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電気代は11月から上がる見通し 東電エリアは1kWhで1.07円 「AIのせいですよね」と思ったら、申請書にデータセンターは出てきません

🗨️「AIのデータセンターが増えたせいで、うちの電気代も上がるんでしょうか。」

11月から上がる見通しです。ただし今回の理由はAI(エーアイ)ではありません。送配電会社が国に出した申請書に書かれているのは、物価と労務費と金利の上昇です。データセンターという言葉は、東京電力・関西電力どちらの資料にも1回も出てきません。

[話題] この記事の要点

発表日・更新日

2026年9月3日 発表

影響を受ける人
  • 電気を使っているすべての家庭(契約している小売会社を問わない)
  • 共用部を高圧でまとめて契約している分譲・賃貸マンションの住人
  • 店舗・事務所・工場など、高圧で電気を契約している事業者
目次

11月1日から、送電網の利用料が上がります

全国の送配電会社8社が2026年7月10日、経済産業大臣に「託送供給等に係る収入の見通し」の変更承認申請を出しました。託送料金(たくそうりょうきん)というのは、電気を売る小売会社が送配電会社に払う、送電網の利用料です。聞き慣れない言葉ですが、私たちが毎月払っている電気料金の中に、最初から含まれています。

東京電力パワーグリッドは8月24日、国の審査を受けた見通しを前提とした単価を公表しました。家庭が該当する「低圧」は、1kWh(キロワットアワー)あたり8.58円から9.65円へ、1.07円上がります。

区分改定単価現行単価差引
低圧(一般の家庭)9.65円8.58円+1.07円
高圧(マンション共用部・店舗など)4.13円3.78円+0.35円
特別高圧(大規模工場など)2.11円2.05円+0.06円

1kWhあたりの平均単価・税抜です。東京電力パワーグリッドが2026年8月24日に公表した資料の数字をそのまま載せています。なお同社は「今後、経済産業大臣から承認がなされた後、正式な託送料金単価を改めてお知らせする予定」としており、これは確定値ではありません。適用予定日は2026年11月1日です。

もうひとつ、この単価には注意書きが付きます。経済産業省のページは2026年9月1日に更新され、電力・ガス取引監視等委員会の意見を受けて東京電力パワーグリッドの提出資料に一部誤りがあることが示され、同社から補正書が提出されたと記載されています。東北電力ネットワークと九州電力送配電も7月21日付で補正書を出しています。数字はまだ動いている段階だと思って読んでください。

「AIのせいで上がるんでしょう」——申請書には、そう書かれていません

この話題になると、まず出てくるのが「生成AIのデータセンターが電気を使いすぎているせいだ」という受け止めです。アメリカでは実際にそう報じられていますし、8月にはエヌビディアがオハイオ州に大型のデータセンターを建てると発表しました。オープンエーアイが20年契約で借り、初期の電力は4.25GW(ギガワット)。原発4基分に相当する規模です。これを読めば、日本の値上げも同じ理由だろうと思うのが自然です。

ところが、送配電会社が国に出した申請書を開くと、話が変わります。

東京電力パワーグリッドの申請書に書かれている理由は、こうです。「第1規制期間の期初時点では想定できなかった物価・労務費単価の高騰や金利の上昇によって、当社を取り巻く事業環境は大きく変化しており」。続けて、協力企業の賃金水準の確保、施工力や資材の確保という言葉が並びます。

関西電力送配電の説明も同じで、挙がっているのは銅・アルミ・鋼材などの原材料費、労務費、金利の上昇です。

両社の資料を通して読んで、「データセンター」という言葉は1回も出てきませんでした。電気を運ぶ設備そのものが高くなった、という話です。鉄塔を建て替える鋼材が上がり、工事をする人の賃金が上がり、その資金を借りる金利が上がった。値上げの中身は、AIというより物価高でした。

建物の外壁に横一列に取り付けられた電力量計。手前のものにピントが合っている
増える額を知るのに要るのは、検針票かマイページに出ている「今月の使用量(kWh)」だけです(写真: Pexels)

うちはいくら増えるのか

東電エリアで、託送料金の差額がそのまま電気料金に乗ったと仮定した場合の単純計算です。

月の使用量月の増加(税込)年の増加(税込)
200kWh(一人暮らし〜二人)約235円約2,820円
260kWh(標準的な家庭)約306円約3,670円
400kWh(オール電化・大家族)約471円約5,650円

1.07円に消費税10%を乗せ、使用量を掛けただけの数字です。実際にいくら請求されるかは、契約している小売会社がこの上昇分をどこまで料金に反映するかで変わります。九州電力はすでに電気料金への反映を発表し、東北電力は見直しの検討開始を公表しました。正確な金額は、契約先から届く「料金改定のお知らせ」を読むまで分かりません。

ネット上には「標準家庭で月246〜458円」といった試算がいくつも出ていますが、出どころは民間サイトの独自計算で、互いに数字が合っていません。この記事では、公表された単価から自分で計算した数字だけを載せています。

関西エリアの家庭向け単価は、まだ出ていません

関西電力送配電は、収入の見通しを3兆6,130億円から3兆7,626億円へ、1,496億円増やす申請を出しています。適用期間は2026年11月1日から2028年3月31日までの17か月です。ただし家庭向けの単価がいくらになるかは、2026年9月3日時点で公表されていません。東電エリアの1.07円をそのまま関西に当てはめないでください。

データセンターの通路。両側にサーバーラックが並び、天井の照明が灯っている
データセンターの電力は、値上げの理由ではなく需要想定のほうに別枠で数えられています(写真: Pexels)

では、データセンターの電気はどこに計上されているのか

「今回の値上げの理由ではない」ことと、「データセンターが電気を使っていない」ことは別の話です。使う量は、別のところにきちんと数えられています。

電力広域的運営推進機関(オクト)は毎年、全国の電力需要の見通しを作っています。2026年1月に公表された最新版では、データセンターと半導体工場の新増設だけを取り出して「個別計上」しています。

年度データセンター半導体工場合計が全国に占める割合
2026年度48億kWh18億kWh0.83%
2030年度243億kWh65億kWh3.74%
2035年度494億kWh74億kWh6.71%

需要電力量の個別計上値です。データセンターだけで、10年後には今の10倍を超えます。家庭用の電力需要は人口減少と省エネで減っていくのに、全国の需要電力量は2035年度まで増え続ける見通しになっている——その理由が、この表の増え方です。

もうひとつ、見落とされやすい記述があります。オクトは前回の想定と比べて、データセンターの立ち上がりが後ろ倒しになっていると書いています。事業者の工事延期・遅延や設計変更のためで、2033年度までは前回の想定を下回り、2034年度以降に上回る見通しです。計画が発表されるスピードほどには、実際の建設は進んでいません。

つまり今回の11月の値上げは、データセンターの電力を運ぶための増強費用ではなく、既存の設備を維持するための物価分です。データセンターぶんの投資が料金に効いてくるとすれば、それはこの先の話になります。

大阪の集合住宅の外壁。同じ形の窓とベランダが規則的に並んでいる
共用部の照明・エレベーター・給水ポンプの電気代は、管理費から払われています(写真: Pexels)

マンションは、共用部でもう一段効きます

自分の部屋の電気だけを見て終わりにしないでください。分譲マンションの共用部——エントランスの照明、エレベーター、給水ポンプ、機械式駐車場——は、規模によっては高圧でまとめて契約しています。高圧の託送料金も1kWhあたり0.35円上がります。

共用部の電気代は管理費から払われるので、値上がりは管理組合の収支に出ます。すぐ管理費が上がるわけではありませんが、修繕積立金の値上げが各地で議題になっている中で、支出がまた1つ増えるかたちです。総会資料の「水道光熱費」の欄を、来年は一度見てみてください。

9月と11月が、続けて来ます

もう1つ重なっている話があります。電気・ガス料金の負担軽減の補助は、9月使用分で終わります。値引きが消えた2か月後に、託送料金の改定が来る。10月と12月の請求書は、続けて重く感じるはずです。

やることは多くありません。まず検針票かマイページで、自分の家が月に何kWh使っているかを見てください。上の表に当てはめれば、増える額の見当がつきます。数字が分かっていれば、11月の請求書を開いたときに驚かずに済みます。

生活・仕事にどう効くか

  • 毎月の電気代:東電エリアで月260kWh使う家庭なら、単価差をそのまま掛けて月およそ306円、年およそ3,672円の増加(税込・単純計算)。
  • マンションの管理費:共用部の照明・エレベーター・給水ポンプは高圧契約のことが多い。高圧も0.35円上がるため、管理組合の電気代として一段効く。
  • 9月と11月が続く:電気・ガス料金の補助は9月使用分で終わる。補助の終了と託送料金の改定が、2か月違いで重なる。

結局どうすればよいか

  • 検針票かマイページで、自分の家が月に何kWh使っているかを確認する
  • マンションに住んでいるなら、共用部の電気契約が高圧かどうかを管理会社か管理組合に聞く
  • 契約している小売会社からの「料金改定のお知らせ」を、11月分の請求が来る前に読む

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公式出典

更新履歴

  • 2026年9月3日 初版を公開。東京電力パワーグリッドと関西電力送配電の一次資料(PDF・公式ページ)を直接読んで作成

※本記事は2026年9月3日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。

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この記事を書いた人

ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
実務全般に携わってきました。

特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

現在は子育てのため一線を退いていますが、
これまでの実務経験を活かし、
フリーランスとして不動産会社様向けの
バックオフィスサポート業務を開始しました。

現場目線を大切にしながら、
「早く・正確に・伝わる」業務サポートを心がけています。

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