🗨️「道路が1本開いただけで、住んでいる町の何が変わるんですか?」
広島呉道路の30年でいうと、坂町の製造品出荷額等が約2.3倍、呉市が約1.3倍になりました。もうひとつ、平成30年7月豪雨のときにJR線の代わりの臨時輸送バスが走れたのもこの道です。
[交通] この記事の要点
NEXCO西日本 中国支社が2026年8月26日、E31 広島呉道路が8月30日(日曜)に全線開通30年を迎えるとして、30年間の整備効果をまとめて公表した。全線開通は1996年8月30日、坂北IC〜天応東ICの開通による。
2026年8月26日 発表
- 呉市・坂町・海田町に住んでいて、広島市内へ通勤・通学している人
- 呉市や坂町で家や土地を持っている人・これから買う人
- 呉の観光地や海水浴場へ車で行く人
- 災害のときに家からどう出るかを考えている人
この記事でわかること
- 広島呉道路の30年で、沿線の出荷額・観光・交通がどれだけ動いたか
- 平成30年7月豪雨のときに、この道路が何に使われたか
- いま進んでいる4車線化の理由が、渋滞ではなく防災であること
この記事でわかること
- ✓ 広島呉道路の30年で、沿線の出荷額と観光がどれだけ動いたか
- ✓ 平成30年7月豪雨のとき、この道路が何に使われたか
- ✓ いま進んでいる4車線化の理由が、渋滞ではなく防災であること
30年で2億6千万台が走り、経済波及効果は約2,900億円
広島呉道路は1996年8月30日、坂北IC〜天応東ICが開通して全線がつながりました。今年の8月30日で30年になります。
NEXCO西日本 中国支社が2026年8月26日に公表した整備効果によると、この30年で走った車は累計2億6千万台。経済波及効果は30年間で約2,900億円と見積もられています。1年あたりに直すと、およそ867万台と約97億円です。
2億6千万台って、多いんですか?
1年あたり約867万台、1日あたりにすると約2万4千台です。観光シーズンだけ混む道ではなく、毎日の通勤で使われてきた数字だと分かります。
| 項目 | 30年でどうなったか |
|---|---|
| 累計利用台数 | 2億6千万台 |
| 経済波及効果 | 約2,900億円 |
| 高速バスの累計輸送人員 | 約1,600万人 |
| 製造品出荷額等(坂町) | 約2.3倍 |
| 製造品出荷額等(呉市) | 約1.3倍 |
| 呉市来訪時に自動車を使う割合 | 約74% |
坂町の出荷額は約2.3倍、呉市は約1.3倍になった
道路の効果でいちばん分かりやすいのは、工場が動いた量です。全線開通からの比較で、坂町の製造品出荷額等は約2.3倍、呉市は約1.3倍に増えました。同じ道路の沿線でも、伸び方は町によってここまで違います。
坂町は広島市に隣接する小さな町です。そこに高速道路のICができると、広島市内の企業にとっては「市内より土地が確保できて、市内へ高速で戻れる場所」になります。もともとの規模が小さいぶん、工場が1つ増えたときの倍率が大きく出ます。伸び方の差は町の実力差というより立地と規模の差だと私は見ています。
観光のほうも動いています。呉市を訪れるときの交通手段は約74%が自動車で、広島市内からいちばん近い海水浴場へのアクセスが良くなった結果、坂町以外の地域から来た人が約90%を占めるようになりました。地元の海水浴場が、広島都市圏の海水浴場に変わったということです。
平成30年7月豪雨のとき、この道は緊急車両に開放された
30周年の資料で目立つのは、お祝いの数字よりもこちらです。
平成30年7月豪雨のとき、NEXCO西日本は広島呉道路の通行可能区間の一部を緊急車両に開放して緊急輸送路を確保しました。救助と復旧の車がここを通っています。
さらに、この道路が使えたことで路線バスとJR線の臨時輸送バスが走れました。鉄道が動かない間、呉と広島の間の移動手段が残り、しかもバスの定時性まで確保できたと整備効果には書かれています。時刻どおりに着くバスがあるかどうかは、通院や出勤の可否をそのまま左右します。
道路が1本あるかどうかで、そこまで変わるものですか。
変わります。海沿いの町は、山と海に挟まれて道が数本しかないことが多いんです。1本が土砂で埋まると、残りに全部の車が乗ってきます。
いま進んでいる4車線化は、渋滞対策ではなく防災対策
広島呉道路にはまだ暫定2車線の区間があります。NEXCO西日本はこの区間の4車線化を進めていますが、資料に書かれている理由は渋滞ではありません。平成30年7月豪雨災害を受けた防災・減災対策としての機能強化です。
暫定2車線は、対向車線とポールで仕切られただけの1車線ずつの道です。事故や故障が1件起きると、その時点で通れなくなります。災害時に代替路線として当てにする道であればあるほど、2車線のままでは心もとない、という考え方です。専門的にはリダンダンシー(代替路線としての機能)と呼ばれます。
家を買うときに「近くにICがある」を条件にする人は多いのですが、その道が2車線なのか4車線なのか、災害のときに開けておく順番が高いのかまで見る人は多くありません。広島呉道路の30年は、道路の本数ではなく道路の太さと使われ方が効くことを示した30年だったと私は考えています。
生活・仕事にどう効くか
- 毎日の通勤:全線開通と同時に走り始めた高速バスの累計輸送人員は約1,600万人。呉〜広島の移動は、鉄道と自家用車に加えてこのバスが第3の選択肢として30年ぶんの実績を積んだ。
- 家の資産価値:沿線の坂町では製造品出荷額等が約2.3倍、呉市では約1.3倍に増えた。働く場所が増えることは、そのまま住宅需要の下支えになる。
- 災害のとき:平成30年7月豪雨では通行可能区間の一部が緊急車両に開放され、緊急輸送路として使われた。逃げ道と支援の入り口を2本持っているかどうかは、土地を選ぶときの判断材料になる。
結局どうすればよいか
- 呉市・坂町で家を探すなら、最寄りICまでの距離と、ICへ行く一般道が冠水しやすい道かどうかを地図で見ておく
- 災害リスク診断で、自宅から最寄りICまでの経路が土砂災害警戒区域や浸水想定区域を通っていないか確かめる
- 4車線化の工事が始まる区間は、規制の予定がNEXCO西日本の工事規制情報に出るので、通勤で使う人は月初に一度見ておく
公式出典
- NEXCO西日本 中国支社「E31 広島呉道路が全線開通して30周年を迎えます ― 沿線市町の地域活性化に大きく貢献 ―」(2026年8月26日発表)
- NEXCO西日本 工事規制・工事通行止め情報(2026年8月26日発表)
更新履歴
- 2026年8月26日 初版を公開
※本記事は2026年8月26日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


コメント