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岸和田の洪水ハザードマップは牛滝川・春木川・津田川の3本 内水の地図は1時間147ミリの雨を想定しています

岸和田市が「ここに水が来る」と地図にしているのは2種類あります。牛滝川(うしたきがわ)・春木川(はるきがわ)・津田川(つだがわ)の3本があふれる洪水と、下水道管や水路から水があふれる内水です。

内水の地図が前提にしている雨は、1時間147ミリ。今日9月8日に愛知・岐阜で出た記録的短時間大雨が1時間およそ100ミリですから、その1.5倍近い雨を置いた地図が、2026年2月6日から公開されています。

そして今夜、泉州(せんしゅう)には気象庁から「過去の重大な土砂災害発生時に匹敵する極めて危険な状況」という文言が出ています。ところが川のほうは、それと同じ顔をしていません。

この記事でわかること

  •  8日17時50分時点、岸和田市内の水位観測所2か所はどちらも氾濫注意水位に届いていない。ただし1か所は10分で19センチ上がったあと、1時間で49センチ引いた
  •  岸和田市内の水位観測所は山直橋と森池橋の2か所だけ。春木川には無い
  •  大阪府の「アンダーパス冠水想定箇所」25か所に岸和田市内の箇所は1つも入っていない。一覧に出てくる「岸和田」は土木事務所の名前
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雨量・警報・水位は2026年9月8日17時50分時点の気象庁と国土交通省「川の防災情報」の値です。想定雨量と対象河川は岸和田市の公表資料によります。状況は刻々と変わります。
目次

岸和田市が置いている雨は1時間147ミリ 今日の東海の1.5倍近い

岸和田市は2026年2月6日、水防法にもとづく「雨水出水浸水想定区域(内水)」を指定・公表しました。市のページにはこう書いてあります。

雨水出水浸水想定区域(内水)は、水防法第14条の2第2項の規定に基づき、想定最大規模降雨(時間雨量147mm)に対する雨水出水による内水浸水想定区域を示したものです。浸水した場合に想定される浸水深や想定される浸水継続時間を示した図を雨水出水浸水想定区域図(内水)として公表します。

時間雨量147ミリという数字だけ見ても、多いのか少ないのか分かりません。今日、実際に東海で降った雨と並べます。

何の雨量か 1時間あたり
岸和田市の内水の地図が前提にしている雨 147ミリ
8日16時10分 愛知県小牧市野口の実測 102ミリ
8日16時20分〜17時 名古屋市・瀬戸市・春日井市・尾張旭市・犬山市・長久手市の各付近 約100ミリ
8日16時30分 岐阜県多治見市・土岐市の各付近 約100ミリ
岸和田市の内水ハザードマップが想定する1時間147ミリと実際の雨の比較
岸和田市の内水の地図が前提にする147ミリと、9月8日に東海で降った雨の比較

今日、名古屋で川が氾濫警報まで上がり、線状降水帯の情報が出た雨が、1時間およそ100ミリです。岸和田市の内水の地図は、その1.5倍近い雨が降ったときに、どこがどれくらいの深さで、どれくらいの時間浸かるかを描いたものです。

読者

147ミリなんて降らないから、この地図は関係ないのでは?

おかあさん

地図の役目が逆なんです。ふだんの雨で浸かる場所を描いた地図ではなく、いちばんひどい雨が降ったときに水が集まる低いところを描いた地図です。ここに色が付いている場所は、147ミリでなくても水が集まりやすい地形だということになります。

冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの

JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。

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水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。

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119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。

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鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。

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内水氾濫と外水氾濫は、水が来る向きが違う

岸和田市のページには、2つの氾濫の定義も書かれています。逐語で引きます。

種類 市の説明(逐語)
内水氾濫 集中豪雨により降った雨が河川等へ排水しきれなくなり下水道管(雨水管)や水路から水があふれる浸水のことです。
外水氾濫(洪水) 河川の水位の上昇により堤防が決壊(以下略)
内水氾濫と外水氾濫の違いを示す断面模式図
内水は下水道管や水路から、外水は川から。岸和田市は2つを別々の地図にしています

大事なのは、この2つが別々の地図になっていることです。洪水のハザードマップで白いままの場所でも、内水の地図では色が付いていることがあります。逆もあります。ハザードマップ 色なし うちは安全ってこと? 海抜マイナス1.8メートルの住宅地も白で書いたとおり、白は「安全」という意味ではなく「その地図が扱っていない」という意味を含みます。

岸和田市は、洪水と土砂災害を1枚にしたハザードマップと、内水の想定区域図を別に公表しています。今夜のように土砂災害の危険度が上がっている日は、洪水の地図だけを見て終わらないほうがいい、ということになります。

雨粒が路面に落ちて波紋をつくっている
雨粒が路面に落ちて波紋をつくっている(写真: Pexels)

洪水ハザードマップに載っている川は牛滝川・春木川・津田川の3本

市の危機管理課が出しているハザードマップの説明は、次のとおりです。

想定最大規模の降雨(1/1000年程度による降雨)によって、牛滝川、春木川、津田川の堤防が壊れたり、堤防を越えて水があふれるなどして引き起こされる洪水の浸水想定に基づき、浸水する範囲とその水深、及び市内の土砂災害(特別)警戒区域の指定箇所を示したハザードマップです。

1/1000年程度の降雨とは、1年のうちに起きる確率が1000分の1という規模の雨のことです。1000年に1度しか起きない、という意味ではありません。この地図には土砂災害(特別)警戒区域も一緒に描かれているので、今夜のように土砂災害の危険が高い日にそのまま使えます。

地図は市のホームページから見られるほか、岸和田市地図情報配信サービスでも表示できます。データが大きいので、電波の弱い場所や停電のあとに開こうとすると読み込めないことがあります。自宅と、子どもの学校と、いつも通る道。この3か所は、明るいうちに見ておくものです。

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今夜の川は氾濫注意まで届いていない ただし10分で19センチ跳ねた

気象庁は8日17時44分の大阪府気象解説情報で、こう書いています。

泉州では、過去の重大な土砂災害発生時に匹敵する極めて危険な状況となっています。土砂災害警戒区域等の外の少しでも安全な場所に移るなど、迷うことなく適切な防災行動をとってください。

大阪府には土砂災害の危険警報が出ています。ここまで強い言葉が並んでいるのに、国土交通省「川の防災情報」で岸和田市内の水位観測所を見ると、17時50分時点でどちらも氾濫注意水位に届いていません。

観測所 8日17時50分の到達区分 直前の動き
山直橋(やまだいばし) 水防団待機水位まで。氾濫注意水位にはまだ距離がある 17時10分がピーク。そこから40分で12センチ低下
森池橋(もりいけばし) 基準となる水位のどれにも達していない 16時40分に10分で19センチ上昇 → 16時50分にピーク → 1時間で49センチ低下
9月8日夕方の岸和田市内2か所の水位の到達区分
山直橋は水防団待機水位まで、森池橋は基準以下(国土交通省「川の防災情報」)

ここで見るのは、高さそのものではなく変化の速さです。森池橋は10分で19センチ上がり、1時間で49センチ引いています。上がるのも引くのも、雨雲が通り過ぎる時間と同じ速さです。

私は、今夜この記事を読んで川の水位を確認する人がいちばん誤解しやすいのはここだと考えています。「今見たら低かった」は、10分後の保証になりません。数字を1回見て安心するのではなく、10分前の値と比べて上がっているか下がっているかを見る。それが小さい川の見方です。

大きな雨水管に濁った水が流れ込んでいる
大きな雨水管に濁った水が流れ込んでいる(写真: Pexels)

この住所は浸水しやすい場所ですか?

住所を入れるだけ。ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さが5秒で出ます。会員登録も電話番号も要りません。



岸和田市の水位計は2か所だけ 春木川には無い

もうひとつ、今夜の数字には前提があります。岸和田市内にある水位観測所は、山直橋と森池橋の2か所しかありません。ハザードマップが想定している3本の川のうち、春木川には観測所が無い、ということです。

雨量計も同じです。岸和田市内にアメダスの雨量計はありません。8日17時50分までの24時間雨量で大阪府内の最多は、同じ泉州の熊取町(くまとりちょう)で116.0ミリでした。堺が67.5ミリ、河内長野が60.5ミリ、大阪が48.0ミリですから、雨は府の南部に偏っています。熊取で116ミリ降ったことは分かっても、岸和田のどの地区で何ミリ降ったかは、公表されている観測値からは分かりません。

読者

川の水位が上がっていないなら、うちは大丈夫ということですか?

おかあさん

そうは言えません。観測所が無い川は、そもそも数字が出てきません。内水氾濫は川が堤防を越えなくても起きますし、土砂災害は川の水位とは別の指標で判断されます。今夜の岸和田で強い言葉が出ているのは、川ではなく土砂のほうです。

「一覧に載っていない=安全」ではない アンダーパスの実例

数字が無いこと、リストに載っていないことを安全と読み替えると、はっきり間違えます。大阪府の「アンダーパス冠水想定箇所」25か所の一覧が分かりやすい実例です。

この一覧には岸和田市内の箇所が1つも入っていません。ただし一覧には「岸和田」という文字が出てきます。これは土木事務所の名前で、岸和田土木事務所が担当する3か所(井原ノ里地下道・岡中地下道・男里地下道)は、いずれも泉佐野市と泉南市にあります。市名だと思って読むと、まるごと取り違えます。

国土交通省の道路冠水注意箇所のリストでも、大阪府181か所のうち岸和田市内は市道大宮常盤線のアンダーパス1か所だけです。府内の分布は大阪で冠水しやすい道路はどこ? 国が数えた181か所で最多は吹田市12か所 6月26日にいちばん冠水した住之江区は2か所ですにまとめています。1か所という数は、水が来ない証拠ではなく、道路管理者が「くぐる道」として挙げた数です。

山を背にした住宅街の坂道。手前に側溝がある
山を背にした住宅街の坂道。手前に側溝がある(写真: Pexels)

今夜これからやること

  • 土砂災害警戒区域の中や、斜面のすぐ下にいるなら、川の水位より先に建物の中の斜面から遠い側へ移る。今夜、泉州で強い言葉が出ているのは土砂のほうです
  • 川は「今の高さ」ではなく「10分前との差」を見る。森池橋は10分で19センチ上がりました
  • 春木川のように水位計が無い川は、数字が出てこない。上流側の雨の降り方で判断する
  • 水がたまった道に車で入らない。深さは入るまで分からず、ドアは水圧で開かなくなります
  • 洪水の地図と内水の地図は別物。自宅の住所は、両方で確認する

車で出かけている人向けの話は、冠水した道路に車で入るとどうなる? JAF(ジャフ)の実験で窓を割れたのは、脱出用ハンマーだけでしたにまとめてあります。窓を割る道具は、運転席から手が届く場所にあって初めて意味を持ちます。

よくある質問

岸和田市の内水氾濫ハザードマップはどこで見られますか

市の「雨水出水浸水想定区域(内水)」のページで公表されています。2026年2月6日の指定・公表で、担当は下水道河川整備課です。時間雨量147ミリの想定に対する浸水の深さと、浸水が続く時間の図が出ています。洪水と土砂災害のハザードマップは危機管理課の別ページにあります。

牛滝川の水位はどこで見られますか

国土交通省の「川の防災情報」で、観測所ごとの水位が10分おきに更新されます。岸和田市内の観測所は山直橋と森池橋の2か所です。表示される数字は観測所ごとに基準面が違うため、他の観測所と高さを比べても意味がありません。見るのは、氾濫注意水位などの基準にどこまで近いかと、10分前からの変化です。

岸和田市の浸水履歴は調べられますか

市が公表しているハザードマップと内水の想定区域図は、いずれもこれから起きうる浸水の想定であって、過去の記録そのものではありません。過去に水がたまりやすい場所として国が名前を出しているのは、市内では市道大宮常盤線のアンダーパス1か所です。地区ごとの記録は、市の地図情報配信サービスや市の防災ページで確認することになります。

出典

  • 岸和田市「雨水出水浸水想定区域(内水)」 https://www.city.kishiwada.lg.jp/page/60-hazard.html
  • 岸和田市「洪水・土砂災害ハザードマップ」 https://www.city.kishiwada.lg.jp/site/bousai/hmkouzuidosya.html
  • 国土交通省「川の防災情報」(2026年9月8日17時50分時点の水位) https://www.river.go.jp/kawabou/pcfull/tm
  • 気象庁 気象警報・注意報(大阪府)・大阪府気象解説情報(2026年9月8日17時44分発表) https://www.jma.go.jp/bosai/warning/#area_type=offices&area_code=270000
  • 気象庁 アメダス(2026年9月8日17時50分までの24時間降水量:熊取116.0ミリ/堺67.5ミリ/河内長野60.5ミリ/大阪48.0ミリ) https://www.jma.go.jp/bosai/amedas/
  • 気象庁 記録的短時間大雨情報(愛知県・岐阜県 2026年9月8日16時10分〜17時00分発表分)
  • 国土交通省 近畿地方整備局「道路防災情報Web(ウェブ)マップ」道路冠水注意箇所一覧(大阪府) https://www.kkr.mlit.go.jp/road/doro_bosaijoho_webmap/html/27_osaka_kansui_list.html
  • 大阪府「アンダーパス冠水想定箇所」 https://www.pref.osaka.lg.jp/o130070/dorokankyo/underpass/underpass.html

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    この記事を書いた人

    ハウスメーカー2社で営業職を経験し、不動産・建築の基礎を習得。
    その後、地域密着型の不動産会社にて営業事務として勤務し、
    契約書作成、ポータルサイト管理、物件情報の入力・更新など、
    実務全般に携わってきました。

    特に、ポータルサイトを「より魅力的に見せる工夫」や、
    反響につながる「分かりやすい間取り図作成」を得意としています。
    自分が関わった物件に反響があった時の喜びが、今の原動力です。

    現在は子育てのため一線を退いていますが、
    これまでの実務経験を活かし、
    フリーランスとして不動産会社様向けの
    バックオフィスサポート業務を開始しました。

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