🗨️「「近くの建物か地下へ避難してください」と言われますが、うちの近くに地下なんてありません。どうすればいいのでしょうか。」
そのほうが多数派です。全国の緊急一時避難施設61,142か所のうち地下施設は4,233か所で、人口に対する収容の割合は5.5%しかありません。政府も「近くに緊急一時避難施設がない場合は、無理して離れた避難施設に向かう必要はありません」としています。現実的な避難先は、いま自分がいる建物の中になります。
[災害] この記事の要点
防衛省は2026年8月12日6時2分、北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたと公表した。6時13分と6時32分にミサイル落下推定情報を続報として発表し、6時32分の発表では我が国の排他的経済水域(EEZ)への飛来は現時点で確認されていないとしている。
2026年8月12日 発表
- 自宅や帰省先の近くに地下街・地下鉄がない人
- 木造の戸建てに住んでいる人
- お盆で普段と違う土地にいて、避難先を知らない人
この記事でわかること
- 政府がJアラート時に求めている行動が、実際には3つしかないこと
- 全国の緊急一時避難施設のうち、地下がどれだけ少ないか(人口カバー率5.5%)
- 地下がない場合に、家の中のどこにいればよいか
先に結論
- 防衛省は8月12日6時2分に発射を公表し、6時32分の続報でEEZへの飛来は確認されていないとした
- 政府がJアラート時に求める行動は3つだけ。屋外なら建物か地下、建物がなければ伏せる、屋内なら窓から離れる
- 全国の緊急一時避難施設は61,142か所。うち地下は4,233か所で6.9%
- 地下施設の人口カバー率は5.5%。施設全体の155.2%とは桁が違う
- その地下4,233か所も、46.5%にあたる1,969か所は地下道。地下街は全国で41か所しかない
今朝、何が発表されたか
防衛省は2026年8月12日6時2分、北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたと公表しました。続いて6時13分と6時32分に「ミサイル落下推定情報」を発表し、6時32分の発表では我が国の排他的経済水域(EEZ)への飛来は現時点で確認されていないとしています。
Jアラート(全国瞬時警報システム)は、弾道ミサイルが日本に落下する可能性がある場合や、日本の上空を通過する可能性がある場合に、屋外スピーカーと携帯電話の緊急速報メールで一斉に流れる仕組みです。弾道ミサイルは発射から10分もしないうちに到達する可能性があるため、鳴ってから避難先を調べる時間はありません。
政府が求めている行動は3つだけ
内閣官房の国民保護ポータルサイトが示している行動は、場面ごとに次の3つです。増やしても覚えられないので、これだけで十分とされています。
| どこにいるか | とるべき行動 |
|---|---|
| 屋外 | 近くの建物の中、または地下へ避難する |
| 屋外で、近くに建物がない | 物陰に身を隠す、または地面に伏せて頭部を守る |
| 屋内 | 窓から離れる、または窓のない部屋へ移動する |
望ましいのはコンクリート造りの頑丈な建物や地下です。ただし政府自身が「近くに見当たらなければ、とにかく建物内に逃げることを優先しましょう」と書いています。最善を探して屋外に留まるほうが危険だという整理です。
「地下へ」を選べるのは、人口の5.5%
この「地下へ」が、実際にはどれだけ選べる選択肢なのかを見ておきます。内閣官房・消防庁・内閣府がまとめた指定状況(令和7年4月1日時点)の数字です。
| 区分 | 施設数 | 人口カバー率 | 前年度比 |
|---|---|---|---|
| 緊急一時避難施設 | 61,142か所 | 155.2% | +2,553(+4.4%) |
| うち地下施設 | 4,233か所 | 5.5% | +307(+7.8%) |
人口カバー率は、施設が受け入れられる人数を人口と比べた割合です。緊急一時避難施設は全体で155.2%あり、数のうえでは足りています。ところが地下だけを取り出すと5.5%まで落ちます。日本の人口の9割以上は、そもそも地下という選択肢を持っていません。
地下の指定は増えてはいます。令和3年度からの5年間が集中取組期間とされ、地下施設は1,278か所から4,233か所へ231.2%増えました。それでもカバー率は5.5%です。増加率の大きさと、実際に使えるかどうかは別の話になります。
地下といっても、半分近くは地下道
もうひとつ、「地下施設」という言葉の中身にも幅があります。4,233か所の内訳です。
| 種類 | 数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 地下道 | 1,969か所 | 46.5% |
| その他の地下施設 | 1,056か所 | 24.9% |
| 地下駅舎 | 762駅 | 18.0% |
| 地下駐車場等 | 405か所 | 9.6% |
| 地下街 | 41か所 | 1.0% |
いちばん多いのは地下道です。駅の連絡通路や道路の下をくぐる通路が、ここに入ります。地下街は全国で41か所しかなく、そのうち兵庫県は1か所(グランフェスタ)、神戸市が5か所(デュオこうべ浜の手など)です。地下鉄のある都市かどうかで、選べる場所は大きく変わります。
地域差は「多い・少ない」ではなく「あるかないか」
地下施設の数を指定権者ごとに見ると、差の付き方が極端です。おもなところを抜き出します。
| 指定権者 | 地下施設 | 指定権者 | 地下施設 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 821 | 神戸市 | 138 |
| 岐阜県 | 301 | 兵庫県 | 29 |
| 石川県 | 211 | 佐賀県 | 1 |
| 大阪市 | 207 | 熊本県 | 0 |
| 名古屋市 | 123 | 浜松市 | 0 |
都道府県の数字に政令市の分は含まれません。熊本県が0というのは、熊本市(11か所)を除いた県域に指定された地下施設がないという意味です。お盆で普段と違う土地にいる人は、いま自分がいる場所の数字が自宅と同じだと思わないほうが確実です。
だから、現実の避難先は「いまいる建物の中」になる
ここまでの数字を並べると、多くの人にとって最初に選ばれるのは3番目の行動、つまり「屋内で窓から離れる」だと分かります。政府も、近くに緊急一時避難施設がない場合は無理して離れた避難施設に向かう必要はないと明記しています。
屋内での行動として示されているのは次の2つです。できるだけ窓から離れ、できれば窓のない部屋へ移動すること。そしてカーテンを閉めることです。カーテンが挙げられているのは、爆風そのものではなく、割れた窓ガラスが飛び散ってけがをすることを避けるためだと説明されています。
この理由からすると、木造かコンクリート造かで、家の中でやることは変わりません。木造だから意味がない、ということにはならないわけです。むしろ効くのは、窓のない部屋がどこかを先に決めてあるかどうかです。浴室・トイレ・廊下・納戸・階段下など、家によって答えは違います。
地下の指定は5年で3.3倍に増えましたが、人口カバー率は5.5%のままです。集中取組期間は令和7年度で終わります。この数字を見るかぎり、「近くの地下を探しておく」という備え方は、都市部の一部を除いて成立しにくいと考えています。先に決めておく価値が高いのは、自宅と帰省先それぞれの「窓のない部屋」のほうです。調べるのに5分もかからず、地域も建物の構造も選びません。
いま5分でできる確認
やることは2つです。ひとつは、内閣官房の国民保護ポータルサイトにある「避難施設を探す」で、生活圏に地下施設があるかを一度だけ見ておくこと。地図からも一覧からも調べられます。もうひとつは、家の中で窓のない部屋を1つ決めて、家族に伝えておくことです。
弾道ミサイルは10分もしないうちに到達する可能性があります。鳴ってから決めることは、ほとんど何もありません。
生活・仕事にどう効くか
- 自宅にいるとき:政府の指示は「窓から離れる、できれば窓のない部屋へ移動する」「カーテンを閉める」。爆風そのものより、割れた窓ガラスによるけがを避けることが目的とされている。
- 帰省先にいるとき:緊急一時避難施設は都道府県知事(政令市は市長)が指定するため、地域差が大きい。地下施設は東京都が821か所ある一方、熊本県と浜松市は0か所(令和7年4月1日時点・都道府県の数字に政令市は含まない)。
- 屋外にいるとき:コンクリート造りの頑丈な建物への避難が望ましいとされるが、見当たらなければ「とにかく建物内に逃げることを優先」。建物がなければ物陰に隠れるか、地面に伏せて頭部を守る。
結局どうすればよいか
- 自宅と帰省先について、窓のない部屋(浴室・トイレ・廊下・納戸など)を1つ決めておく。避難先を探すより先に、これを決めるほうが早い
- 内閣官房の国民保護ポータルサイト「避難施設を探す(地図から探す)」で、生活圏の緊急一時避難施設を一度だけ見ておく。地下があるかどうかが分かる
- 遠くの避難施設へ向かおうとしない。政府自身が「無理して離れた避難施設に向かう必要はない」と明記している
公式出典
- 防衛省 北朝鮮のミサイル等関連情報 お知らせ(速報)令和8年8月12日6時2分(2026年8月12日発表)
- 防衛省 北朝鮮のミサイル等関連情報 お知らせ(ミサイル落下推定情報)令和8年8月12日6時32分(2026年8月12日発表)
- 内閣官房・消防庁・内閣府「緊急一時避難施設の指定状況(令和7年4月1日時点)」(2025年4月1日発表)
- 内閣官房 国民保護ポータルサイト「弾道ミサイル飛来時の行動」(2026年8月12日発表)
更新履歴
- 2026年8月12日 初版を公開
※本記事は2026年8月12日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


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