高知県四万十市(しまんと)は、国が大雨で冠水のおそれがあるとして挙げる「道路冠水注意箇所」(高知県で32か所)にも、県の「高知県内の冠水マップ」(26か所)にも、1か所も載っていません(2026年9月27日に当サイトで数えた値)。それでも2014年6月5日、具同(ぐどう)と楠島(くすしま)では国道56号が冠水で全面通行止めになり、具同では0時5分から19時30分まで止まりました。
国・県・市の「相ノ沢川総合内水対策計画」(相ノ沢川=あいのさわがわ)は、このとき具同・楠島で起きた浸水を「内水」によるものとしています。
この記事でわかること
- ✓ 具同・楠島の国道56号は、排水施設ができた後の2023年6月と2024年8月の大雨で通行止めを避けられた、と国・県・市が発表しています
- ✓ 中心市街地は市が2026年3月に出した内水の地図で見られ、10年に1度程度の雨で0.5メートル以上の色が最も広いのは不破(ふば)排水区です(当サイトが図から読み取った順位)
- ✓ 岩田(いわた)の国道441号は、岩田川の洪水で「道路冠水や浸水被害が度々発生」と市が答えています
雨の日に「いま」を見るページ
- 国道・県道の通行止め:国土交通省「道路情報提供システム」。市道の通行止めは市(0880-34-1116。西土佐は総合支所 0880-52-1114)
- 川の水位とカメラ:国土交通省「川の防災情報」(四万十川・中筋川・後川)
- 浸水センサー:国土交通省「浸水センサ表示システム」。市内は不破・安並(やすなみ)・蕨岡(わらびおか)の5か所に11個(2026年9月27日に当サイトで数えた値)
- 市の放送:防災行政無線は0880-34-7800で聞き直せます(四万十市ホームページ「四万十市の防災情報伝達手段」)
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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国の一覧も、県の冠水マップも0か所
県の冠水マップは「車道部がアンダーパス構造」の所をまとめたもので、四万十市の地名はありません。一覧に載っていないことは、冠水しないことを意味しません。
2026年6月1〜3日の台風6号について、市長は6月議会で「岩田地区・安並地区・蕨岡地区等では、道路が冠水」したと報告しています。アメダス中村(四万十市入田=にゅうた)の6月2日の雨は277.0ミリでした。観測所1か所の値で、この3地区に降った量ではありません。

地図の記号と同じです
A 具同(国道56号・市道具同楠島線)
2014年6月5日、国道56号が全面通行止め(0時5分〜19時30分、その後20時45分まで片側交互通行)
市道具同楠島線のヤンマ橋付近は、市が2028年度の工事着手を目指すと答弁(位置は地図に置いていません)
C 岩田(国道441号・岩田川)
岩田川の洪水で「国道441号の道路冠水や浸水被害が度々発生」(市の答弁・2024年6月)
2026年6月の台風6号で道路が冠水(市長の報告)
1〜5 国の浸水センサー
不破に2か所5個、安並に2か所3個、蕨岡に1か所3個。4は中央大学研究開発機構、ほかは四国地方整備局のもの
センサーのある所で冠水したかどうかは分かりません
1をGoogleマップで開く2をGoogleマップで開く3をGoogleマップで開く4をGoogleマップで開く5をGoogleマップで開く
地区の代表点はOpenStreetMapの位置で、冠水した地点そのものではありません。センサーの位置は2026年9月27日に取得した国の浸水センサ表示システムの座標で、大字は国土地理院の逆ジオコーダによります。
具同・楠島の国道56号 2014年6月は18〜19時間あまり止まった
2014年6月4〜5日の梅雨前線の雨で、楠島雨量観測所は24時間468ミリ(観測史上最大)を記録しました。樋門を閉めていた6月4日12時からの24時間に、同じ楠島雨量観測所で409ミリを観測し、この間の強い雨が相ノ沢川と楠島川の流域にたまった、と計画は分析しています。
内水による浸水は約105ヘクタール、床上71戸・床下25戸(事業所を含む)。国道56号は具同で6月5日0時5分から19時30分まで、楠島で18時30分まで全面通行止めでした。

読者
樋門を閉めると、どうして水がたまるんですか?
中村河川国道事務所の説明では、本川の水位が支川より高くなると、逆流を防ぐために排水門などのゲートを閉めます。すると支川の水は本川へ出せず、住まいのある堤防の内側であふれます。これが内水氾濫です。
2023年と2024年は国道56号の通行止めを避けた
国・県・市は2016年8月の計画にもとづき、排水樋門(国)・放水路(県)・排水機場(市)を2023年に完成させました。

2023年6月の梅雨前線の大雨(中筋川上流域で累計370ミリ)では27ヘクタールが浸水しましたが、施設がなければ64ヘクタールと推定され、国道56号の冠水による通行止めは避けられたと考えられる、と3者は発表しました。2024年8月の台風10号(同477ミリ)では浸水を防ぎ、通行止めも避けられたとしています(どちらも速報値)。
ただ、計画の目標は2014年6月の豪雨による家屋の床上浸水をなくすことで、住民から出た「道路冠水の解消」は目標に入っていません。計画は、道路冠水の軽減や通行止め時間の短縮にも「寄与するものと考えている」と書いています。
具同の市道具同楠島線(ヤンマ橋付近)の冠水は、主な原因を道路側溝と排水先の河川の排水能力と市は推察し、2028年度の工事着手を目指しています(2026年3月の答弁)。
具同・楠島の一部では、2024年7月に施行された「四万十市水害に強い土地利用条例」により、1,000平方メートル以上の盛土や開発に届け出が要ります。区域は市の建設課(0880-34-1116)に確かめてください。
\住所だけ・1分で公的データを確認できます/
土砂災害警戒区域・洪水の浸水想定・地盤の揺れやすさを公的データでまとめて出します(内水・道路の冠水は出ません)
中心市街地は、市の内水の地図(2026年3月)で見る
市は2026年3月、公共下水道の区域(中心市街地)の「四万十市内水浸水想定区域図」を公表しました。市は内水氾濫を、河川に雨水を出せず「まちなかが冠水すること」と説明しています。
図は5種類で、最大の想定は1時間160ミリ(おおむね1000年に1回)。10年に1回程度の雨(1時間最大85.3ミリ、川の水位の上昇も考えた条件)の図で、0.5メートル以上の色が最も広く付くのは不破排水区で、次が百笑(どうめき)排水区でした(2026年9月27日に当サイトが図の色の面積を数えた順位)。
2018年3月の市の洪水ハザードマップも、四万十川・後川・中筋川の浸水想定は「内水によるはん濫は考慮していません」と書いています。具同・楠島は市の内水の図の7つの排水区に入っていないので、中村河川国道事務所の内外水統合型の水害リスクマップ(2025年5月、水防法に基づく図ではありません)で、10〜100年に1回の雨ごとの色を見てください。
読者
内水の地図で色が付いていない所なら、冠水しませんか?
市は、想定を超える雨では区域の外でも浸水することがあり、水深も実際と違うことがある、と書いています。
岩田の国道441号 岩田川の洪水で「度々」冠水
市は2024年6月の議会で「岩田川流域は、集中豪雨や台風時の大雨を原因とする洪水の影響によりまして、国道441号の道路冠水や浸水被害が度々発生」と答えています。
県の「渡川水系岩田川河川整備計画」(2024年3月)は、岩田川は後川からの背水の影響を受けやすいと書き、2016年9月の台風16号では四万十市一帯で「溢水・内水氾濫」が起き、岩田川で浸水が概ね120ヘクタール、床上39戸・床下24戸だったとしています(川からあふれた分と内水の分は分けて書かれていません)。2014年8月の洪水の写真には「国道441号も浸水」と書き込まれています。
計画は後川合流点から岩田までの1.35キロの堤防かさ上げで、市の答弁では堤防を約3.5メートル上げ、その上に国道を約1.2キロ移す計画です。2024年6月の時点で市は、「県の予算状況にもよりますが」「順調にいけば」2026年度に用地買収に入る予定と聞いている、と答えていました。
「四万十川 冠水」 市の資料に出てくる沈下橋と川沿いの道
検索では「四万十川 冠水」(候補の表示は「四万十 川 冠水」)も出てきます。何を指しているかは分かりませんが、市の資料と答弁には、四万十川の増水による次の2つが出てきます。
- 沈下橋:市は「増水時に川に沈んでしまうように設計された欄干のない橋」と説明し、市道手洗川(たらいがわ)勝間線を「沈下橋の冠水時の代替えの路線」と答えています(2020年6月)
- 川沿いの道:大川筋地区で道路の冠水が最も早いのは川登(かわのぼり)大橋下の3差路で、経験上、川登観測所の水位が約11.3メートルに達するころに始まる、と市は答えています(2015年9月)
「四万十市 津波浸水区域」の候補は南海トラフ地震の津波の地図で、大雨の冠水とは別です(四万十市ホームページ「四万十市津波避難マップ」)。
\家の住所が川の洪水の区域に入るか見る/
洪水と土砂の区域に入るかを出します(内水・道路の冠水は出ません。岩田川など県が管理する川の洪水浸水想定区域は2023〜2025年に公表されたもので、ツールのデータに入っているかは確かめていません)
ほかの市はどうなっているか
- 道路冠水マップ どこで見られるの?(全国の一覧と、市町ごとの記事のまとめ)
- 高知市 冠水 どこが危ないの? 国の資料は空欄、県のページに全部載っていました
- 黒潮町 冠水/どこが危ない(東隣の町)
公式出典
- 国土交通省 四国地方整備局「道路冠水注意箇所」高知県の一覧(32か所。2026年9月27日に当サイトで数えた値)/高知県「高知県内の冠水マップ」(26か所。同)
- 四万十市・国土交通省四国地方整備局・高知県「相ノ沢川総合内水対策計画」(2016年8月)/四万十市ホームページ「相ノ沢川総合内水対策計画について」(2024年2月20日更新)
- 中村河川国道事務所・高知県河川課・四万十市「相ノ沢川総合内水対策事業が初めて効果を発揮」(2023年6月8日)/「相ノ沢川総合内水対策事業が浸水被害を防止」(2024年9月6日)
- 四万十市ホームページ「四万十市水害に強い土地利用条例について」(2024年7月1日施行)
- 四万十市ホームページ「四万十市内水浸水想定区域図について」(2026年3月28日更新)/四万十市ホームページ「四万十市総合(洪水・土砂・津波)ハザードマップ」(2018年3月作成)
- 中村河川国道事務所「渡川水系の内水と外水のリスクを統合した多段階浸水想定図と水害リスクマップを作成しました」(2025年5月30日)/多段階浸水想定図・水害リスクマップのページ
- 高知県「渡川水系岩田川河川整備計画」(2024年3月・河川整備基本方針・整備計画)/高知県「想定最大規模降雨における洪水浸水想定区域図等の公表」
- 四万十市議会 会議録検索システム(2015年9月・2020年6月・2023年6月・2024年6月・2025年9月・2026年3月・6月の答弁と報告)
- 四万十市ホームページ「四万十川の沈下橋について」/四万十市ホームページ「四万十市津波避難マップ」/四万十市ホームページ「四万十市の防災情報伝達手段」/四万十市ホームページ「道路交通規制情報」/四万十市ホームページ(トップページ)
- 国土交通省「浸水センサ表示システム」(四万十市の設置点を2026年9月27日に当サイトで数えた値)/国土交通省「道路情報提供システム」/国土交通省「川の防災情報」
- 気象庁「過去の気象データ」アメダス中村(日降水量の順位と時別値。観測所の所在地は気象庁「地域気象観測所一覧」)
- 国土地理院 逆ジオコーダ・地理院タイル(地図)/地区の代表点・国道の道筋:OpenStreetMap(© OpenStreetMap contributors)
この記事の数値は公表資料と会議録を集計したものです(2026年9月27日取得)。避難や通行の判断は、必ず四万十市と高知県、国の最新の発表を確認してください。
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