🗨️「擁壁が崩れて、よその車を壊してしまった。これは誰が払うの?」
民法717条で、まず擁壁を使っている人(占有者)が、次に所有者が賠償します。所有者には「必要な注意をしていた」という逃げ道がありません。目黒区東山では21日夕方に擁壁が崩れ、土砂が隣の駐車場の車に当たりました。けが人はいません。
[災害] この記事の要点
2026年9月22日 発表
- 自分の敷地に高さ2メートルを超える擁壁やがけがある人
- がけ下・擁壁のすぐ下に建つ家に住んでいる人
- 擁壁のある土地を買おうとしている人
崩れたのは中目黒駅から800メートルの住宅地
警視庁によると、通報は21日午後5時ごろ。内容は「がけが崩れ、住宅の基礎が丸見えになっている」でした。崩れた土砂は隣の駐車場に止めてあった乗用車に当たっています。けが人はいません。現場は東急東横線・中目黒駅の北西800メートルほどの住宅地です。
東山は、目黒川の谷から西へ上がっていく斜面の途中にあります。国土地理院の標高データで測ると、中目黒駅が8.9メートル、そこから西へおよそ1キロの東山2丁目が26.2メートル。1キロで17.3メートル上がる地形です。宅地をひな壇にして造ってあるので、敷地と敷地の間に擁壁が立ち並ぶことになります。
| 地点 | 標高 |
|---|---|
| 中目黒駅 | 8.9メートル |
| 目黒川ぞい(宝来橋あたり) | 14.9メートル |
| 東山1丁目 | 21.2メートル |
| 東山2丁目 | 26.2メートル |
| 駒場野公園ぎわ | 32.1メートル |
数値は国土地理院の標高APIで、1メートルメッシュのレーザ測量値です。
住まいのリスクに対する備え
土地の履歴やリスクを知ったら、次は「起きたときにどうするか」です。最低限そろえておくと動けるものを挙げます。
一から集めると抜けが出ます。まずセットで用意して、家族の人数分と常備薬だけ足すのが早いです。
断水で最初に困るのがトイレです。備蓄で見落とされやすい一方、代用が効きません。
停電時は懐中電灯より、部屋全体を照らせるランタンの方が使えます。電池でも充電でも点くものだと、どちらが尽きても止まりません。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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擁壁が崩れて人の物を壊したら、誰が払うのか
この場面を決めているのは民法717条です。条文はこうなっています。
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
読み飛ばされやすいのが、ただし書きの後半です。占有者には「必要な注意をしていた」という免責がありますが、所有者にはそれがありません。借りて住んでいる人が注意を尽くしていたなら、責任は所有者に移ります。そして所有者の側には「自分は注意していた」という出口が条文に書かれていないのです。
同じ条の3項には、原因について別に責任を負う人がいるときは、その人に請求できる(求償権)と書かれています。擁壁を造った工事業者や、造成をした前の所有者に回せる可能性はありますが、まず被害者に払うのは占有者か所有者です。
私は、擁壁のある土地の売買でいちばん説明が足りていないのがここだと見ています。境界や接道は必ず話題になりますが、「この擁壁が崩れたら誰が払うのか」は契約の場で出てこないことが多い。土地を買った時点で、この条文の当事者になります。
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