🗨️「また茨城県南部。どうしてこの場所ばかり揺れるの?」
地下で板が3枚重なっている場所だからです。しかも茨城県に確実な活断層は知られていないので、活断層図を見ても揺れやすさは分かりません。
[災害] この記事の要点
気象庁は2026年8月23日、午前2時00分ごろに茨城県南部の深さ68kmでマグニチュード5.9の地震が発生したと発表した。発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で起きた地震(速報)。同じ震源地名で2026年6月16日に起きた地震は深さ50km・フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で、別の面が動いている。
2026年8月23日 発表
- 茨城県南部・千葉県北西部・埼玉県南部で家を買う予定の人
- 東京23区の高層マンションの上のほうに住んでいる人
- 活断層のあるなしで土地を選ぼうとしている人
- 8月23日の地震で家具や食器が動いた人
この記事でわかること
- 茨城県南部の地震は「深さ50km前後」と「深さ70km前後」の2種類があり、動いている境目が違う
- 茨城県に確実な活断層は知られていない。活断層図では説明できないタイプの地震
- 震源から遠い東京23区のほうが、長周期地震動の階級は高かった
先に結論
- 茨城県南部の地下は、陸の板の下に太平洋プレートとフィリピン海プレートが入り込んでいます。板と板の境目が2つあるので、揺れの出どころも2つあります
- 8月23日の地震は深さ68kmで、太平洋プレートとフィリピン海プレートの境目。6月16日の地震は深さ50kmで、フィリピン海プレートと陸の板の境目でした
- 茨城県に確実な活断層は知られていません。活断層図を見ても、この地域の地震の多さは説明できません
- 震源から遠い東京23区のほうが、長周期地震動の階級は高く出ました。関東平野の柔らかい地層が長い揺れを増幅するからです
日曜の午前2時、緊急地震速報で起こされた人が関東の広い範囲にいました。ニュースの震源地の欄には、また「茨城県南部」と出ています。
「茨城県南部って、去年もこの前も見た気がする」。その感覚は正しくて、地震調査研究推進本部は茨城県の南西部を、関東地方の中でもっとも地震活動が活発な場所だと書いています。マグニチュード5〜6の地震が数年に1回の割合で起きている場所です。
では、なぜここばかりなのか。答えは深さの数字に出ています。
住まいのリスクに対する備え
土地の履歴やリスクを知ったら、次は「起きたときにどうするか」です。最低限そろえておくと動けるものを挙げます。
一から集めると抜けが出ます。まずセットで用意して、家族の人数分と常備薬だけ足すのが早いです。
断水で最初に困るのがトイレです。備蓄で見落とされやすい一方、代用が効きません。
停電時は懐中電灯より、部屋全体を照らせるランタンの方が使えます。電池でも充電でも点くものだと、どちらが尽きても止まりません。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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8月23日の地震は、深さ68kmで起きました
気象庁が2026年8月23日午前4時に出した報道発表の数値です。
| 項目 | 2026年8月23日の地震 |
|---|---|
| 発生時刻 | 8月23日 2時00分 |
| 震源 | 茨城県南部 |
| 深さ | 68km(暫定値。速報値の約70kmから更新) |
| 規模 | マグニチュード5.9(暫定値) |
| 発震機構 | 東西方向に圧力軸を持つ逆断層型、太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界(速報) |
| 最大震度 | 5弱(茨城・埼玉・千葉・東京の合計17市区町村) |
| 長周期地震動 | 階級2(埼玉県南部・千葉県北西部・東京都23区) |
| 津波 | 心配なし |
深さ68kmという数字がこの記事の入り口です。私たちが「直下型」と呼んで怖がる地震は、深さ10kmから20kmほどの浅いところで起きます。今回はその3倍から6倍ぶん深い場所で起きた地震でした。
6月の地震と今回は、ぶつかっている板が違います
ここが、報道ではまず出てこないところです。2か月前の2026年6月16日にも「茨城県南部」を震源とする震度5弱の地震がありました。同じ震源地名なので同じ場所の続きに見えますが、気象庁の発表を並べると別物だと分かります。
| 2026年6月16日 | 2026年8月23日 | |
|---|---|---|
| 深さ | 50km | 68km |
| 規模 | M5.5 | M5.9 |
| 動いた境目 | フィリピン海プレートと陸のプレートの境界 | 太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界 |
| 圧力軸の向き | 北北西―南南東 | 東西 |
| 震度5弱の市区町村 | 群馬・埼玉の5市町 | 茨城・埼玉・千葉・東京の17市区町村 |
| 長周期地震動 | 階級1 | 階級2 |
関東地方の地下は、陸のプレートの下に南からフィリピン海プレートが入り込み、そのさらに下に東から太平洋プレートが沈み込んでいます。板が3枚重なっているので、こすれ合う面は2つできます。6月は上の面、8月は下の面が動きました。
地震調査研究推進本部も、県南西部では深さ30〜50kmと深さ50〜70kmの2つの帯で定常的に地震活動が活発だと書いています。「茨城県南部の地震」はひとくくりにできる現象ではなく、上下2階建てになっているわけです。
茨城県に確実な活断層は知られていません
家を探すとき、活断層の地図を開いて「うちの近くには線が引かれていないから大丈夫」と確認した人は多いと思います。ところがこの地域では、その確認がほとんど役に立ちません。
地震調査研究推進本部の茨城県のページには、県内で確実に活断層であるとされるものは知られていない、とはっきり書かれています。活断層が知られていない県が、関東でもっとも地震活動の活発な場所になっているという状態です。
矛盾ではありません。活断層は陸のプレートの浅いところにできた割れ目のことで、深さ50kmから70kmで沈み込む板が起こす地震は、そもそも活断層とは別の仕組みだからです。地図に線が無いことは、揺れないことを意味しません。
1895年からの被害地震5つを並べると見えるもの
地震調査研究推進本部が挙げている、茨城県に被害をもたらした主な地震です。
| 年 | 地震 | 規模 | 深さ | 被害 |
|---|---|---|---|---|
| 1895年 | 霞ケ浦付近 | M7.2 | — | 死者4名 |
| 1921年 | 竜ケ崎付近 | M7.0 | — | — |
| 1930年 | 那珂川下流域 | M6.5 | 54km | — |
| 1983年 | 茨城県南部 | M6.0 | 72km | — |
| 2005年 | 茨城県南部 | M5.3 | 46km | — |
今回のM5.9・深さ68kmは、1983年のM6.0・深さ72kmとほぼ同じ条件です。43年ぶりに、同じ深さの同じ面が同じくらいの規模で動いたことになります。
そして深さの列を上から見ていくと、54km、72km、46kmと並びます。この地域の被害地震は、浅い活断層ではなく深い場所で起き続けてきました。
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震源は茨城なのに、東京23区の高層階が揺れました
今回の発表でもう1つ引っかかるのが、長周期地震動階級2を観測したのが埼玉県南部・千葉県北西部・東京都23区だったことです。震源のある茨城県ではありません。
長周期地震動は、周期の長いゆっくりした揺れのことです。気象庁は、短い周期の波に比べて減衰しにくいため遠くまで伝わると説明しています。さらに、関東平野のような大きな平野は柔らかい堆積層で覆われていて、堆積層の中で長周期の波は増幅されます。震源から離れるほど弱まる、という感覚が通じません。
気象庁が挙げている極端な例が、東北地方太平洋沖地震のときの大阪市です。大阪市の高層ビルには内装材などが破損するほど揺れたものがあったのに、地上で観測された震度は3でした。
階級2がどれくらいかは、気象庁の長周期地震動階級関連解説表に書かれています。人の体感・行動は「室内で大きな揺れを感じ、物につかまりたいと感じる。物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を感じる。」、室内の状況は「キャスター付き什器がわずかに動く。棚にある食器類、書棚の本が落ちることがある。」です。
午前2時、23区の高層マンションの上のほうでゆっくり長く揺すられ、棚の本が落ちる音で目が覚めた人がいたはずです。地上の震度だけを見ていると、この揺れは記録に残りません。
もう1つ、気象庁は発表する階級について注記をつけています。階級は地表や低層建物の1階に置いた地震計から推計したもので、建物の頂部の揺れ方は発表した階級より大きくなる場合もあるとしています。上の階ほど、発表の数字より揺れていると考えるほうが実態に近いです。
この地域で家を選ぶとき、どこを見ればいいか
私は、この地域の住まい選びで活断層図を判断材料にするのは向いていないと考えています。根拠は上に書いたとおりで、県内に確実な活断層が知られていないのに地震活動は関東で最も活発、という公的な記述があるからです。線が無いことを安全の証拠にすると、判断を間違えます。
代わりに見るものは2つあります。1つは自治体が公表している揺れやすさのマップで、これは活断層ではなく地盤の柔らかさを表したものです。もう1つは土地の成り立ちで、川沿いの低いところか、台地の上かで揺れ方が変わります。
高層マンションの上層階を選ぶ場合は、地上の震度とは別に長周期地震動の階級を見る習慣をつけると実感が合います。8月23日は階級2、6月16日は階級1でした。同じ「茨城県南部・震度5弱」でも、高層階では1段違う揺れだったということです。
気象庁は、今後2〜3日程度は規模の大きな地震が発生することが多いとして、最大震度5弱程度の地震に注意するよう発表しています。棚の上の食器と本を下ろし、キャスター付きの家具にロックをかけるところまでは、今日のうちに終わります。
生活・仕事にどう効くか
- 土地さがし:活断層の有無で危険度を見分けようとすると、この地域では判断を誤ります。茨城県に確実な活断層は知られていないのに、地震調査研究推進本部は県南西部を関東地方でもっとも地震活動が活発な場所としています。
- 高層マンションの上層階:8月23日は埼玉県南部・千葉県北西部・東京都23区で長周期地震動階級2。気象庁の解説表では、棚の食器類や書棚の本が落ちることがある段階です。6月16日の地震は階級1だったので、同じ震度5弱でも高層階の揺れは1段上がりました。
- この先2〜3日の予定:気象庁は今後2〜3日程度は規模の大きな地震が発生することが多いとして、最大震度5弱程度の地震に注意するよう発表しています。揺れの強かった地域では落石や崖崩れが起こりやすくなっている可能性があるとも記しています。
結局どうすればよいか
- 自分の市区町村で観測された震度と長周期地震動階級を、気象庁の観測情報で確認する
- キャスター付きの家具はロックをかけ、棚の上の食器・本を先に下ろす
- 土地を見るときは活断層図ではなく、自治体が出している揺れやすさマップと地形の成り立ちで比べる
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公式出典
- 気象庁 報道発表「令和8年8月23日02時00分頃の茨城県南部の地震について」(2026年8月23日発表)
- 気象庁 報道発表「令和8年6月16日19時46分頃の茨城県南部の地震について」(2026年6月16日発表)
- 地震調査研究推進本部「茨城県の地震活動の特徴」(2026年8月23日発表)
- 気象庁「長周期地震動階級および長周期地震動階級関連解説表について」(2026年8月23日発表)
- 気象庁「長周期地震動の特徴」(2026年8月23日発表)
更新履歴
- 2026年8月23日 初版を公開
※本記事は2026年8月23日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


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