結論からいうと、「養生テープを貼れば窓は割れない」とは言えません。そう書いているのは、テープを作っている会社そのものです。
ただし「貼るだけ無駄」でもありません。テープが効く場面と、まったく効かない場面が、はっきり分かれているだけです。
この記事でわかること
- ✓ 「意味ない」と「効果あり」で話が食い違う理由
- ✓ テープに期待していい効果と、期待してはいけない効果
- ✓ 飛び散りを50〜60%から1%に落とす方法
- ✓ 賃貸で、今夜のうちにできること
読者
台風が近いのでとりあえず窓にテープを貼りました。これで大丈夫ですよね?
貼った窓の「そば」で寝ないでください。テープは割れるのを防ぐ道具ではないんです。
テープを売っている会社が「安心安全ということではありません」と書いています
20年以上「台風防災テープ」を販売しているダイヤテックス株式会社は、自社の解説の中でこう書いています。
テープを貼ったから安心安全ということではありません
同社はテープの位置づけを「あくまで簡易対策」とし、目的は「二次被害を抑えること」だと明記しています。二次被害というのは、割れた後に起きることです。割れること自体は止められない、というのがメーカーの立場です。
テープを貼るとガラスが強くなる、という説明はどこにもありません。粘着テープは数十グラムの力で剥がれるもので、風速40メートルの風や、飛んできた瓦を受け止める性能は持っていません。
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「意味ない」と「効果あり」で話が食い違うのは、実験した人が違うからです
検索すると、正反対の記事が並びます。整理すると、言っている人の立場できれいに分かれます。
| 言っていること | 誰が言っているか | 根拠にしているもの |
|---|---|---|
| 飛散防止の効果は限定的。強度は上がらない | ガラス施工会社、防災メディア | 粘着力が弱く、破片を受け止めるクッションにならない |
| テープを貼った方が、割れた破片は小さく少ない | ダイヤテックス(テープメーカー) | 自社試験。木枠付きフロート板ガラス(厚み5mm)へ、高さ約170cmから1,040gの鉄球を落下 |
どちらも第三者機関の検証ではありません。片方はガラスを売る側、片方はテープを売る側です。
ただ、この2つは矛盾していません。争点は「割れた後の破片がどうなるか」であって、「割れるのを防げるか」ではないからです。
この記事では、どちらか一方を「デマ」とは書きません。実験の主体が違うという事実だけをお伝えします。第三者の検証結果が出たら書き足します。
両方が一致しているのは「割れるのは防げない」という一点です
立場の違う両者が、そろって同じことを言っている部分があります。テープではガラスの強度は上がらない、という点です。
ここから、テープの正しい使い道が決まります。
| 期待してよいこと | 期待してはいけないこと |
|---|---|
| 割れた後、破片が部屋の奥まで飛びにくくなる(可能性がある) | 窓が割れないようにすること |
| ガラスを片づけるとき、破片がまとまって扱いやすくなる | 飛来物を跳ね返すこと |
| 「割れるかもしれない窓」を家族に意識させる目印になる | 貼った窓のそばにいて安全になること |
いちばん危ないのは、貼ったことで安心して、窓際のベッドでそのまま寝てしまうことです。テープは窓から離れる理由にはなっても、窓のそばにいてよい理由にはなりません。
読者
じゃあ、貼り方でバツ印と格子はどっちがいいんですか?
ガラス施工会社は「碁盤の目のように隙間なく」と説明しています。ただ、それでも割れるのを防ぐ話ではありません。
飛び散りを50〜60%から1%に落とせるのは、ガラスそのものです
ここからは数字がはっきりしている話です。AGC・日本板硝子・セントラル硝子でつくる一般社団法人 板硝子協会は、こう公表しています。
一般のガラスは約50~60%が破片として飛散してしまうのに対して、「防災安全合わせガラス」の飛散率は約1%です。
50〜60%が1%になる、というのはほぼ飛び散らないということです。合わせガラスは2枚のガラスの間に樹脂の膜が挟んであり、割れても膜が破片をつかんだまま離しません。車のフロントガラスと同じ構造です。
板硝子協会は、飛来物の衝突に対しては合わせガラスの導入が「極めて有効」だとしています。テープの効果を数字で示した公的なデータは見つかりませんでしたが、ガラス側の数字はこのとおり出ています。
ただし、台風が近づいてからガラスを入れ替えることはできません。発注から施工まで日数がかかり、台風時は職人も動けません。合わせガラスは「次の台風までに考えること」であって、今夜の手ではありません。
新聞紙・ダンボール・ベニヤ板はどうなのか
「台風 窓 対策」と検索すると、テープの次にこの3つが出てきます。効き方はそれぞれ違います。
| もの | 効き方 |
|---|---|
| ダンボール・プラダン | テープメーカー自身が「テープと組み合わせる」対策として推奨。窓の内側に当てておくと、割れた破片を受け止める壁になる |
| ベニヤ板 | 外側から窓を覆えれば飛来物そのものを止められる。ただし固定できる下地が要るので、賃貸の掃き出し窓では現実的でないことが多い |
| 新聞紙 | 濡らして貼る方法が知られているが、飛来物を止める力はない。乾くと剥がれる |
共通しているのは、外側で止めるものほど強いということです。雨戸やシャッターがあるなら、それがいちばん確実な対策で、費用もかかりません。閉め忘れているお宅が意外とあります。
賃貸で、今夜のうちにできること
穴を開けられない、工事もできない。その条件で効くものだけを並べます。
- ベランダの物を全部室内に入れる。物干し竿、サンダル、植木鉢。自分の家の飛来物は、隣の家と自分の窓の両方を割ります
- 雨戸・シャッターがあれば閉める。無いなら、カーテンを閉めて洗濯ばさみで裾を留める。割れたとき、布が破片を受けます
- 窓際に置いてある物をどける。棚の上のガラス製品は特に
- 寝る場所を窓から遠い部屋に移す。ワンルームなら、頭の向きだけでも窓と反対にする
- テープを貼るなら、片づけを楽にするためと割り切る。碁盤の目に、隙間を詰めて
この5つは全部、今夜のうちに終わります。1〜4はお金もかかりません。
わたしはこう考えます
わたしは、養生テープが「窓を守る道具」として売り買いされている今の状態が、いちばん危ないと考えています。
テープを貼る作業には、30分くらいかかります。その30分をかけた人は、当然「対策した」と思います。そして安心して、窓のある部屋で普段どおりに過ごします。飛来物が来れば、テープごとガラスは割れます。
同じ30分を、ベランダの片づけと寝る場所の移動に使ったほうが、確実に安全です。テープが悪いのではなく、順番が逆になっているのだと思います。貼るなら、上の1〜4を全部終えた後に貼ってください。
風の強さそのものについては、家は風速何メートルまで耐えられる?で、市町村ごとに決まっている数字を調べています。あわせてどうぞ。
よくある質問
養生テープとガムテープ、どちらがいいですか
剥がすことを考えると養生テープです。ガムテープ(布テープ)は粘着剤がガラスに残り、夏場は硬化して取れなくなります。防ぐ効果はどちらも同じで、つまりどちらも割れるのは防げません。
台風が来る前にガラスを合わせガラスに替えられますか
接近中は無理です。採寸・発注・施工でふつう数週間かかります。今回の台風は上の5つでしのぎ、合わせガラスは次のシーズンまでに検討するものと考えてください。
賃貸で飛散防止フィルムを貼ってもいいですか
剥がすときにガラスを傷めることがあるため、貼る前に管理会社に確認してください。退去時の原状回復でもめる原因になります。窓を触らずにできる対策から先に済ませるほうが確実です。
出典
- 一般社団法人 板硝子協会「台風 窓 対策」
https://www.itakyo.or.jp/disaster-safety-glass/pr/index_s_taifuu_taisaku_003.html(飛散率 約50〜60% / 約1%) - ダイヤテックス株式会社「養生テープを貼るガラス飛散対策と効果について」
https://www.diatex.co.jp/column/20240423/(自社試験の条件、「安心安全ということではありません」)
※ 2026年8月25日時点で各公式サイトに掲載されている内容にもとづいています。飛散率は製品や割れ方によって変わります。


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