引っ越し先を調べていて「全国の8割の自治体でごみ袋は有料」という説明に行き当たった人へ。その8割には、粗大ごみが入っています。
環境省が令和8年3月に公表した令和6年度の調査では、家庭から出るごみの収集を一部でも有料にしている市区町村は82.1%。ところが同じ調査で、粗大ごみを除いて数え直すと67.3%まで下がります。差の258市区町村は、粗大ごみだけ有料で、日常のごみ袋は無料という自治体です。
もうひとつ、指定袋があるからといって有料とは限りません。環境省は「有料化」の定義から、手数料を上乗せしていない指定袋をはっきり除いています。この記事では、その2つの誤解を国の調査の原文でほどいたうえで、都道府県別の有料化率を47件並べます。いちばん低い県と高い県では、30倍以上の開きがありました。
この記事でわかること
- ✓ 有料は82.1%だが、粗大ごみを除くと67.3%。3市区町村に1つは日常のごみが無料
- ✓ 手数料が上乗せされていない指定袋は、国の定義では「有料化」に当たらない
- ✓ 都道府県別では岩手県3.1%に対し、鳥取県・島根県は100%(平成30年度)
「8割が有料」の8割には粗大ごみが入っている
数字の出どころは、環境省が毎年まとめている一般廃棄物処理事業実態調査です。令和6年度分の原文を引きます。
ごみ収集について、収集区分の一部又は全部を有料化している市区町村は、生活系ごみに関しては1,741 市区町村のうち、82.1%(1,430 市区町村)、事業系ごみに関しては 86.9%(1,513 市区町村)である。
粗大ごみを除いた場合、収集区分の一部又は全部を有料化している市区町村は、生活系ごみに関しては、67.3%(1,172 市区町村)、事業系ごみに関しては 86.6%(1,507 市区町村)である。
並べるとこうなります。
| 家庭から出るごみ | 有料 | 無料 | 収集無し |
|---|---|---|---|
| 粗大ごみを含む | 1,430(82.1%) | 310(17.8%) | 1(0.1%) |
| 粗大ごみを除く | 1,172(67.3%) | 568(32.6%) | 1(0.1%) |
注目するのは無料のほうです。310から568へ、258市区町村ぶん増えます。この258は「粗大ごみを出すときは券やシールを買うけれど、毎日のごみ袋にはお金がかからない」自治体です。引っ越し先で毎月かかる費用を考えている人にとって関係があるのは、82.1%ではなく67.3%のほうです。
言い換えると、3市区町村に1つは、日常のごみが無料のままです。
読者
うちの市は指定の袋を買っています。これは有料ということですよね。
それが、必ずしもそうではないんです。国の定義では、袋の値段に手数料が乗っているかどうかで分かれます。次に書きます。
指定袋があっても「有料」とは限らない
環境省が出している「一般廃棄物処理有料化の手引き」に、定義がそのまま書かれています。
本手引きにおける「有料化」とは、市町村が一般廃棄物処理についての手数料を徴収する行為を指す。このため、例えば、手数料を上乗せせずに販売される一定の規格を有するごみ袋(指定袋)の使用を排出者に依頼する場合については、「有料化」に該当しない。
つまり指定袋には2種類あります。袋代に処理手数料が乗っているものと、乗っていないものです。後者は「この規格の袋を使ってください」という決まりがあるだけで、袋そのものはスーパーで売っている普通のごみ袋と同じ値段の水準です。国の統計でも有料化には数えられていません。
実際の例を見ると違いがはっきりします。東京都の八王子市は、公式ページにこう書いています。
可燃ごみ・不燃ごみは八王子市の指定収集袋で出してください。指定収集袋以外のものは収集しません。
大袋(40リットル)は1枚75円でばら売りをしています。
1枚75円は、袋の材料費だけではありえない金額です。ここには処理手数料が乗っています。一方、同じ東京都の世田谷区はこうです。
90リットル以下のふたつき容器、または中身の見える透明・半透明のごみ袋に入れて出してください。
指定袋そのものがありません。同じ都内でも、40リットル1枚に75円かかる市と、手持ちの半透明の袋でよい区が並んでいます。
都道府県別では3.1%から100%まで開いている
では自分が引っ越す先はどうなのか。環境省の手引きに、家庭系の可燃ごみについて都道府県別の有料化率が載っています。ただしこれは平成30年度の調査に基づく数字で、その後に導入した自治体は反映されていません。傾向をつかむものとして見てください。
全国では1,689市区町村のうち1,073市区町村、63.5%でした。
| 都道府県 | 有料化率 | 都道府県 | 有料化率 |
|---|---|---|---|
| 鳥取県 | 100.0% | 宮崎県 | 57.7% |
| 島根県 | 100.0% | 広島県 | 56.5% |
| 佐賀県 | 95.0% | 大阪府 | 56.4% |
| 福岡県 | 94.8% | 栃木県 | 56.0% |
| 大分県 | 94.4% | 京都府 | 52.0% |
| 香川県 | 94.1% | 青森県 | 50.0% |
| 和歌山県 | 93.1% | 静岡県 | 48.6% |
| 高知県 | 92.9% | 福島県 | 48.2% |
| 北海道 | 91.6% | 群馬県 | 45.7% |
| 長崎県 | 90.5% | 東京都 | 45.2% |
| 岐阜県 | 88.1% | 兵庫県 | 45.0% |
| 山形県 | 85.7% | 鹿児島県 | 43.9% |
| 愛媛県 | 85.0% | 愛知県 | 38.9% |
| 石川県 | 84.2% | 茨城県 | 38.6% |
| 新潟県 | 83.3% | 福井県 | 35.3% |
| 沖縄県 | 82.9% | 山梨県 | 33.3% |
| 長野県 | 77.9% | 宮城県 | 31.4% |
| 岡山県 | 77.8% | 三重県 | 31.0% |
| 熊本県 | 77.8% | 神奈川県 | 19.4% |
| 奈良県 | 71.8% | 埼玉県 | 16.4% |
| 徳島県 | 69.6% | 岩手県 | 3.1% |
| 山口県 | 68.4% | ||
| 富山県 | 66.7% | ||
| 千葉県 | 66.7% | ||
| 滋賀県 | 63.2% | ||
| 秋田県 | 58.3% |
いちばん低いのは岩手県の3.1%で、32市町村のうち有料化しているのは1つだけでした。いちばん高いのは鳥取県と島根県の100%、県内のすべての市町村が有料です。同じ日本国内で、引っ越し先によってここまで違います。
地域ブロックでまとめると、北海道91.6%、四国85.2%、中国79.4%、九州・沖縄78.5%が高く、中部63.6%、近畿58.6%と続き、東北46.4%、関東40.7%が低いという並びです。水道料金でよく言われる「北高南低」とは逆で、ごみ袋は西高東低でした。
この表は家庭系の可燃ごみについての平成30年度の数字で、記事の前半で使った令和6年度の67.3%とは対象の取り方が違います。2つの数字を直接引き算しないでください。最新の全国値は令和6年度の82.1%(粗大ごみを含む)と67.3%(粗大ごみを除く)です。

普段は無料でも、引っ越しのときだけ有料になる自治体がある
もうひとつ、引っ越しをする人が引っかかりやすい決まりがあります。世田谷区の同じページに、こう書かれています。
家庭から出るごみであっても、引越し等で一度に大量に(45L袋で4袋以上)出す場合等は有料となります。
世田谷区の通常の排出量の上限は「45リットル袋で3袋まで」です。4袋目からは、無料の区でも有料の扱いに変わります。引っ越しの片づけで出るごみは、この線を簡単に超えます。
粗大ごみも同じです。前半で見たとおり、日常のごみが無料の568市区町村のうち258は、粗大ごみだけは有料でした。家具や家電を処分してから引っ越す場合、日常のごみ袋が無料かどうかとは別に、粗大ごみの料金を確認する必要があります。
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調べ方は「市区町村名+ごみ 出し方」で足りる
結局のところ、自分の引っ越し先がどうなのかは自治体の公式ページを見るのがいちばん早くて確実です。全国を横断した最新の一覧は、国も公表していません。
見るところは3つです。
- 指定袋があるか。あるなら、その袋の値段が書かれているか
- 1枚あたりいくらか。普通のごみ袋は1枚10円前後です。それを大きく超えていれば、手数料が乗っています
- 1回に出せる量の上限。世田谷区のように袋の枚数で上限が決まっている自治体があります
ごみの分け方そのものも自治体で違います。プラスチックを資源に回す区分があるか、生ごみを別に集めているかで、必要な袋の種類も変わります。引っ越しの前に袋をまとめ買いしないほうがいいのは、このためです。八王子市の公式ページにも「八王子市外への転出を除き、払い戻しできません」と書かれています。
私が「8割」という数字を気にする理由
ここからは意見です。
82.1%と67.3%は、どちらも同じ調査に載っている正しい数字です。それでも、引っ越し先の生活費を考えている人に「8割が有料です」とだけ伝えるのは、実態より重く見せることになると考えています。読者が知りたいのは粗大ごみを含めた制度の普及率ではなく、毎週出すごみ袋にお金がかかるかどうかだからです。
同じことは、平成30年度の都道府県別の表にも言えます。8年前の数字だと書かずに出せば、それは最新の状況として読まれます。国が新しい都道府県別の集計を出していない以上、書ける範囲はここまでで、その線は明示しておくべきだと考えています。
よくある質問
ごみ袋が有料の自治体はどれくらいありますか
環境省の令和6年度調査では、家庭から出るごみの収集を一部でも有料にしている市区町村は1,741のうち1,430(82.1%)です。粗大ごみを除くと1,172(67.3%)になります。
指定ごみ袋を買っていれば有料化されているということですか
必ずしもそうではありません。環境省の定義では、手数料を上乗せせずに販売される指定袋の使用を求めるだけの場合は「有料化」に当たりません。袋の値段が普通のごみ袋と同じ水準なら、手数料は乗っていない可能性が高いです。
ごみ袋が無料の都道府県はどこですか
都道府県まるごと無料というところはありません。平成30年度の調査で有料化率がいちばん低かったのは岩手県で3.1%、次いで埼玉県16.4%、神奈川県19.4%でした。逆に鳥取県と島根県は県内すべての市町村が有料でした。
引っ越しで出た大量のごみは普通に出せますか
自治体によります。世田谷区は「引越し等で一度に大量に(45L袋で4袋以上)出す場合等は有料となります」と明記しています。通常の排出量の上限を超えるぶんは別扱いになることがあるので、引っ越し先と引っ越し元の両方で確認してください。
ごみ袋は引っ越し前にまとめ買いしてもいいですか
おすすめしません。指定袋は自治体ごとに違い、転出時の払い戻しに応じない自治体があります。八王子市は「八王子市外への転出を除き、払い戻しできません」と書いています。裏を返せば転出のときは応じるということですが、手続きが必要です。
出典
- 環境省「一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和6年度)について」(報道発表。令和8年3月27日公表。2026年9月5日確認)
- 環境省「一般廃棄物処理事業実態調査の結果(令和6年度)について」(PDF・23ページ。p.17「4.ごみ収集手数料の状況」の82.1%・67.3%と図-22、図-23の内訳。2026年9月5日取得)
- 環境省「<改訂>一般廃棄物処理有料化の手引き」令和4年3月(PDF・55ページ。p.2の「有料化」の定義、p.6の都道府県別有料化率〈平成30年度一般廃棄物処理実態調査をもとに作成〉、p.13の料金体系。2026年9月5日取得)
- 八王子市「指定収集袋の種類と価格」(大袋40リットルは1枚75円、指定収集袋以外は収集しない旨、転出を除き払い戻し不可の旨。2026年9月5日確認)
- 世田谷区「ごみの出し方」(90リットル以下のふたつき容器または透明・半透明の袋、45リットル袋で3袋までの上限、引越し等で4袋以上は有料となる旨。2026年9月5日確認)
数字は2026年9月5日時点で環境省の公表資料と各自治体の公式ページを直接開いて確認したものです。有料化の状況は毎年変わるため、実際の判断は引っ越し先の市区町村の案内でご確認ください。


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