実家が昭和56年築だと分かって、新耐震だから大丈夫だと思った人へ。新耐震かどうかは、家が完成した年ではなく建築確認を受けた日で決まります。1981年に完成した家でも、確認を受けたのが同年5月なら旧耐震です。
さらにややこしいのは、住宅ローン控除の線が1982年1月1日にあることです。耐震基準の線とは半年ずれていて、しかも見る日付の種類まで違います。中古を買う人が損をするのは、たいていこのズレのところです。
この記事でわかること
- ✓ 新耐震と旧耐震の境目が、どの日付のどこにあるか
- ✓ 住宅ローン控除の判定日が、耐震基準とずれている理由
- ✓ 旧耐震だと値段はどれくらい下がるのか(実際の成約から)
- ✓ 旧耐震のまま控除を使う方法
境目は1本ではなく3本あります
先に全体を出します。よく「昭和56年」とだけ言われますが、実際には性格の違う線が3本あります。

この3本を混ぜて話すから、不動産会社の説明が人によって食い違うように聞こえます。1本ずつ見ていきます。
1本目は1981年6月1日。ただし「建築確認の日」です
国土交通省が運営する相談窓口のよくある質問に、こう書かれています。
昭和56年(1981年)6月1日から施行された耐震基準を<新耐震基準>と呼び、現時点も変わらず適用されています。新耐震基準では、震度6強~7程度の揺れでも家屋が倒壊・崩壊しないことを基準とし、これまでよりも耐震性に関する規定は厳格化されています。
大事なのは「施行された」という言い方です。この日以降に建築確認を受けたかどうかが分かれ目で、いつ完成したかではありません。
読者
登記簿に書いてある築年月では分からないんですか。
分かりません。確認から完成までは半年から1年かかります。1981年築の家には、旧耐震と新耐震が混ざっています。
工事にかかる期間を考えると、1981年6月1日に確認を受けた家が建つのはその年の暮れから翌年です。逆に1981年の春に確認を受けて夏に完成した家は、築年だけ見れば「昭和56年」でも旧耐震です。1981年と1982年に完成した家は、築年だけでは判定できません。

2本目は1982年1月1日。こちらは「建築された日」です
住宅ローン控除の要件です。国税庁のタックスアンサー1211-3は、中古住宅について次のように定めています。
建築後使用されたことのある家屋で次のいずれかに該当すること。(1)昭和57年1月1日以後に建築されたものであること。
耐震基準の線は1981年6月1日で「建築確認」、税制の線は1982年1月1日で「建築された日」。日付も、見るものも違います。役所が意地悪をしているわけではなく、税務署が一軒ずつ建築確認の日付を調べるのは現実的でないため、登記簿で分かる日付に寄せて線を引いたのだと私は理解しています。
読者
じゃあ1981年築だと、控除は使えないんですか。
その1行だけでは使えません。ただ、この続きに逃げ道が書いてあります。
同じ条文の(2)は、1982年1月1日より前に建築された家について、取得の日前2年以内に耐震基準に適合すると証明されたもの(耐震住宅)であればよい、と定めています。つまり証明書を用意すれば、旧耐震の家でも控除の対象になります。
証明書の出どころは、先ほどの国土交通省の窓口が案内しています。耐震基準適合証明書は指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関、建築士事務所に所属する建築士などが発行できます。築年数によっては、自治体が発行する建築台帳記載事項証明書でも証明できるとされています。
証明は取得の日前2年以内である必要があります。買ってから何年も経ってからでは間に合いません。
3本目は2000年。木造だけの線です
阪神・淡路大震災のあとに、木造の基準がもう一段変わりました。林野庁の解説がこうまとめています。
平成7(1995)年に発生した阪神・淡路大震災における被害等を受けて、平成12(2000)年には木造住宅の基礎や接合部の仕様などの基準の明確化が行われました。
同じページには、実際の地震での結果も書かれています。
令和6年能登半島地震においても、平成12年以降の現行基準に基づく木造建築物は倒壊率が1%未満と低くとどまっていたことが報告されています。
倒壊率1%未満。木造の中古を選ぶときに、1981年より2000年のほうを気にしたほうがいい理由がここにあります。制度の話ではなく、実際の地震で起きたことです。
このエリアの相場はいくらですか?
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中古マンションの値段には、境目がありませんでした
では市場は、この境目をどう値付けしているのか。国土交通省が公開している取引価格情報から、中古マンションの築年ごとに1㎡あたりの中央値を出しました。各年1,000件以上の成約が入っています。

1981年築が275,000円、1982年築が293,333円で、動きは+6.7%です。ところが1983年築への動きは+10.1%、1984年築へは+3.2%。境目のところだけ段差ができている、という形にはなっていません。戸建てでも同じで、1981年から1982年は+8.1%ですが、1984年は+13.9%、1987年は+13.3%動いています。
読者
旧耐震だと極端に安く売られている、と聞きましたが。
帯でまとめて比べるとそう見えます。でも1年きざみにすると、境目に段差はありません。
旧耐震(1981年以前)と新耐震(1982〜1999年)を帯でくらべると、マンションの中央値は78.3対100になります。ただしこの差は築年の差そのものです。旧耐震は築45年以上、新耐震の帯は築27年から44年で、比べているのは基準ではなく年齢のほうです。
だから値段から耐震基準を逆算することはできません。安い物件を見て「旧耐震だからだろう」と決めつけると、本当の理由を見落とします。

中古住宅を買うとき、どちら側かを調べる順番
読者
結局、何を見ればいいんでしょう。
登記簿から始めて、足りなければ役所に行きます。3つで足ります。
- 登記事項証明書の新築年月日。1982年1月1日以後なら、住宅ローン控除はこの1行で足ります。証明書も要りません
- 確認済証か検査済証の日付。耐震基準そのものはここで決まります。1981年6月1日以後なら新耐震です。手元になければ、市区町村の建築指導課で建築台帳記載事項証明書を取ります
- 木造なら2000年より前か後か。基礎と接合部の仕様が変わっています。能登半島地震で倒壊率1%未満だったのは、この線より後の建物です
1981年から1982年に完成した家は、1と2で答えが割れることがあります。そのときは税制は1、耐震性は2と割り切ってください。片方だけを見て「うちは新耐震です」と説明すると、買主側の金融機関で話が止まります。
この記事は2026年8月時点の制度で書いています。控除の適用は年ごとに要件が変わるので、確定申告の前に国税庁の最新のタックスアンサーを確認してください。
出典
- 国土交通省 みんな安心住まいサポートセンター「<新耐震基準>を満たす住宅とはどういう意味ですか」 — 施行日と耐震基準適合証明書の発行者
- 国税庁 タックスアンサー No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合 — 昭和57年1月1日以後という要件
- 林野庁 木造住宅の耐震性について — 平成12年の基準明確化と、能登半島地震の倒壊率
- 築年別の㎡単価は、国土交通省 不動産情報ライブラリ 不動産取引価格情報のうち、2023年1〜3月期から2026年1〜3月期に公表された中古マンション(専有20〜150㎡・価格100万円〜3億円)を築年ごとに集計した中央値です。戸建ては住宅地の「宅地(土地と建物)」で敷地50〜400㎡のものを、土地1㎡あたりの総額で集計しました。取引価格情報の築年は完成年であり、建築確認の日付は含まれていません


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