🗨️「浜岡原発の審査はどうなるのか。中部電力は何をしたのか」
中部電力が、浜岡原子力発電所3号機・4号機の再稼働に向けた新規制基準適合性審査について、申請そのものを取り下げる方向で検討していることが9月11日にわかりました。きっかけは、2026年1月5日に同社が公表した「基準地震動の策定に関する不適切事案」です。会社は審査会合で『20波を計算して、平均に最も近い波を代表波に選ぶ』と説明していましたが、実際には平均に近くない波を先に代表波と決め、残りの19波のほうを、その波が平均に近く見えるように作り直していました。原子力規制委員会はすでに3号機・4号機の審査を中断しています。
[経済] この記事の要点
2026年9月11日 発表
- 静岡県御前崎市など浜岡原発の周辺に住む人
- 中部電力エリアで電気を使っている家庭
- 原子力の審査がどう行われているかを知りたい人
説明していた手順と、実際にやっていた手順
原発の耐震設計は、その敷地でどれくらいの揺れを想定するか——基準地震動——を決めるところから始まります。中部電力が2019年1月の審査会合で説明したのは、統計的グリーン関数法という方法で20通りの地震動を計算し、そのうち平均に最も近い1波を代表として使う、という手順でした。
| 審査会合での説明 | 実際に行われていたこと | |
|---|---|---|
| 計算する波の数 | 20波 | 20波(ここは同じ) |
| 代表波の決め方 | 平均に最も近い波を選ぶ | 2018年ごろ以前は、複数のセットを作ったうえで代表波を恣意的に選定 |
| 2018年ごろ以降 | — | 平均に最も近くない波を意図的に代表と決め、残る19波をその波が平均に近く見えるよう作り直した |
順番が逆になっている、というのがこの事案の中身です。ふつうは20波を出してから真ん中の1本を拾う。そうではなく、先に使いたい1本を決めて、まわりの19本のほうを動かしていました。
揺れた瞬間に、部屋の中で起きることを減らすもの
地震のけがの3〜5割は、屋内の家具類の転倒・落下・移動によるものです(東京消防庁)。壁にネジを打てない部屋でもできる手から並べます。
東京消防庁の実験では、L型金具で壁に直接ネジ止めするのが最も効果が高いとされています。賃貸で壁に穴を開けられない部屋での代わりがこれです。家具の両端の側板部を、できるだけ奥で突っ張ります。天井側にも強度が要ります。
突っ張り棒だけだと効きが落ちます。同じ資料が、ポール式にはストッパー式や粘着マット式の併用をすすめています。マット単独でも効果は小さいので、上の棒と2つで1組と考えてください。
お湯でも水でも作れて、袋のままおにぎりの形になります。断水すると鍋も食器も洗えません。洗い物の出ない形を先に入れておくと、水の減り方が変わります。
飲料水は1人1日3L。4人家族の1週間分で84L=2Lボトル42本なので、6本入りだと7ケースぶんです。5年保存タイプなら入れ替えの手間が減ります。
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なぜ「20波の平均」という決め方が要るのか
同じ断層を同じ式で計算しても、地震動には幅が出ます。だから1回の計算結果ではなく複数の結果を出し、そのばらつきの真ん中を取る。ここで真ん中ではないものを真ん中だと言えてしまうと、あとに続く耐震設計の数字が全部その上に乗ります。規制委員会が数字の訂正ではなく審査そのものを止めたのは、この位置にある手順だからです。
数字が小さくなるように操作した、ということですか。
会社が公表しているのは、選定の方法が説明と違っていたところまでです。結果として基準地震動が過小になったのかどうかは、第三者調査委員会の調査と規制委員会の確認を待つ段階です。ここから先を先回りして書くと憶測になります。
1月の公表から、9月の取り下げ検討まで
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2019年1月 | 審査会合で「20波を計算し、平均に最も近い波を代表にする」と説明 |
| 2018年ごろ〜 | 実際には、平均に最も近くない波を代表と決め、残る19波を作り直していた |
| 2026年1月5日 | 中部電力が不適切事案として公表。弁護士3名の第三者調査委員会を設置 |
| 同時期 | 原子力規制委員会が3号機・4号機の審査を中断 |
| 2026年9月11日 | 申請そのものを取り下げる方向で検討していることが明らかに |
取り下げれば、申請から積み上げてきた審査は白紙に戻ります。再申請するなら、基準地震動の策定から作り直すことになります。
生活・仕事にどう効くか
- 再稼働の時期:申請を取り下げれば、審査は最初からやり直しになる。3号機・4号機の再稼働時期の見通しは、さらに遠のく
- 地震の想定:問題になっているのは原発の耐震設計の出発点である基準地震動そのもの。数字ではなく、数字の決め方が疑われている
結局どうすればよいか
- 浜岡原発の周辺に住んでいるなら、第三者調査委員会の報告と規制委員会の判断を、会社の発表と規制委の資料の両方で確かめる
- 自宅の揺れやすさは原発とは別の話なので、住所単位の地震のリスクは自分で一度調べておく
- 電気料金や供給への影響は現時点で発表されていない。発表されていないことを、値上げの予告として読まない
公式出典
- 中部電力「浜岡原子力発電所の新規制基準適合性審査における基準地震動策定に係る不適切事案について」(2026年1月5日発表)
- 中部電力「浜岡原子力発電所 新規制基準適合性に係る審査状況について」(2026年9月11日発表)
- 共同通信「中部電、浜岡の再稼働審査申請取り下げ検討」(2026年9月11日発表)
更新履歴
- 2026年9月11日 初版を公開
※本記事は2026年9月11日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。
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