徳島県阿南市(あなんし)で、国が「道路冠水想定箇所」に挙げているのは2か所です。どちらも県道がJR牟岐線(むぎせん)の下をくぐる所で、そのうち阿南市役所の東にある富岡港線のアンダーパスでは、2023年6月2日の大雨で軽乗用車が水没し、動けなくなりました(市の議会答弁)。
市が県に確かめて2023年9月の議会で答えた内容では、ここには冠水センサーがあり、10センチ以上つかると電光掲示板と赤色回転灯で通行止めを知らせる仕組みです。その日も通行止めの表示は出ていて、排水ポンプも正常に動いていました。
この記事でわかること
- ✓ 雨の日の「今どこが通れないか」は、市道は市の通行止めの地図、県道は徳島県の県土防災情報で見られます
- ✓ 下水道で雨水を流しきれない想定(内水浸水想定区域)の図があるのは、富岡地区と福村東地区の2地区だけ。想定の雨は1時間158ミリです
- ✓ 2014年8月の台風12号では、市内全域で約600棟が床上・床下浸水しました(市の答弁)
雨の日に「今どこが通れないか」を見るところ
- 市道:阿南市のページ「市道の通行止め状況等について」から開ける地図のサイト
- 県道と県が管理する国道:徳島県のページ「県管理道路の通行規制状況等について」が案内する「徳島県県土防災情報」。国の一覧のA・Bはどちらも県道です
- 国が管理する国道:国土交通省「道路情報提供システム」
- 大雨警報や川の水位・カメラ:阿南市のページ「災害時防災情報」に、気象庁、川の防災情報、那賀川(なかがわ)河川事務所の河川監視カメラなどへの案内があります
- 避難の情報:阿南市公式LINEと阿南市メール。防災行政無線の放送は、市の電話応答サービス(28-9000)で聞き直せます(24時間を過ぎた放送と、一部の地区だけの放送は聞けません)
国の一覧の2か所は、JR牟岐線の下をくぐる県道
国土交通省の「道路冠水想定箇所」(道路防災情報WEB〈ウェブ〉マップ)に、徳島県は19か所、阿南市は2か所が載っています(2026年9月27日に当サイトで数えた値)。
Aは県道 大林那賀川阿南線の「住吉」で、那賀川の南岸、JR牟岐線の鉄橋のたもとです。説明表の写真では、堤防沿いの道が下って橋の下をくぐります。Bは主要地方道 富岡港線の「富岡」で、信号の先で道が下り、線路の下をくぐります。

地図の記号と同じ順です
A 住吉(那賀川の南岸)
県道 大林那賀川阿南線
阿南市住吉町(説明表の住所の町名)
管理: 徳島県 南部総合県民局 県土整備部(阿南) / 警察: 阿南警察署 / 消防: 阿南市消防署
※ ピンは道路地図(OpenStreetMap〈オープンストリートマップ〉)で、この県道が那賀川の南岸でJR牟岐線の橋の下を通る点に当サイトが置いたもの。説明表の位置図の丸と同じ所です
B 富岡(阿南市役所の東)
主要地方道 富岡港線
阿南市富岡町(説明表の住所の町名)
管理: 徳島県 南部総合県民局 県土整備部(阿南) / 警察: 阿南警察署 / 消防: 阿南市消防署
※ ピンはOpenStreetMapで、富岡港線がJR牟岐線の下を通る点に当サイトが置いたもの(阿南市役所の東 約200メートル、阿南駅の北 約400メートル。当サイトが地図で測った目安)
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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富岡のアンダーパスは、通行止めの表示が出ていた日に車が水没
事故を受けて県は2023年8月29日、Bの2車線の路面に2つの深さが分かる表示を付けました(9月13日の市議会で、市の建設部長が県に確かめて答弁)。

答弁の説明では、10センチは車が走行できなくなるとされる水深、50センチは水圧でドアが開かなくなる水深です。道路の壁の2か所には浸水が分かる目盛りを付け、入口の手前には「冠水注意」の文字を設けた、と市は答えています。
質問した議員は、このアンダーパスでは以前にも同じような事故があり、電光表示板と赤色回転灯を付けてもらった、と述べました(議員の発言で、以前の事故の時期は述べられていません)。
6月2日の雨は、アメダス蒲生田(阿南市の東の端、蒲生田岬の近くの観測所)で1日334.5ミリ、最も多い1時間で72.0ミリでした。富岡で降った量ではありません。市は6月の議会で、この日は1時間と1日の降水量が「6月の観測史上記録を更新」し、市内各所で排水路から水があふれて道路の冠水や浸水被害が起きたと答えましたが、どの観測所の記録かは書かれていません。
答弁の言い方は「JR牟岐線アンダーパスのある主要地方道富岡港線」です。富岡港線がJR牟岐線の下をくぐるのは道路地図(OpenStreetMap)で1か所だけなので、国の一覧のBと同じ場所と見ています(当サイトが2026年9月27日に地図で確かめた)。
読者
電光掲示板に何も出ていなければ、通っても大丈夫ですか?
表示だけで決めず、坂の下に水が見えたら入らないでください。路面の10センチと50センチの表示も、深さの目安になります。
内水浸水想定区域図があるのは、富岡と福村東の2地区だけ
阿南市は2025年6月20日、水防法にもとづいて「内水浸水想定区域」を指定しました(阿南市告示第69号)。大雨で下水道管や水路から水があふれたときの想定です。
想定の雨は1時間158.0ミリ、24時間686.5ミリ。区域図の説明では、2014年8月の台風12号の豪雨(蒲生田観測所の24時間降水量490.0ミリ)の約1.4倍の雨です。


富岡地区は市役所や阿南駅のある市街地です。重ねるハザードマップに当サイトが点を重ねて見ると、Bのアンダーパスは色が付く範囲の北東の角、JR牟岐線の線路ぎわにあたります。福村東地区では、市の区域図の北寄り、「福村町」の文字のまわりに1.0〜3.0メートルの色が広がっています(当サイトが区域図を見て読み取った)。
区域図の説明は、色が付いていない所でも雨の降り方によっては浸水することがあり、津波・高潮・川の氾濫(洪水)は計算に入れていない、と書いています。
区域図は、市の「阿南市防災情報」のページのハザードマップの並びには無く(2026年9月27日に当サイトが見たとき)、下水道課のページ「内水浸水想定区域図を公表します」に載っています。国土地理院の「重ねるハザードマップ」でも見られます(2026年2月27日公開)。
市が議会で挙げた浸水・冠水の場所
2014年8月の台風12号について、市は、1日の降水量が観測史上最大を記録し、市内全域で約600棟が床上・床下浸水したと答えています(2021年6月。市全体の数で、地区ごとには書かれていません。どの観測所の記録かも書かれていません)。
市は県の浸水痕跡マップをもとに、床上浸水の家が複数あった地域と、床下浸水が10軒以上あった地域として7か所を選び、有識者による市の内水被害対策専門委員会に示しました。ほかの地域でも浸水被害は起きている、と市は断っています。
| 市の答弁が挙げた地区(2021年6月15日) | |
|---|---|
| 1 | 桑野川と岡川の合流部の富岡・宝田・中野島(1つの地区として) |
| 2 | 長生町(ながいけちょう)段地区 |
| 3 | 桑野町中野地区 |
| 4 | 見能林町(みのばやしちょう)志んじゃく地区 |
| 5 | 新野町(あらたのちょう)花坂地区 |
| 6 | 福井町大西・湊地区 |
| 7 | 羽ノ浦町(はのうらちょう)沢田地区 |
道路については、2020年12月の答弁で、気象警報のときに道路冠水などが起きやすいとして職員が見回っている市道は18路線だと説明しています(その時点の数で、路線名は答弁にありません)。
横見町と富岡町の中川原地区では、洪水で桑野川の水位が上がると逆流を防ぐために樋門を閉めていて、そのために川へ水を流せなくなり浸水被害が生じている、と市は2017年6月に答えました。
\住所だけ・1分で公的データを確認できます/
土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します
家と通る道を確かめる3つのこと
- 通勤・通学の道にAとBのアンダーパスがあるか
- 富岡地区・福村東地区なら、市の内水浸水想定区域図で家と道に色が付くか
- 川の氾濫と津波は、道路の冠水とは別の地図で見る(下の「よくある質問」)
\家の住所で洪水と土砂の公的データを見る/
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このツールでは道路の冠水と内水(下水道で流しきれない雨)の想定は出ません。那賀川・桑野川の洪水の想定がツールに入っているかは確かめられていないので、市の洪水ハザードマップでも確かめてください(国は2026年8月、那賀川・桑野川の計画規模の浸水想定区域図を新しく公表しています)。
よくある質問
「浸水想定区域」「浸水マップ」は、どれを見ればいいですか
主に次の3つで、それぞれ別の地図です。那賀川・桑野川・派川那賀川・福井川があふれる想定の洪水ハザードマップ(市のページ「阿南市洪水ハザードマップ(想定最大規模) について」)、下水道で流しきれない雨の内水浸水想定区域図(富岡・福村東)、南海トラフ巨大地震の津波浸水想定(県が公表。市のページ「徳島県津波浸水想定について」)です。大雨の道路の冠水に近いのは2つ目ですが、どれも道路の冠水の場所そのものを示した地図ではありません。
過去の浸水被害は、どこで分かりますか
2014年の台風12号・11号の浸水は、徳島県が「平成26年台風12号・11号浸水痕跡マップ」として2015年3月24日に公表しています。上の7か所は、市がこの地図をもとに選んだものです。
徳島県のほかの冠水の記事
公式出典
- 国土交通省 四国地方整備局「道路冠水想定箇所」徳島県(一覧と説明表 徳島県-02-014・徳島県-02-015。2026年9月27日取得)/国土交通省「道路防災情報WEBマップ」
- 阿南市ホームページの次のページ:「内水浸水想定区域図を公表します」(下水道課・2025年6月20日公開。富岡地区・福村東地区の内水浸水想定区域図〈最大規模降雨〉、阿南市告示第69号)/「市道の通行止め状況等について」/「災害時防災情報」/「防災情報等の情報伝達手段について」/「防災行政無線の内容を電話で確認することができます」/「阿南市防災情報」/「阿南市洪水ハザードマップ(想定最大規模) について」/「徳島県津波浸水想定について」/「このサイトについて」(2026年9月27日取得)
- 阿南市議会 会議録検索システム:平成29年6月定例会(2017年6月14日)/令和2年12月定例会(2020年12月10日)/令和3年6月定例会(2021年6月15日)/令和5年6月定例会(2023年6月14日)/令和5年9月定例会(2023年9月13日)
- 気象庁「過去の気象データ」アメダス蒲生田(2014年8月・2023年6月の日ごとの値)
- 国土地理院「重ねるハザードマップ 内水(雨水出水)浸水想定区域(想定最大規模)掲載状況一覧」(阿南市は2026年2月27日公開)/国土地理院 地理院タイル(地図)
- 徳島県ホームページの次のページ:「県管理道路の通行規制状況等について」/「平成26年台風12号・11号浸水痕跡マップ」(2026年9月27日取得)/徳島県県土防災情報/国土交通省「道路情報提供システム」
- 国土交通省 四国地方整備局 那賀川河川事務所「浸水想定区域図」(那賀川、派川那賀川・桑野川。計画規模〈気候変動考慮〉は令和8年8月公表)/国土地理院 ハザードマップポータルサイト「オープンデータ」
- OpenStreetMap(A・Bの道路・線路の位置。© OpenStreetMap contributors)
この記事の数値は公表資料を集計したものです。冠水や通行止めは雨のたびに変わります。避難や通行の判断は、必ず阿南市と徳島県、国の最新の発表を確認してください。
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