🗨️「「入道雲に笠雲」と話題になった大阪の空、あの帽子みたいな雲は結局なんという名前なの?」
撮影した本人が翌日、自分の投稿に「どうやら名前が違うみたいです」と返信を書き足しています。笠雲は山の上にできる雲で、入道雲の頭にかぶさるのは頭巾雲(ずきんぐも)。WMO(世界気象機関)の国際雲図帳では pileus(ピレウス)と呼ばれる付属雲です。頭巾雲が見えるのは、下の積乱雲がまだ上へ伸びている最中だという意味になります。ただし気象庁の過去の気象データで確認したところ、この日2026年8月20日の大阪府内6地点は24時間すべて降水量0.0ミリでした。
[話題] この記事の要点
2026年9月3日 発表
- 大阪府内で夕方の空を撮っている人、同じような雲を見て名前を調べている人
- 8月から9月にかけて、屋外の部活動・作業・野外イベントに関わる人
- 子どもの登下校や送り迎えの時間に、空模様を気にしている保護者
大阪・豊中の夕空に現れた「帽子をかぶった入道雲」
2026年8月20日18時28分ごろ、大阪府豊中市。その日の枚方は15時に35.1度、豊中も34.6度まで上がった猛暑日の、日が傾きはじめた時間でした。北東の空——箕面・高槻方面とみられる方角に、夕日でオレンジに染まった巨大な入道雲が立っていました。
そして雲のてっぺんに、もう一枚。輪郭のなめらかな、平たい雲が帽子のようにかぶさっていたのです。
この光景をThreads(スレッズ)に投稿したのが、@hanakujira(はなくじら)さんでした。添えられた言葉は「入道雲に笠雲」の6文字だけです。
投稿には「すごい ラピュタ」「暑すぎて帽子」「かき氷のオレンジ味みたいですね〜」といった返信が並びました。同じ空を見ていた人もいます。「家からも見えました!初めて見ました」「多分同じ雲見てました」。投稿者は返信でこう書いています。「同じ時間に同じ空見上げるって素敵っすよね。」
この写真は2026年9月3日、LIMO(リモ)がYahoo!ニュースに配信した記事で紹介され、撮影から2週間たって広く知られることになりました。
投稿した本人が翌日「名前が違うみたいです」と書き足していた
ここが、この写真のいちばん面白いところです。
投稿の翌日、8月21日。@hanakujiraさん本人が、自分の投稿にこう返信を書き足しています。
どうやら名前が違うみたいです。雲がどこ(何の上)にできるかで違うようですね。
@hanakujira さん本人の返信(2026年8月21日・Threads)
笠雲は「山の上」にできるもので、今回のものは頭巾雲——発達中の入道雲の上に、帽子をかぶせるように現れる雲だ、という趣旨の説明が続きます。自分でつけた呼び名を、自分で調べ直して訂正しているわけです。
私は、この投稿でいちばん価値があるのは写真そのものではなく、この一言だと見ています。SNSで広まった呼び名は、たいてい最初についたものが残ります。訂正は元の投稿ほど拡散しないからです。実際、配信された記事のタイトルでは「帽子雲」という表現が使われ、本文では「笠雲」のままでした。
笠雲と頭巾雲は、できる場所が違う

ふたつの雲は、名前が似ているだけでできる場所がまったく違います。
- 笠雲…山を越える気流が波を作り、その波の上昇部分にできる。富士山にかかるものが有名で、山が無いところにはできない
- 頭巾雲…発達中の積雲・積乱雲の頭が、上にある湿った薄い層を押し上げてできる。山とは関係がない
頭巾雲は、WMO(世界気象機関)の国際雲図帳で pileus(ピレウス)という学術名がついている雲です。同図帳は「積雲状の雲の上部に、帽子や頭巾のような形でかかる、水平方向の広がりが小さい付属雲」と説明しています。ラテン語のピレウスは、そのまま「帽子」を指す言葉です。SNSで「帽子みたい」と呼ばれたものが、気象の世界でも帽子と名づけられていたことになります。
気象庁のサイトで「頭巾雲」を調べれば載っていますか?
それが、載っていないんです。気象庁のページや「気象観測の手引き」を確認しましたが、頭巾雲を解説した項目は見つかりませんでした。かなとこ雲は気象衛星センターの資料に出てきます。だからこの記事も「気象庁が頭巾雲と定義している」とは書きません。根拠はWMOの国際雲図帳と、撮影した本人の訂正です。
入道雲=積乱雲。高さ10キロ、暴れるのは30分〜1時間
入道雲は、気象の言葉では積乱雲です。気象庁の解説はこうなっています。
- 雲の高さは10キロメートルを超え、成層圏まで達することもある
- 横方向の広がりは数キロ〜十数キロメートル
- ひとつの積乱雲がもたらす現象は、30分〜1時間程度で局地的な範囲に限られる
高さ10キロというのは、旅客機が飛ぶ高度とほぼ同じです。豊中から見えていた雲は、水平方向にはせいぜい十数キロ——大阪市内から箕面までの距離ほどの幅しかありません。だから、あの雲の下で降っていても、撮っている場所は晴れているということが起きます。
あの日の大阪に、雨は1ミリも降っていない
では、この雲は雨を降らせたのでしょうか。気象庁の過去の気象データで、2026年8月20日の大阪府内のアメダス6地点を1時間ごとに引き直しました。
| 地点 | 8月20日の日降水量 | 15時の気温 |
|---|---|---|
| 豊中 | 0.0ミリ | 34.6度 |
| 箕面 | 0.0ミリ | 観測なし |
| 茨木 | 0.0ミリ | 観測なし |
| 能勢 | 0.0ミリ | 32.9度 |
| 枚方 | 0.0ミリ | 35.1度 |
| 大阪 | 0.0ミリ | 34.0度 |
6地点とも、24時間すべて0.0ミリ。大阪管区気象台の18時の観測では雲量が10分の9、視程は35キロメートルありました。空の9割が雲でおおわれていて、それでも35キロ先まで見通せる——写真のとおりの、よく晴れた夕方だったわけです。
つまりこの雲は、少なくとも大阪府内には雨を落としませんでした。頭巾雲は「これから激しくなる」と決まった合図ではないのです。ここを取り違えると、逆にオオカミ少年になります。
黒い雲・雷の音・冷たい風の3つが来たら、写真をやめる

では何を見て判断すればいいのか。気象庁は「積乱雲が近づくサイン」を3つだけ挙げています。
- 真っ黒い雲が近づいてきた
- 雷の音が聞こえてきた
- 急に冷たい風が吹いてきた
気象庁はこの3つのあとに「まもなく、激しい雨と雷がやってきます。竜巻などの激しい突風が起きる恐れもあります」と書いています。遠くの入道雲がきれいかどうかではなく、頭の上の空気が変わったかどうかが分かれ目です。
写真を撮っている途中で、どこまでなら粘っていいですか?
雷の音が一度でも聞こえたら、そこで終わりにしてください。音が届く距離にいる時点で、次の一発が自分の場所に落ちる可能性があります。木の下に入るのも避けて、建物か車の中へ移動します。

大阪でこれが起きやすい時期も、気象庁の平年値(1991〜2020年、大阪)ではっきりしています。雷を観測した日数は年間17.3日。月別では8月が4.3日で最多、次いで7月3.1日、9月2.9日です。7〜9月の3か月で10.3日——年間の6割が夏から初秋に集まっています。
入道雲が立つ季節は、そのまま雷の季節でもあります。
大阪で空が急変したときに開くページ
3つのサインのどれかが来たら、次のページで自分のいる場所を確かめられます。どれも気象庁が無料で公開しているものです。
- 雨雲の動き・雷活動度・竜巻発生確度(ナウキャスト)…5分ごとに更新され、1時間先まで動きが見えます。雷のタブに切り替えると、落雷の危険がある範囲が色で出ます
- 警報・注意報…大阪府の市町村単位で今出ている警報を確認できます
- キキクル(危険度分布)…浸水・土砂・洪水の危険度を地図の色で表示します
夕方の空が急に暗くなる仕組みそのものは、別の記事で書きました。豊中を含む北摂で実際に何が起きたかも、8月末の記録が残っています。
まとめ
- 2026年8月20日18時28分ごろ、大阪府豊中市から北東の空に、帽子をかぶったような巨大な入道雲が撮影された
- 投稿では「入道雲に笠雲」と書かれたが、投稿者本人が翌日「名前が違うみたいです」と訂正し、頭巾雲だと書き足している
- 笠雲は山にかかる雲。頭巾雲はWMOの国際雲図帳で pileus と呼ばれ、積乱雲の頭にかかる付属雲を指す
- ただしこの日、大阪府内6地点の降水量はすべて0.0ミリ。頭巾雲が見えたから雨、ではない
- 行動を変える合図は3つだけ。真っ黒い雲・雷の音・急に冷たい風。ひとつでも来たら撮影をやめて建物へ入る
きれいな空を見上げて写真を撮るのは、夏のいちばん気持ちのいい時間です。@hanakujiraさんが翌日に名前を調べ直したように、見上げたあとに一歩だけ踏み込むと、その空はもう少し違って見えます。
生活・仕事にどう効くか
- その日の大阪(気象庁の過去の気象データ):2026年8月20日の大阪府内アメダス6地点(豊中・箕面・茨木・能勢・枚方・大阪)は、24時間すべて降水量0.0ミリ。15時の気温は枚方35.1度、豊中34.6度、大阪34.0度。大阪管区気象台の18時の観測は雲量10分の9、視程35キロメートル。
- 呼び名が3通りに割れた:撮影者は投稿時「笠雲」、翌日の返信で「頭巾雲」に訂正。配信記事のタイトルでは「帽子雲」という表現が使われた。笠雲は山を越える気流でできる雲で、積乱雲の頭にかかる雲を指す言葉ではない。
- 大阪で雷が鳴る時期:気象庁の平年値(1991〜2020年、大阪)では雷を観測した日数は年17.3日。8月が4.3日で最多、7月3.1日、9月2.9日と続き、7〜9月の3か月で10.3日=年間の6割を占める。
結局どうすればよいか
- 真っ黒い雲が近づく・雷の音が聞こえる・急に冷たい風が吹く。この3つのどれかが来たら撮影をやめ、建物か車の中へ入る(気象庁「積乱雲が近づくサイン」)
- 屋外の予定がある日は、出かける前に気象庁の「雨雲の動き」で1時間先まで見ておく。雷のタブに切り替えると落雷の危険がある範囲が色で出る
- 空を見上げたその場所の浸水・土砂リスクを、住所から一度だけ確かめておく
公式出典
- @hanakujira さんの投稿「入道雲に笠雲」(Threads・2026年8月20日)+翌21日の本人による訂正の返信(2026年8月20日発表)
- LIMO「大阪の空に浮かんだ巨大な「入道雲」を撮影 上にすっぽりはまった帽子雲に注目集まる」(2026年9月3日発表)
- Yahoo!ニュース(LIMO配信)「夕方の大阪でふと空を見上げると… 巨大な入道雲の上に広がる光景に「ジブリみたい」」(2026年9月3日発表)
- WMO(世界気象機関)International Cloud Atlas「Pileus」(2026年9月3日発表)
- 気象庁「積乱雲って どんな雲?」(2026年9月3日発表)
- 気象庁「急な大雨や雷・竜巻から身を守るために ~積乱雲が近づくサインを見逃さない~」(2026年9月3日発表)
- 気象庁 過去の気象データ検索 2026年8月20日 1時間ごとの値(豊中・箕面・茨木・能勢・枚方・大阪)(2026年8月20日発表)
- 気象庁 過去の気象データ検索 大阪の平年値(年・月ごとの値/1991〜2020年)(2026年9月3日発表)
- 気象庁 雨雲の動き・雷活動度・竜巻発生確度(ナウキャスト)(2026年9月3日発表)
- 気象庁 警報・注意報(2026年9月3日発表)
- 気象庁 キキクル(危険度分布)(2026年9月3日発表)
- 大阪管区気象台 防災教材(急な大雨・雷・竜巻から身を守る)(2026年9月3日発表)
更新履歴
- 2026年9月3日 初版を公開(Threadsの原投稿と本人の訂正返信、気象庁の2026年8月20日アメダス実測値および大阪の平年値にもとづく)
※本記事は2026年9月3日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


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