🗨️「ニデックの株主代表訴訟は、誰が誰に、いくらを求めているのか」
個人株主が、創業者の永守重信氏と元社長の小部博志氏の2人に対し、約287億3,000万円を「ニデックに」支払うよう求めて京都地裁に起こしました。会社は9月9日に訴状を受け取り、10日に公表しています。株主が受け取るお金ではなく、会社に戻せという請求である点が、ふつうの損害賠償と違うところです。根拠は会社法462条1項で、分配可能額を超えて自己株式の取得や配当を行った場合の支払義務を定めた条文です。
[経済] この記事の要点
2026年9月11日 発表
- ニデックの株を持っている人
- 上場企業の配当と自己株買いの仕組みを知りたい人
- 会社法の株主代表訴訟がどういうものか調べている人
同じ週に、性格の違う訴訟が2つ起きている
報道が重なって分かりにくいのですが、ニデックをめぐって動いているのは別々の訴訟です。誰が誰を訴え、勝ったらお金がどこへ行くのかが違います。
| 株主代表訴訟 | 株価下落の損害賠償 | |
|---|---|---|
| 起こした人 | 個人株主 | 株主28人 |
| 訴えられた相手 | 創業者と元社長の2人 | ニデック(会社) |
| 裁判所 | 京都地裁 | 東京地裁 |
| 求めている額 | 約287億3,000万円 | 株価下落による損害の賠償 |
| お金の行き先 | 会社(ニデック) | 訴えた株主自身 |
株主代表訴訟は、会社が役員の責任を追及しないときに、株主が会社の代わりに訴えるしくみです。だから勝訴して得られるお金は、訴えた株主ではなく会社に入ります。ここが「株主が287億円を受け取る話」ではない理由です。
根拠は会社法462条1項。「分配可能額」を超えたかどうか
請求の土台になっているのは、2022年から2023年3月までに行われた自己株式の取得と中間配当です。会社法は、配当や自己株買いに使える金額の上限を「分配可能額」として定めていて、これを超えた分については、決めた取締役などが会社に支払う義務を負うと規定しています(462条1項)。
配当を出しすぎると、役員が自腹で返すことになるのですか。
条文の建てつけはそうです。会社の財産を守るための上限なので、超えた分は会社に戻す、という考え方になっています。実際にいくら返すことになるかは裁判で判断されるもので、いまの時点で決まっているわけではありません。
会社は「業績への影響はない」としている
この訴訟でニデックは被告ではありません。請求が認められれば会社にお金が入る側なので、会社は業績への影響はないという見方を示しています。
また、ニデックは2026年3月に取締役等責任調査委員会を設け、すでに退任した人を含めて取締役の法的責任を調べています。委員会の結論を踏まえて対応を検討する、という段取りです。
裁判はこれから始まる段階です。請求の内容と、認められるかどうかは別の話なので、この記事では結論を書きません。
生活・仕事にどう効くか
- 株主にとって:株主代表訴訟で勝っても、お金は株主ではなく会社に入る。株価下落の損害を自分で取りにいくのは別の訴訟になる
- 会社にとって:会社は被告ではない。請求が認められれば会社にお金が入る側で、ニデックは業績への影響はないとしている
結局どうすればよいか
- 株主代表訴訟と、株価下落の損害賠償を求める訴訟は別物として読み分ける
- 自己株式の取得や配当の適法性は「分配可能額」を超えたかどうかで判断されると覚えておく
- 会社の見解は適時開示とニュースリリースで確認する
公式出典
- ニデック株式会社 ニュースリリース一覧(2026年9月11日発表)
- 日本経済新聞「ニデック株主、永守重信氏らに代表訴訟 287億円の支払い求める」(2026年9月10日発表)
- 熊本日日新聞(共同通信配信)「永守氏らに株主代表訴訟 ニデック、287億円求め」(2026年9月10日発表)
更新履歴
- 2026年9月11日 初版を公開
※本記事は2026年9月11日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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