国が「ここは道路が冠水しやすい」と名前を出している場所は、鹿児島県内に142か所あります。熊本県157、福岡県148に次ぐ多さです。
そのうち鹿児島市はいくつでしょうか。7か所です。県全体の約5%で、市町村の順位でいうと6番目でした。
数は少ないのですが、中身に1つだけ他と違うところがあります。142か所のうち、備考の欄に「遮断機」と書かれているのは鴨池トンネルの1か所だけでした。
この記事でわかること
- ✓ 国の道路冠水注意箇所は鹿児島県142か所、うち鹿児島市は7か所で県全体の約5%
- ✓ 7か所はトンネル2・地下道3・ガード下2。全部が何かの下をくぐる道
- ✓ 遮断機が書かれているのは県内で鴨池トンネルだけ。通行止めの数字が書かれているのも宇宿地下道だけ
箇所数は国土交通省 九州地方整備局「道路冠水注意箇所リスト【鹿児島県】」を1行ずつ数えたものです。表の最後に中身が全部空の行が1つ入っているので、行数で数えると143になります。設備の内容は同じ資料の個別箇所説明表142件の備考の欄を1件ずつ読んだものです。
県内142か所のうち、鹿児島市は6番目

| 市町 | 箇所数 |
|---|---|
| 薩摩川内市 | 15 |
| 湧水町 | 15 |
| 阿久根市 | 12 |
| いちき串木野市 | 8 |
| 中種子町 | 8 |
| 鹿児島市 | 7 |
| 出水市 | 7 |
| 南種子町 | 7 |
29市町村で142か所。種別は市道46・県道44・国道37・町道15です。
目立つのは離島の多さです。種子島18・奄美群島17・屋久島2・与論1で、合わせて38か所が離島にあります。県全体の27%です。
このリストは市町村名の書き方がそろっていません。「肝属郡肝付町」と「肝付町」、「宇検村」と「宇検市」が別の名前として入っています。そのまま数えると31市町村に見えますが、同じ自治体をまとめると29市町村です。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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鹿児島市の7か所は、全部が何かの下
| 場所の名前 | 種別・路線名 | 住所 |
|---|---|---|
| 鴨池トンネル | 県道 鹿児島港下荒田線 | 鴨池二丁目716-1 |
| 城ヶ平トンネル | 県道 永吉入佐鹿児島線 | 田上二丁目3-21 |
| 唐湊地下道 | 市道 唐湊地下道線 | 上荒田町40 |
| JR指宿枕崎線ガード下 | 市道 木之下慈眼寺団地線 | 慈眼寺町24 |
| 西田JRガード下 | 市道 西田本通線 | 西田2丁目31 |
| 小松原地下道 | 市道 小松原山田線 | 東谷山2丁目5 |
| 宇宿地下道 | 市道 宇宿地下道線 | 宇宿町688 |
トンネル2・地下道3・ガード下2。7か所とも、何かの下をくぐる道です。町名だけの箇所はありません。管理者は、県道2か所が鹿児島地域振興局、市道5か所が鹿児島市の道路管理課3と谷山建設課2に分かれます。

遮断機が1か所、20センチの基準が1か所

| 場所 | 備考に書かれていること |
|---|---|
| 鴨池トンネル | 排水ポンプ,監視カメラ,路面冠水表示板,遮断機 |
| 城ヶ平トンネル | 排水ポンプ,監視カメラ,路面冠水表示板 |
| 宇宿地下道 | 冠水センサー、情報提供板、ポンプ排水/交通規制:路面冠水20センチで通行止め |
| 唐湊地下道 | ポンプ排水、標識(冠水注意) |
| 西田JRガード下 | ポンプ排水、標識(冠水注意) |
| 小松原地下道 | 標識(冠水注意)、ポンプ排水 |
| JR指宿枕崎線ガード下 | 側溝排水、標識(冠水注意) |
県内142か所ぜんぶの備考を読みましたが、「遮断機」という言葉が出てくるのは鴨池トンネルだけでした。踏切のように、水がたまったら物理的に車を入れないようにする仕組みです。
もう1つ、宇宿地下道にだけ数字が書いてあります。「路面冠水20センチで通行止め」。何センチになったら止めるかを公表している箇所は、県内でここだけです。
そしてJR指宿枕崎線ガード下だけ、排水が「ポンプ」ではなく「側溝排水」。つまり水を汲み出す設備がなく、側溝から自然に流れるのを待つ場所ということになります。

読者
遮断機が無い場所は、その分あぶないということですか
単純にそうとは言えません。ただ「入れないようにする」までやっている場所は、それだけ深くなりうると判断されたということです。逆に言うと、残り6か所は標識やセンサーはあっても、最後は運転する人の判断にゆだねられます
県の浸水記録と、地名が重なる
鹿児島県は、県が管理する川であふれた記録を市町村ごとにPDFで出しています。鹿児島市は15件・10河川でした。
| 川 | 日付 | 場所 |
|---|---|---|
| 新川 | 平成18年7月5〜6日 | 唐湊 |
| 木之下川 | 平成18年7月6日 | 下福元町 |
| 木之下川 | 平成25年9月4日(台風17号) | 下福元町慈眼寺 |
| 思川 | 令和元年6月28日 | 西佐多町 |
| 甲突川 | 令和元年7月1日 | 郡山町上常磐/小山田町 |
| 稲荷川 | 令和元年7月1日 | 川上町 |
| 和田川 | 令和元年7月3日 | 和田町 |
日付を見ていて気づいたのですが、15件のうち6件が、令和元年6月28日から7月3日までの6日間に入っています。
そして場所の名前が、国のリストと重なります。平成18年に新川があふれたのは「唐湊」で、国のリストには「唐湊地下道」。そのときの浸水範囲の図には「城ヶ平橋」が描かれていて、国のリストの2番目は「城ヶ平トンネル」。平成25年に木之下川があふれたのは「下福元町慈眼寺」で、国のリストの路線名は「木之下慈眼寺団地線」です。
地名が重なっているだけで、同じ地点だとは断定できません。県の記録は川があふれた場所、国のリストは道路が冠水しやすい場所で、そもそも見ているものが違います。ただ同じ川の流域に両方が並んでいることは確かです。
標高は2.9メートルから33.6メートル

7か所の住所を国土地理院の標高データで引くと、いちばん低いのは鴨池二丁目の2.9メートル。県内で唯一、遮断機が付いている鴨池トンネルの住所です。次が東谷山二丁目3.0メートル、西田二丁目5.5メートル。いちばん高いのは宇宿町の33.6メートルでした。
鴨池は、市の「低地区ハザードマップ」の対象4地区のうちの1つ(真砂・鴨池地区)にも入っています。市の説明によると、平成16年と17年に大潮の満潮と台風の高潮と雨が重なって大規模な浸水が起きた地区です。ほかの3つは甲突川左岸・下荒田地区、谷山地区、桜川地区。下荒田は鴨池トンネルの路線名(鹿児島港下荒田線)、谷山は市道2か所の管理課の名前と、ここでも重なります。
標高は住所検索で得た代表点の値です。同じ町名のなかでも場所によって上下します。トンネルや地下道そのものの標高ではありません。
市が備える雨は1時間66.3ミリ、想定している雨は153ミリ
鹿児島市の下水道の計画は、数字がはっきり書かれています。
- 現行の下水道計画降雨 1時間66.3ミリ
- 気候変動の影響を踏まえた計画降雨 1時間70.6ミリ
- 想定最大規模降雨 1時間153ミリ
雨水の整備率は72.9%。市の書き方では、66.3ミリと70.6ミリは管や施設をつくって受け止める「ハード対策」の目標で、153ミリは「計画を上回る降雨に対するソフト対策の目標」です。1時間153ミリの雨は、工事では受け止めない前提だということです。市は令和7年6月30日に、この規模に対応した雨水出水浸水想定区域を指定しています。
ちなみに平成5年8月6日の8・6豪雨のとき、鹿児島市では床上浸水が9,014棟にのぼりました(鹿児島地方気象台の集計)。死者46人、行方不明1人。市街地が水につかるということが、この街では過去形の話ではありません。
この住所は浸水しやすい場所ですか
鹿児島市の場合、河川ハザードマップ、低地区ハザードマップ、津波ハザードマップと分かれていて、見る場所が1つではありません。自分の住所について1枚ずつ確かめるのは、けっこうな手間です。
住所を入れるだけで、洪水・内水・土砂・地震の指定をまとめて確認できるページを用意しています。
もし車で水に入ってしまったら

トンネルも地下道もガード下も、共通しているのは「まわりより低い」ことです。たまった水は上から見ると平らなので、入るまで深さが分かりません。
JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
水深がひざ下でも、流れがあれば大人でも歩けなくなります。50センチより深いときは、無理に移動せず、高いところで助けを待つほうが安全です。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市も1つずつ調べています。リストの書き方が県によって違うので、出てくる答えも変わります。
- 宮崎市 冠水 どこが危ないの? 16か所のうち5か所は、地先名が「ポンプ場」です
- 熊本市 冠水 どこが危ないの? 国のリストは11か所、市民が作った地図は462枚
- 福岡市 冠水 どこが危ないの? 国のリスト45か所に、中央区は1つもありません
- 和歌山市 冠水 どこが危ないの? 5か所ぜんぶに排水ポンプ、うち4か所に冠水実績があります
この記事のまとめ
鹿児島市の道路冠水注意箇所は7か所。鴨池トンネル・城ヶ平トンネル・唐湊地下道・JR指宿枕崎線ガード下・西田JRガード下・小松原地下道・宇宿地下道です。全部が何かの下をくぐる道で、県内142か所で遮断機が付いているのは鴨池トンネルだけ、通行止めの数字(路面冠水20センチ)が出ているのは宇宿地下道だけでした。
この7つを覚えるより先に、自分がいつも通る道にこの形(トンネル・地下道・ガード下)がいくつあるかを数えてみてください。雨の日にそこを避けられるかどうかが、実際に効く備えです。
公式出典
- 国土交通省 九州地方整備局「道路冠水注意箇所リスト【鹿児島県】」(道路防災情報Webマップ)
- 同 個別箇所説明表 鹿児島県-02-001〜007 ほか142件
- 鹿児島県「過去の浸水記録~浸水実績~」鹿児島市
- 鹿児島市「低地区ハザードマップ」
- 鹿児島市「公共下水道(雨水)」
- 鹿児島地方気象台「8.6豪雨の市町村別被害状況」(出典:平成5年災害の記録・鹿児島県発行)
- 国土地理院 住所検索API・標高API
- JAF ユーザーテスト「水深何cmまでドアは開くのか」「何を使えば窓が割れるのか」
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