🗨️「きちんと寝たのに、高速に乗ると眠くなります。自分だけがだらしないのでしょうか。」
統計を見るかぎり、そうではありません。交通死亡事故は10年で3,585件から2,257件へ37%減りましたが、「過労運転」が原因の死亡事故だけは22件から42件へ約2倍に増えています。減らせた原因と減らせていない原因がはっきり分かれていて、眠気は後者です。
[交通] この記事の要点
警察庁が公表した法令違反別の死亡事故件数(表3-2-1、令和7年12月末現在)で、2025年の交通死亡事故は2,257件と10年前の63%まで減った一方、過労運転を原因とする死亡事故は2015年の22件から2025年の42件へ増加した。単独の原因で最も多いのは漫然運転の365件で、前年より29件(8.6%)増えている。
2026年8月12日 発表
- お盆や年末年始に長距離を運転して帰省する人
- 夜間や早朝に高速道路を使う人
- 運転を交代できる同乗者がいない人
この記事でわかること
- 10年で減った事故原因と、減っていない事故原因がどう分かれているか
- 「居眠り運転」という項目が統計に存在せず、どこに数えられているか
- 過労運転が道路交通法でどう禁じられているか(罰則の対象になる条文)
先に結論
- 2025年の交通死亡事故は2,257件。10年前の3,585件から37%減った
- そのなかで過労運転だけが22件→42件と約2倍。10年前を100とした指数は191で、全項目の最大
- 単独の原因で最多は漫然運転の365件(構成率16.2%)。前年より29件・8.6%増えている
- 脇見運転は460件→244件(指数53)、安全速度は93件→33件(指数35)まで減った
- 「居眠り運転」という項目は統計に存在せず、漫然運転か過労運転に分かれて数えられている
渋滞と通行止めで動けなくなったときに要るもの
迂回路を調べるにも、その場で待つにも、要るのはトイレと電源の2つです。車に積みっぱなしにできる小さいものだけ挙げます。
渋滞と通行止めで動けなくなったとき、いちばん先に困るのがトイレです。高速道路上ではパーキングまで降りられないので、車に積んでおくものの中では優先度が高い1つです。
渋滞中はナビと地図と渋滞情報でスマホを使い続けるので、電池は思ったより早く減ります。迂回路を調べる段になって充電が無いと、動けるのに動けません。
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10年で減った事故原因と、減らなかった事故原因
警察庁は毎年、死亡事故を「どの法令違反が原因だったか」で分類して公表しています。2025年(令和7年)分の数字を、10年前と並べてみました。指数は2015年を100としたときの2025年の水準です。
| 原因 | 2015年 | 2025年 | 指数 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 過労運転 | 22件 | 42件 | 191 | +23.5% |
| 漫然運転 | 592件 | 365件 | 62 | +8.6% |
| 運転操作不適 | 423件 | 295件 | 70 | -3.9% |
| 安全不確認 | 395件 | 232件 | 59 | -6.1% |
| 脇見運転 | 460件 | 244件 | 53 | -10.3% |
| 安全速度 | 93件 | 33件 | 35 | -35.3% |
| 死亡事故 合計 | 3,585件 | 2,257件 | 63 | -2.9% |
全体が63まで下がるなかで、過労運転だけが191まで上がっています。速度を出しすぎて死ぬ事故は3分の1近くまで減り、脇見も半分近くまで減りました。一方で、疲れて運転したことが原因と判断された死亡事故は、10年前の倍近くになっています。
「居眠り運転」という項目は、統計に存在しない
警察庁の分類には、居眠り運転という区分がありません。眠気が関わった事故は、状況に応じて2か所に分かれて数えられます。
ひとつは過労運転です。これは道路交通法66条の違反として扱われる独立した項目で、2025年は42件でした。もうひとつは漫然運転で、こちらは安全運転義務違反の内訳です。前をぼんやり見ていた、考えごとをしていた、という状態が含まれます。2025年は365件で、単独の原因としては最も多い区分です。
数字の見え方が変わるのはここです。42件だけを見ると小さく感じますが、眠気が「意識が向いていなかった」と判断されれば漫然運転に入ります。漫然運転は2025年に29件増えており、これは主要な原因のなかで最大の増加でした。脇見運転が28件減ったのとちょうど逆を向いています。
道路交通法は「眠くなったら休め」とは書いていない
過労運転を禁じている道路交通法66条の条文は、次のようになっています。
何人も、前条第一項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。
禁じられているのは「眠ってしまうこと」ではなく、正常な運転ができないおそれがある状態で運転することです。つまり判断の対象になるのは、ハンドルを握る前の状態です。罰則の対象にもなります(同条の括弧書きで、117条の2第1項第3号および117条の2の2第1項第7号が示されています)。
さらに66条の2は、仕事で運転させる場合について定めています。運転者が過労運転をしたとき、その車両の使用者が過労運転を防ぐ運行管理を行っていると認められないなら、公安委員会は使用者に必要な措置を指示できます。眠気は本人の気合いの問題として扱われていない、ということです。
減らせた原因と減らせない原因は、何が違うのか
私は、この10年で減った原因と減らなかった原因を分けたのは、車や道路の側から手を出せるかどうかだったと考えています。根拠は3つあります。
1つ目は、指数が最も下がった安全速度(35)と脇見運転(53)が、いずれも取り締まりと車両側の装備が直接効く領域だという点です。速度は測れて記録が残り、脇見は衝突被害軽減ブレーキが補います。2つ目は、安全不確認(59)や運転操作不適(70)のように、運転支援装置が部分的にしか効かない項目ほど、減り方が鈍いことです。3つ目は、過労運転が唯一増えている点です。疲れているかどうかを外から測って止める仕組みは、いまのところ普及していません。
眠気だけが本人の申告に委ねられたまま残っている、というのがこの表の読み方だと考えます。だから対策も、走り出してからの根性論ではなく、出発前の予定表の側にしか置けません。
お盆の帰省で、具体的にどこが危ないか
お盆は「渋滞を避けようとして睡眠を削る」判断が起きやすい時期です。深夜0時や早朝4時に出発すれば渋滞は避けられますが、その分の睡眠はどこかから持ってくることになります。前日の夜に荷造りをして、数時間だけ寝て出発する形になりやすいのも、この時期の特徴です。
もうひとつは、渋滞で運転時間が延びることです。お盆の主要区間では、通常より1〜2時間、区間によってはそれ以上長くかかる予測が出ます。出発時点では「片道4時間なら大丈夫」と思っていても、実際には6時間以上ハンドルを握ることになります。睡眠は出発前に決まっているのに、運転時間だけが当日に伸びるという組み合わせが、お盆に特有の危なさです。
帰省先の渋滞予測と天気は、出発前に確認できます。到着時刻の見込みが2時間ずれるなら、前夜の就寝時刻を2時間早めるか、日程をずらすほうが確実です。
生活・仕事にどう効くか
- お盆の帰省:渋滞で予定より2〜3時間延びると、出発時に十分だった睡眠は足りなくなる。過労運転は「走っているうちに疲れた」ではなく、正常な運転ができないおそれのある状態で運転を始めること自体を禁じている。
- 夜間・早朝の出発:渋滞を避けるための深夜出発・早朝出発は、渋滞時間は減らせても睡眠時間を削る。2025年に増えたのは漫然運転(+29件)と動静不注視(+7件)で、脇見運転は28件減っている。
- 仕事の運転:過労運転は運転者だけの問題ではない。道路交通法66条の2は、使用者が過労運転を防ぐ運行管理を行っていないと認められるとき、公安委員会が使用者に必要な措置を指示できると定めている。
結局どうすればよいか
- 出発前に「今日の睡眠時間」と「予定の運転時間」を数字で確認する。渋滞予測が出ている日は、到着予定に2〜3時間の上振れを見込んでから睡眠時間を決める
- 眠気を感じてから休憩先を探さない。出発前にサービスエリア・パーキングエリアを2か所決めておき、眠くなくても停まる
- 交代できる人がいない長距離は、日程そのものを見直す。深夜出発で睡眠を削って渋滞を避けるのは、渋滞を眠気に置き換えているだけになる
公式出典
- 警察庁 表3-2-1 一般原付以上運転者(第1当事者)の法令違反別死亡事故件数の推移(令和7年12月末現在・e-Stat 政府統計の総合窓口)(2026年2月26日発表)
- 警察庁 交通事故発生状況(2026年7月31日発表)
- 道路交通法 第66条(過労運転等の禁止)・第66条の2(過労運転に係る車両の使用者に対する指示)e-Gov法令検索(2026年8月12日発表)
更新履歴
- 2026年8月12日 初版を公開
※本記事は2026年8月12日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


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