料等を求める場合があります」としています。いつからその住所に住んでいたかを示す資料、つまり賃貸借契約書や公共料金の領収書のことです。遅れて行くなら、それらを持って行ってください。
私は、14日という期限で本当に効いてくるのは過料ではないと考えています。過料は簡易裁判所の判断で、実際に科されるかどうかは分かりません。それより確実に財布に効くのは、次の節に出てくる国民健康保険と介護保険と児童手当の3つです。こちらは遅れた分だけ、金額がはっきり動きます。
市内と県外で扱いが変わるもの。役所の回数だけではありません
同じ市区町村の中か、外へ出るか。変わるのは役所の数だけではありません。7つあります。
- 印鑑登録 …… 市内は手続き不要。市外へ出ると転出(予定)日で自動的に廃止され、新住所で登録し直し
- 国民健康保険 …… 市内は住所変更のみ。市外は旧市区町村で資格喪失、新市区町村で加入
- 介護保険 …… 市内は引き継がれる。市外は受給資格証明書を14日以内に提出
- 児童手当 …… 市内は住所変更のみ。市外は転入先で認定請求(15日特例)
- 原付・125cc以下のバイク …… 市内は手続き不要。市外は廃車申告してナンバーを返し、新住所で新しいナンバーの交付を受ける
- 国民年金(第1号被保険者) …… どちらも原則、届出は不要
- 犬 …… 所在地の変更として30日以内に届出
市内の引っ越しなら何もしなくていいのに、市外に出た日から使えなくなるものが2つあります。印鑑登録と、原付のナンバーです。不動産の契約や車の登録で実印が要る予定がある人は、印鑑登録が消える日をカレンダーに入れておいてください。
国民健康保険の遅れは、いちばんはっきり金額に出ます。堺市は「14日以内に届出をしなかった場合でも、保険料は国保に加入する資格が発生した月の分までさかのぼって納めていただくことになります」と書き、その間に受けた診療は全額自己負担になるとしています。届出が遅れても保険料は減らず、医療費だけが増える、という形です。
介護保険も同じです。旧市区町村で受給資格証明書を受け取り、転入から14日以内に新市区町村へ出せば、要介護度はそのまま引き継がれます。14日を過ぎると認定のやり直しになり、結果が出るまで1か月ほどかかります。しかも、前と同じ要介護度になるとは限りません。
役所の手続きは無料です。お金が動くのはここから先
転入届も転居届も転出届も、手数料はかかりません。お金がかかるのは、住民票の写しなどの証明書を取るときだけです。
引っ越しで金額が大きく動くのは、役所ではなく運ぶほうです。同じ荷物・同じ日程でも、業者によって出てくる金額は変わります。1社だけ呼んで決めると、その金額が高いのか安いのか分からないまま契約することになります。
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役所が終わっても、持ち家なら法務局が残ります
ここまでが役所の話です。ただ、家や土地を持っている人には、もう1か所あります。法務局です。
登記されている住所は、住民票を移しただけでは変わりません。2026年4月1日から、住所が変わったら変更登記を申請することが義務になりました。期限は変更があった日から2年以内。正当な理由なく怠ると5万円以下の過料です(不動産登記法第164条第2項)。施行日より前に引っ越していた分は、2028年3月31日までが期限になります。
役所の転入届は14日以内で5万円以下の過料、法務局の住所変更登記は2年以内で5万円以下の過料。同じ金額が2回出てきて、違うのは期限だけです。
この登記は、登録免許税を含めて無料で済ませる方法があります。「スマート変更登記」といって、検索用情報の申出を一度しておけば、法務局が住民基本台帳ネットワークに照会して職権で更新してくれます。手順は住所変更登記が2026年4月から義務化。引っ越し・改姓を放置すると5万円以下の過料にに書きました。
読者
賃貸なら関係ないですか。
賃貸なら関係ありません。登記されている不動産を持っている人だけの話です。
引っ越し先のことは、届出と同じ日に1つだけ調べておく
転入届を出す日は、たいてい新しい住所に住み始めた直後です。この時期にしか調べる気になれないことが1つあります。新しい家の災害リスクです。
住所を入れると、その場所の浸水想定・土砂災害・地震の揺れやすさをまとめて出せます。引っ越してから何年も経つと、なかなか調べ直しません。
子どもがいる場合は、通う小中学校も町名から調べられます。転校の手続きは役所と学校の順番で結果が変わるので、引っ越しで小学校を転校する手続き|順番を間違えると役所に2回行くにまとめてあります。
出典と時点
2026年8月30日時点の制度で書いています。手続きの細かい部分は市区町村ごとに違うので、最後はお住まいの市区町村のページでご確認ください。
- 住民基本台帳法(第22条・第23条・第24条・第24条の2・第52条・第53条)/e-Gov法令検索
- 狂犬病予防法 第4条第4項、不動産登記法 第164条第2項/e-Gov法令検索
- 広島市「届出期間を過ぎてしまった場合はどうなりますか」
- 名古屋市「引越しの手続きを忘れていた場合の手続方法を知りたい(期限後の転入・転出)」
- 横浜市「マイナンバーカードを利用した転出届」
- 新宿区「引越し手続オンラインサービス」
- 相模原市「マイナンバーカードを利用した転出届・転入届」
- 豊島区「マイナンバーカードの継続利用について」/生駒市「マイナンバーカードを利用した転出、転入と継続利用手続」
- 四日市市「住民異動届(転入・転出・転居)」
- 堺市「こんなときは14日以内に届出を」
- 日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」/こども家庭庁「児童手当制度のご案内」
- 読者の声はYahoo!知恵袋の実在の投稿(2022年9月18日/2023年3月1日/2024年3月10日)から原文のまま引用しました


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