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老後の近居/子どものそばへ移る費用

老後の近居/子どものそばへ移る費用のアイキャッチ。室内写真はイメージ。

子どもの近くへ移れば、会いに行く交通費や移動の負担は減らせます。ただし、近居先の家賃や購入後の維持費が増えれば、老後の住まいにかかる支出は今より大きくなります。

連載:家族で考える 住まいとお金|第4回

孫に会いやすくしたい、いざというとき家族の近くにいたい。その希望と、夫婦が積み上げた住まいや貯蓄を守りたい気持ちは両立できます。先に今の家を売るのではなく、子どもの地域の住居費を調べ、訪問を続ける案も同じ表に載せます。

目次

交通費だけで決めない

最初に、子ども宅を訪問した直近1年の交通費を合計します。電車なら往復運賃×人数×回数。車なら燃料、高速料金、駐車場も加え、夫婦が別々に行く場合も実際の回数で数えます。

たとえば往復1万円の移動を夫婦2人で年12回なら、年24万円です。近居後に全額なくなるとは決めず、残る電車代や車の費用を引いて節約額を求めます。これは運賃の相場ではなく、計算方法の例です。

今の暮らし 近居後の暮らし
今の家の税・保険・修繕 新居の家賃又は管理・修繕・税
子ども宅への往復交通費 近居後に残る交通費
通院・買い物・車の費用 新地域の通院・買い物・車の費用
今の家を維持する負担 引っ越しと売買、再転居の負担

車を手放せる地域なら保険や駐車場の費用も変わります。反対に、子どもの家へは近くても病院や買い物には車が要る地域なら、車の支出は残ります。地図の距離より、日常の移動を確認してください。

10年の費用を並べる

当サイトの仮定として、今のローン完済の家の維持費を年24万円、子ども宅への交通費を年24万円と置きます。近居先の賃貸は家賃・共益費月8万円、保険等年6万円、近距離の交通費年3.6万円です。

今の家・近居賃貸・近居購入の住居費と訪問交通費を10年で比較する図
相場ではなく比較用の仮定。購入代金、売却による入金、最終資産価値は含めません。
選択肢 10年支出の内訳
今の家から訪問 (維持24万円+訪問24万円)×10年=480万円
売って近くの賃貸へ 初期100万円+(住居102万円+交通3.6万円)×10年=1,156万円
売って近くに購入 初期250万円+(維持42万円+交通3.6万円)×10年=706万円
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初期費用は売却・購入の諸費用と引っ越し等の仮定。賃貸の敷金は返還可能な預け金として別に確保します。維持費には修繕の年平均を含めます。物価・家賃上昇、運用益、通院・車の差、住み替え時の売却課税は含めず、該当すれば追加します。

この条件では、近居すると交通費が減っても住まいの支出は増えます。賃貸案は今より676万円、購入案は226万円多い計算です。その追加費用と、移動の負担を減らし家族に会いやすくなる価値を並べて相談します。

逆に、今の家に大きな修繕が必要だったり、現在の訪問交通費がもっと高かったりすれば、差は縮まります。近居が得か損かを全国共通で決めず、自分たちの支払額と候補物件の見積もりを代入してください。

売却代金を使い切らない

今の家が2,500万円で売れ、新居を1,800万円で買い、売買諸費用と引っ越し等に250万円を払う仮定なら、住み替え直後の現金は450万円です。新居の維持と交通費が年45.6万円なら、10年で456万円。その現金だけでは6万円足りず、食費などの生活費はさらに別です。

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読者

「売ったお金で買える家なら、年金生活でも安心」でしょうか?

おかあさん

購入代金を払えることと、その後の暮らしを続けられることは別です。売却後に残す現金、年金の手取り、毎年の支出を一緒に見ます。

売却して賃貸を選ぶと新居の購入代金は不要ですが、住んでいる間は家賃が続きます。購入を選ぶと住宅資産が残る一方、自由に使える現金は減ります。手元の預金だけで、2つの案の有利・不利を決めないようにします。

査定額は必ずその値段で売れる約束ではありません。売値が下がる場合、新居を買う時期と売る時期がずれる場合、いったん仮住まいをする場合の現金も見ます。

\売値から費用を引いて比較/

売却後の手取りを調べてみる ›

相続物件の税特例は、適用条件を別途確認してください。

近居割は条件と期間を見る

UR(都市再生機構)の近居割は、条件に合えば新たに入居する世帯の募集家賃を5年間5%減額する制度です。高齢者の近居で一律20%安くなる制度ではありません。

通常の近居割は同じ団地、又は半径2キロ以内の別のUR団地などの近居要件があります。UR以外の住まいとの組合せは、指定の近居割ワイド対象エリアで確認します。親族関係、満60歳以上の方を含む等の世帯要件もあり、毎年度審査があります。

募集家賃月8万円の5パーセント割引が5年続くと24万円の家賃差になる図
公式制度の5%を使った計算例。対象物件・世帯要件・審査を満たす場合に限ります。

共益費を除く募集家賃が月8万円なら5%は月4,000円、5年で24万円。10年住む計画では、後半5年は割引終了後の家賃で計算します。20%減額は所定の子育て・若者夫婦、所得、対象物件などの条件付きです。

また、URの初期費用の案内では礼金・仲介手数料・更新料・保証人は不要ですが、家賃2か月分の敷金や日割家賃等は必要です。敷金を全額消費する費用と混ぜず、入居時に必要な現金として分けて確保します。

家族に頼る範囲も相談

子どもの近くに住むことと、毎日介護や家事を頼めることは同じではありません。仕事、子育て、転勤の予定もあるため、会う頻度と、急な受診などで頼める範囲を引っ越す前に話します。

候補地域には夫婦で滞在し、買い物や通院の道を歩いてみます。賃貸なら、年金生活者の入居資格と契約条件も先に確認します。自宅を売った後に入居できないと分かる順序を避けるためです。

私は、近居を交通費の節約だけで説明する必要はないと考えます。会いたいときに会えることには価値があります。そのために増える費用を夫婦と子どもが理解できれば、家計と距離感の両方に無理のない住まいを選びやすくなります。

出典確認:2026年10月11日。家族の状況と費用は当サイトの比較用設定です。制度はリンク先の条件を確認してください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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