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不動産用語の「物上げ」って何?

売り物件の前で電話をする不動産担当者

「物上げ(ぶつあげ)」は、まだ売りに出ていない土地や建物の所有者に連絡し、売却の依頼や買取の機会をつくる活動です。宅地建物取引業法に出てくる言葉ではなく、業界内の呼び名です。物上げ自体が違法という意味ではありません。

ただ、持ち主の側から見ると、突然の電話や手紙、訪問として始まります。「買いたい人がいます」「今なら高く売れます」と言われ、頼んでいない査定や契約の話に進むので、不安になりやすい場面です。

先に結論

最初に確かめるのは査定額ではありません。相手があなたの家を買うのか、売却を仲介するのかです。買取なら不動産会社が買主、媒介なら不動産会社は売主と買主の間に立ちます。この1点で、価格・手数料・契約の中身が変わります。

目次

物上げは、売り物でない不動産を「売れる状態」にする仕事

買主を探す前に、まず売主から物件を預からなければ売買仲介は始まりません。不動産会社が所有者を探し、売却の意向を聞き、査定し、媒介契約を結ぶまでが物上げの中心です。会社が直接買い取る仕入れ活動まで含めて物上げと呼ぶこともあります。

物上げで不動産が売り物件になるまでの流れ
物上げは「所有者へ接触し、売却の入口を作る活動」の呼び名です。

所有者への接触方法は、電話、ダイレクトメール、訪問、過去の相談者への連絡などさまざまです。登記事項証明書など公開情報を手掛かりにする会社もありますが、実際にどの情報源を使ったかは相手に確認しなければ分かりません。「どこでこの連絡先を知ったのですか」と聞いて構いません。

言葉は同じでも範囲が一定ではありません。
「売却の媒介を取る営業」だけを指す会社もあれば、「自社で買い取る仕入れ」まで含める会社もあります。用語の意味より、提示された契約の種類を確認するほうが確実です。

「買いたい人がいる」は、媒介と買取のどちらなのか

媒介所有者は一般の買主へ売ります。不動産会社は広告・案内・契約調整を行い、成約時に仲介手数料を受け取ります。査定額は「この価格で売れる保証」ではありません。
買取不動産会社が自ら買主になります。再販売の費用と利益を見込むため、一般の買主へ売る価格より低くなるのが通常です。その代わり、売却時期を決めやすい利点があります。
媒介と買取の違いを示す図
同じ「売ってください」でも、媒介と買取では契約相手も価格の考え方も違います。

「この地域で探しているお客様がいる」と言われたら、次の順に聞くと話が整理できます。

  1. その人は、御社が確認済みの具体的な購入希望者ですか。
  2. 御社が買う買取ですか、買主を探す媒介ですか。
  3. 提示額は買取額ですか、売出しを提案する査定額ですか。
  4. 査定額の根拠となる成約事例を、書面で見せてもらえますか。

媒介の仕組みを先に知りたい場合は、元付・客付の違い片手・両手の違いを読むと、誰が誰から手数料を受け取るのかが分かります。

査定額が高い会社ほど、手取りが多いとは限りません

物上げ営業では、最初の査定額が入口になります。しかし査定は契約価格ではありません。高い査定額で媒介契約を取り、反響がなければ値下げを提案する流れもあり得ます。

比較するときは、査定額の大きさではなく、次の4点を横に並べます。

  • 近隣の成約価格と、今売り出されている価格を分けているか
  • 建物の状態、接道、境界、再建築条件など、値段を下げる要因も書いているか
  • 仲介手数料、測量、残置物、解体、登記などを引いた手取りを示しているか
  • 媒介なら、一般・専任・専属専任のどれを提案し、なぜそれが合うのか

先に地域の相場を自分で確認する ▶

しつこい電話や訪問は「営業だから仕方ない」ではありません

国土交通省の地方整備局は、宅建業者の勧誘について、断った後もしつこく電話する、会社名や担当者名を名乗らない、深夜や長時間にわたり勧誘する、脅迫めいた発言をする、といった例を挙げて注意を呼びかけています。

止めたいときは、理由を詳しく説明する必要はありません。「売却しません。今後の電話・訪問も不要です」と、契約しない意思と今後の連絡を望まない意思を分けて伝えます。

しつこい不動産営業を止める三段階
断る、記録する、免許を確認する。感情的に言い返す必要はありません。
  1. 記録する:日時、電話番号、会社名、担当者名、言われた内容を残します。
  2. 免許を確認する:国土交通省の「宅地建物取引業者検索」で会社名と免許番号を確認します。
  3. 相談する:免許を出した国土交通大臣または都道府県の宅建業担当窓口へ具体的な記録を伝えます。窓口が分からなければ消費者ホットライン188です。

売るか迷っているなら、その場で媒介契約を決めない

物上げは、不動産会社にとっては通常の仕入れ活動です。一方、所有者にとっては、生活の場や相続財産を動かす入口です。同じ温度で急ぐ必要はありません。

その日のうちにすることは、会社名と提案内容を控えるところまでで十分です。売却理由、希望時期、残したい手取りを家族で整理し、複数社の査定根拠を比べてから契約を選びます。実家の処分を含む場合は、実家じまいの進め方も先に確認してください。

まとめ

物上げは、所有者へ接触して売却物件を仕入れる活動です。違法行為の名前ではありません。ただし、電話の向こうが買取なのか媒介なのか、高い数字が買取額なのか査定額なのかを曖昧にしたまま進めると、判断を誤ります。

相手、取引態様、価格の根拠、手取りの4つを書面で確認し、不要なら「売却しない。今後の連絡も不要」と明確に断る。それでも続く場合は記録を持って免許行政庁へ。用語を覚える目的は、不動産会社の会話に合わせることではなく、自分の家の話を自分の速度に戻すことです。

出典・確認先

2026年8月24日時点の制度・公開資料に基づく一般的な解説です。個別の媒介契約や売買契約の判断は、契約書を確認できる宅地建物取引士、弁護士等へご相談ください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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