🗨️「SNSで書かれた中傷は、いつまでなら訴えられるの?」
侮辱罪の公訴時効は3年です。2022年7月7日に法定刑が引き上げられたのに合わせて、それまでの1年から延びました。削除のほうは、大規模なプラットフォームなら申し出から原則7日以内に判断して通知する決まりが2025年4月から動いています。刑事と削除は別の手続きで、期限も窓口も違います。
[事件・事故] この記事の要点
2026年9月14日 発表
- SNSで自分や家族について書かれた内容に困っている人
- 書き込みを削除してほしいが、どこに言えばよいか分からない人
- 軽い気持ちで他人への書き込みをしている人
刑事の期限と、削除の期限は別
ネットの書き込みで困ったときにややこしいのは、「消してもらう」と「罪に問う」がまったく別の手続きだということです。窓口も違えば、期限の数え方も違います。
| 削除してもらう | 刑事の手続き | |
|---|---|---|
| 相手 | プラットフォーム事業者 | 警察・検察 |
| 期限の目安 | 申出から原則7日で判断と通知 | 侮辱罪の公訴時効は3年 |
| 根拠 | 情報流通プラットフォーム対処法(2025年4月1日施行) | 刑法231条(2022年7月7日に法定刑を引上げ) |
片方をやれば自動的にもう片方が進む、ということはありません。消えても罪に問われるわけではなく、罪に問われても自動では消えません。
侮辱罪は2022年に重くなり、時効が3年になった
侮辱罪は刑法231条にある罪で、事実を示さなくても公然と人を侮辱すると成立します。もともとの法定刑は「拘留又は科料」だけでした。これが2022年7月7日の施行で引き上げられています。
1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料
法務省「侮辱罪の法定刑の引上げ Q&A」に示された改正後の法定刑
ここで実務上いちばん効いたのが、法定刑が上がったことに伴って公訴時効が1年から3年に延びた点です。1年しかないと、本人が気づいて、証拠を集めて、相談して、という間に期限が来てしまうことがありました。3年になったことで動ける幅が広がっています。
昔書かれたものも3年になるんですか
いいえ。適用されるのは施行日より後の行為です。2022年7月7日より前の書き込みは、改正前の扱いのままになります
削除は「7日」が目安になった
もうひとつの変化が、2025年4月1日に施行された情報流通プラットフォーム対処法です。大きなプラットフォームには、削除の申出を受け付ける窓口と手続きを整えて公表すること、申出に対応できる体制を整えることが義務づけられました。
そのうえで、削除の申出に対して判断して申出者に通知するまでの期間が、原則として7日と定められています。これまで「送ったが返事が来ない」で止まっていた部分に、期限の線が引かれた形です。
総務省が2025年4月に大規模特定電気通信役務提供者として指定したのは次の5社です。
- Google LLC
- LINEヤフー株式会社
- Meta Platforms, Inc.
- TikTok Pte. Ltd.
- X Corp.
先にやることは、消える前の保存
どちらの道を選ぶにしても、最初にやることは同じです。相手が消してしまう前に、こちらで残しておく。
残すのは投稿の本文だけでは足りません。そのページのURL、投稿された日付と時刻、アカウントの名前とID、それらが同じ画面に写った状態のスクリーンショット。日時が画面に出ていない場合は、撮った日が分かるものと一緒に残しておくと後で説明しやすくなります。
時効が3年あるとはいえ、投稿そのものが消え、アカウントも消えたあとでは、手続きの入口で詰まります。腹が立っている間は見返すのもつらいものですが、保存だけは早いほうがいいところです。
この記事は制度の説明で、個別の事案についての法的な助言ではありません。実際の対応は弁護士や、法務省の人権相談・警察の相談窓口にご相談ください。写真はイメージです。
生活・仕事にどう効くか
- 刑事の期限:侮辱罪の公訴時効は3年。2022年7月7日施行の改正前は1年だった。適用されるのは施行日より後の行為。
- 削除の期限:大規模プラットフォームは削除の申出に対し、原則7日以内に判断して申出者へ通知する。2025年4月1日から。
- 指定された5社:Google、LINEヤフー、Meta、TikTok、Xの5社が大規模特定電気通信役務提供者に指定されている。
結局どうすればよいか
- 困っている書き込みがあるなら、消える前にURL・投稿日時・アカウント名を画面ごと保存する
- 削除はプラットフォームの削除申出窓口へ、刑事の手続きは警察へと、別々の窓口だと理解して進める
- 3年という時効はあるが、証拠は時間がたつほど取りにくくなるので早く動く
公式出典
- 法務省「侮辱罪の法定刑の引上げ Q&A」(2026-09発表)
- 総務省「インターネット上の違法・有害情報に対する対応(情報流通プラットフォーム対処法)」(2026-09発表)
更新履歴
- 2026年9月14日 初版を公開。
※本記事は2026年9月14日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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