🗨️「シャモンダウイルスって、人にもうつるの?」
これまでは人にはうつらないと考えられてきましたが、フランスで人の感染が世界で初めて確認されました。ただし患者は免疫がひどく弱っていた人で、フランス政府は一般の人への健康上のリスクは今のところ確認されていないとしています。
[国際] この記事の要点
2026年10月22日 発表
- 牛・羊・ヤギを飼う人(この夏、ドイツ・スイス・フランスの家畜で初めて確認)
- 日本の牛の飼い主(2002年に九州で初確認。2025年には山口県で関与を疑う異常産)
フランスの発表内容
フランスの保健当局と農業省は10月22日、重い免疫不全の患者がシャモンダウイルスに感染していたと発表しました。患者は重い病気のためリヨンの病院(リヨン市民病院)で治療を受けていて、10月初めに亡くなりました。亡くなる前に見られた脳の合併症は、このウイルスの感染と関係している可能性がきわめて高いとしています。
どこでうつったかは、まだ調べている最中です。今の段階で当局が考えているのは、フランス東部でヌカカという小さな虫に刺されてうつった、という筋道です。東部では、春から夏にかけて動物の間でこのウイルスが広がっていました。フランスは世界保健機関(WHO)と欧州疾病予防管理センター(ECDC)にも知らせています。

シャモンダウイルスとは
シャモンダウイルスは、牛などの家畜がかかるウイルスです。1960年代半ばにナイジェリアで初めて見つかり、アフリカ各地と日本の牛で、ときどき報告されてきました。ヨーロッパで見つかったのは2026年の夏が初めてで、ドイツ・スイス・フランスで確認されました。フランスでは7月末、いくつもの県の乳牛の農場で見つかっています。
牛の異常産を起こすアカバネウイルスと同じグループ(シンブ血清群)のウイルスです(農研機構)。フランス農業省がまとめた家畜での特徴は次のとおりです。
| 項目 | フランス農業省の説明 |
|---|---|
| 運ぶ虫 | ヌカカ(クリコイデス属)。動物から動物へ直接うつるはっきりした証拠はない(母親からおなかの子へは除く) |
| かかる動物 | 主に牛。羊・ヤギ、ときに馬やアルパカ |
| 牛の症状 | 発熱、乳の量が減る、下痢。多くは一時的 |
| 妊娠中の感染 | 流産や、おなかの子の重い奇形のおそれ |
| ワクチン・薬 | ワクチンはなく、動物の体からウイルスを消す治療法もない |
農業省は、今のところ農場への被害は小さいとみています。牛への影響がずっと大きいランピースキン病とは似ていない、とも説明しています。
人への感染と一般の人のリスク
「シャモンダウイルスは人にはうつらない」。これまではそう考えられてきました。フランス政府も、アフリカとアジアで何十年もウイルスが広がってきたのに、人の感染は一度も記録されていなかったと書いています。そのうえで今回を重い免疫不全の患者に起きた例外的なケースと位置づけ、今わかっていることからは、一般の人への健康上のリスクは確認されていないとしています。
WHOのテドロス事務局長も22日、患者は免疫が落ちていたため感染しやすく、重くなりやすかったと投稿しました。WHOはフランス当局と連絡を取っていて、フランス当局が、患者がどこで感染したのか、ありうる感染経路、公衆衛生へのリスクについて情報を集めているとしています。テドロス氏は、感染のしかたを十分に理解するにはさらに研究が必要だとも書いています。
#France has reported the first documented case of a human infection with #Shamonda virus, a virus only previously detected in animals.
— Tedros Adhanom Ghebreyesus (@DrTedros) 2026年10月22日
The patient was immunocompromised, which made them more vulnerable to infection and severe disease, and unfortunately died. My heartfelt… pic.twitter.com/YhXBctQOyV
人から人へうつるかどうかについて、フランス政府とWHOの発表は触れていません。人がかかったときの症状や重さも、例が1人だけで、発表には脳の合併症のほかは書かれていません。
牛肉や牛乳を口にしても大丈夫?
フランス農業省は、肉や牛乳、それを使った食品を食べてうつったことを示すデータは、今のところないとしているわ。フランスでは、病気の動物から取れたものは、もともと食べ物に回さないそうよ。
日本の牛での検出
日本では2002年に鹿児島県と宮崎県でヌカカや牛から取り出したウイルスが、のちの解析でシャモンダウイルスだと分かりました(2004年の成果情報)。国の研究機関である農研機構(当時の動物衛生研究所)による、国内初の確認です。ウイルスが見つかった地域では牛の異常産が報告されていましたが、ウイルスとの直接の関係は、このときは見つかっていません。
最近では山口県で、2025年2月に2つの農場で背骨や後ろ脚の形に異常がある子牛が生まれ、県の家畜保健衛生所がシャモンダウイルスの関与を疑う異常産と診断しました。牛の血液を調べると、このウイルスに感染した跡(抗体)が2024年8月中旬に県の東部で、9月下旬には県内全域で見つかっていました。県の報告も、効くワクチンはないとしています。
獣医師が見つけたら都道府県知事に届け出る決まりの家畜の病気(届出伝染病)の一覧には、アカバネ病は入っていますが、シャモンダウイルスの名前はありません(家畜伝染病予防法施行規則、2026年10月1日施行の版で確認)。
ヌカカとは・刺されない対策
ヌカカは、ハエの仲間(ハエ目ヌカカ科)の虫をまとめた呼び名です。体長は1〜2ミリほどで、蚊のように人や家畜の血を吸います。鳥取県米子市によると、網戸を簡単に通り抜け、服の中にも潜り込むので、防ぐのが難しい虫です。刺されると、かゆみが数日続くこともあります。

日本でも、米子市の弓浜地区では昔からヌカカに刺される被害があり、「干拓虫」とも呼ばれてきました。隣の境港市によると、米子市で確認されているのはイソヌカカとトクナガクロヌカカの2種類で、活動するのは5月から9月、多いのは6月から7月です。米子市は、例年5月から6月が最盛期としています。
日本でも2002年に、鹿児島県のヌカカからこのウイルスが取り出されています(農研機構)。ただ、米子市などで人を刺すヌカカがこのウイルスを運ぶかどうかを示した資料は、今回見つかっていません。
米子市は、ヌカカに刺されないための注意を次のようにまとめています。シャモンダウイルスに向けた呼びかけではなく、かゆみの被害を防ぐための目安です。
- 朝夕、とくに朝方と、風のないときに気をつける
- 長そで・長ズボン・帽子を身につけ、首にタオルを巻く
- 人体用の虫よけを、肌の出ている所だけでなく襟元や袖口の奥まで塗る
- 家の中は、網戸や窓に使う虫よけスプレー、蚊取り線香で入らせない
刺されて症状がひどいときは医療機関を受診するよう、境港市は呼びかけています。山口県の報告も、牛のウイルス対策として、血を吸う虫への対策を進めるとしています。
生活・仕事にどう効くか
- 一般の人:フランス政府は、今わかっていることからは一般の人への健康上のリスクは確認されていないとしている
- 牛肉・牛乳:食べてうつったことを示すデータは今のところない(フランス農業省)
- 日本の牛:2002年から九州などで見つかっている。届出伝染病の一覧には入っていない
結局どうすればよいか
- どこで・どうやってうつったかは、フランス当局が調べている最中(WHOも連絡を取っている)。続報はフランス政府とWHOの発表で確かめる
- ヌカカが活発な朝夕や風のないときは、長そで・長ズボンと人体用の虫よけで肌を守る(米子市の呼びかけ)
- 刺されて症状がひどいときは医療機関へ(境港市の呼びかけ)
あわせて読む・調べる
くわしく知る(保存版の記事)
公式出典
更新履歴
- 2026年10月24日 初版を公開(10月22日のフランス政府の発表とWHO事務局長の投稿にもとづく)
※本記事は2026年10月24日時点で、フランス政府・WHO・農研機構・自治体が公表している情報にもとづきます。人への感染の経路は調査中で、人から人へうつるかどうかは発表で触れられていないため、最新の内容は各発表をご確認ください。体調についての判断は医師にご相談ください。
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