誰も住まない実家を残すなら、思い出と一緒に「毎年いくら、誰が払うか」も決める必要があります。売らずに待つ時間にも、税金や点検、補修の支出は続きます。
連載:家族で考える 住まいとお金|第2回
きょうだいの一方は実家を手放したくなく、もう一方は管理を終えたい。そんな相談では、先に売却への賛否をそろえるより、家を残す期間と負担額を数字にすると話し合う材料が増えます。以下は実在家族の体験談ではなく、戸建ての空き家を想定した比較です。
残す費用は毎年続く
「住んでいないからお金はかからない」とは限りません。納税通知書、保険の契約書、管理の請求書を集めると、使わない家でも続く支払いが見つかります。
| 費用 | 集める資料 |
|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 納税通知書と土地・建物の内訳 |
| 保険・電気水道の基本料金 | 空き家の状態に合う契約と明細 |
| 草木・清掃・点検 | 自分で行く交通費又は委託見積もり |
| 雨漏り・外壁・設備の補修 | 点検結果と必要な工事の見積もり |
遠方の実家へ片道何時間もかけて通うなら、往復の交通費も維持費です。兄が支払い、妹が掃除や庭の管理を担っている場合は、請求書だけでは負担が見えません。作業の回数と時間も別の欄に残します。
家が傷んだままなら、残す計画の前に安全の確認が必要です。誰も使わないから点検を省くと、後から修繕が必要になっても時期と予算を選びにくくなります。
5年待つといくらになる
当サイトの仮定として、税15万円、保険・基本料金5万円、庭や点検と交通費10万円、合計年30万円と置きます。さらに5年間で100万円の補修が必要な家なら、保有の支出は250万円です。

きょうだい2人が半分ずつ支払う合意なら、現金負担は1人125万円。1人が立て替えるなら、その人の家計から250万円が出ます。これは家族内で半分にする仮定で、法的な負担割合を示すものではありません。
読者
「5年後に高く売れれば、持っていた分も戻る」でしょうか?
5年後の売値は保証できません。今より250万円高く売れても、売却費用や税の差まで引くと、250万円の維持費を回収できるとは限りません。
今売る手取りと、5年後の売却手取りから250万円を引いた額を比べます。将来の売値は同額・下落・上昇の3通りで置き、どの価格なら家族が納得できるかを確認してください。家賃収入を得る案は、改修や空室、管理費の計算も加わります。
名義と期限を先に見る
家全体の売却を相談する前に、登記事項証明書と遺産分割の状況を確認します。誰の名義か、共有なら誰がどの持分を持つかによって、必要な同意や手続きが変わります。家族が反対していることと、その人が所有者であることは同じではありません。
相続登記は、相続による取得を知った日から原則3年以内。2024年4月1日より前に相続したことを知った未登記の不動産は、原則2027年3月31日までの対応が必要です。詳しくは法務省の相続登記案内で、自分の期限を確認してください。
売るか残すかが決まらないことを理由に、登記まで放置しないようにします。相続人申告登記と、売却に必要な所有権の登記は同じ手続きではありません。
売却の税金についても「相続したばかりだから5年間は売れない」と決めつける必要はありません。国税庁の取得時期の説明では、親など被相続人の取得時期を引き継ぎ、売った年の1月1日までの所有期間で長期・短期を判定します。
税の特例は別々の制度
空き家になっただけで、固定資産税が一律6倍になるわけではありません。国交省の空家法の説明では、管理不全空家や特定空家への指導に従わず勧告を受けると、住宅用地の税負担軽減が受けられなくなるとしています。
小規模住宅用地の「6分の1」は土地の固定資産税の課税標準の話です。建物や請求額全体が6分の1になる制度ではありません。解体を選ぶ場合も、解体代と翌年度以降の土地の税額を自治体で確認します。
また、相続空き家を売る場合の特別控除には、現行法で2027年12月31日まで、かつ相続開始から3年経過日の属する年末までという期限があります。どちらか早い期限に注意します。
最高3,000万円の控除ですが、対象の家屋・敷地を取得した相続人が3人以上なら、2024年以後の売却は上限2,000万円。1981年5月31日以前築、区分所有でない建物、原則として親の単独居住、相続後の利用状況、耐震又は取壊し、売価等の条件があり、申告も必要です。相続すれば誰でも使える制度ではありません。
実家を一度貸したり、きょうだいが住んだりすると、この特例の条件に影響します。「とりあえず使って、あとで売る」という順序を決める前に、利用予定と期限を一緒に確認してください。
残す約束を具体的にする

まず1年間残して、利用する人が決まるかを見る案なら、その1年の予算と見直す日を決めます。修繕100万円が必要と分かったときに、続けるのか売る相談に戻るのかも書いておきます。
支払った費用の記録、鍵や書類の保管、管理の連絡先も共有します。所有権や遺産分割、立替金の精算は家族のメモだけで片づけず、必要な手続きとして別に確認してください。
私は、残したい気持ちを否定するより、「その時間をいくらで支えるか」を共有するほうが相談しやすいと考えます。実家を残すことにも価値はあります。ただ、その価値を1人の立替や通い続ける負担だけで守る形にしないことが大切です。
出典確認:2026年10月11日。家族の状況と費用は当サイトの比較用設定です。制度はリンク先の条件を確認してください。
Googleで「おかあさんのおうち」の新着を優先表示する
災害・道路・住まいの新しい記事がGoogleのトップニュースに出やすくなります。ボタン1回で登録できます。










コメント