🗨️「いわきで冠水したアンダーパスは、どこですか。」
いわき市鹿島町米田(こもだ)の市道アンダーパス「米田アンダーボックス」です。9月7日午前7時47分ごろ「車両が浸水している」と119番通報があり、進入した車2台が水没しました。1台に乗っていた60代の女性が心肺停止の状態で救出され、搬送先の病院で死亡が確認されています。排水ポンプは8月28日に緊急点検を済ませていて、当日も正常に動いていました。いわき市にレベル4の大雨危険警報が出たのは、その24分あとの8時11分です。
[災害] この記事の要点
2026年9月7日 発表
- いわき市で通勤・送迎に地下道(アンダーパス)を使っている人
- 大雨の朝に車を出すかどうか決めなければならない人
- 自分の街のアンダーパスがどこにあるか知らない人
米田アンダーボックスは、どういう場所なのか
福島県が公表している冠水危険箇所の一覧に、現場の素性がそのまま載っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 米田(こもだ)アンダーボックス |
| 県の一覧の番号 | 8-22(いわき市21か所のうち6番目) |
| 所在 | いわき市鹿島町米田字手倉 |
| 路線名 | 市道沼田・馬場線 |
| くぐっている道 | 県道江名・常磐線 |
| 管理者 | いわき市 |
| 最寄りのアメダス | 小名浜(直線で約5.6km) |
県道の下をくぐる市道、というのがこの場所の立場です。県が危ないと数えた一覧に名前があり、住所も路線名も書かれていて、排水ポンプも付いています。
そのポンプが、今回いちばん重い部分です。先月、千葉市中央区の国道16号 村田町アンダーパスで男性が亡くなったとき、動かなかったのは停電した排水ポンプでした。今回はそこが違います。点検済みのポンプが動いていて、それでも水はたまりました。
ポンプが壊れていたんでしょう?
ポンプの能力を超えたのかどうかは、まだ発表されていません。市が説明しているのは「8月28日に点検済み」「当日も正常」までです。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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レベル4の大雨危険警報が出たのは、通報の24分あとでした
気象庁が福島地方気象台から出した警報の電文を、いわき市の分だけ抜き出して時刻順に並べました。雨量は現場からいちばん近い小名浜アメダス(直線で約5.6km)の1時間雨量です。

| 時刻 | いわき市に出ていたもの |
|---|---|
| 6日 17時00分 | いわき市が高齢者等避難を発令 |
| 7日 5時12分 | レベル2 大雨注意報(継続) |
| 7日 5時35分 | レベル3 大雨警報を発表 |
| 7日 7時29分 | レベル4 土砂災害危険警報を発表 |
| 7日 7時47分ごろ | 米田アンダーボックスから119番通報 |
| 7日 8時11分 | レベル4 大雨危険警報を発表 |
雨そのものは、朝いちばんに強まっていました。福島地方気象台は5時46分の気象情報で「7日昼過ぎにかけて、線状降水帯が発生して大雨災害発生の危険度が急激に高まる可能性があります」と書いています。事故のおよそ2時間前です。
ここまでが事実です。ここから先は私の見方になります。レベル4を引き金にして道路を閉める仕組みは、レベル4が出る前に起きた冠水を止められません。いわきで大雨危険警報が出たのは8時11分、通報は7時47分でした。私は、ここが今回いちばん大きい設計の穴だと考えます。誰かの対応が遅かったという話ではなく、引き金をどこに置くかの問題です。

降っていたのは1時間32ミリでした
小名浜アメダスの1時間雨量は、7日7時ちょうどで32.0ミリ、いちばん強かった7時10分でも34.5ミリです。通報のあった7時40分台は27.5ミリでした。気象庁が「非常に激しい雨」と呼ぶのは1時間50ミリからなので、そこにも届いていません。
ただし、降り方は急でした。小名浜の24時間雨量は6時に59.5ミリ、7時40分には109.5ミリ。1時間40分で50ミリ積み増しています。ちょうど通勤で車が動き出す時間帯です。
市内でいちばん降ったのは、現場から16kmほど離れた山田(いわき市山田町)で、24時間196.5ミリ(7日14時40分現在)。福島県内で最も多い値でした。同じいわき市でも、鹿島町とはこれだけ差が出ます。その日いちばん降った場所と、人が亡くなった場所は同じではありません。アンダーパスは、周りより低いというだけで水が集まります。
そんなに降っていたようには見えないのですが。
そうなんです。1時間30ミリ前後は、大雨の日なら珍しくありません。地下道が危ないのは、雨の強さではなく地形だからです。
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