国が「ここは道路が冠水しやすい」と名前を出している場所は、大分県内に32か所あります。そのうち大分市が8か所です。
ところが大分市は、自分でも冠水しやすい場所の一覧を出しています。そちらを数えると16か所。ちょうど倍でした。
両方を路線名で突き合わせると、国の8か所は市の16か所にすべて入っていました。つまり市のほうが8か所多い。その8か所が、どこなのかという話です。
この記事でわかること
- ✓ 国の道路冠水注意箇所は大分県32か所、うち大分市は8か所
- ✓ 大分市自身が出している道路冠水予想箇所は16か所で、国の8か所を全部含む
- ✓ 市だけに載る8か所には、広域農道が2本ある
箇所数は国土交通省 九州地方整備局「道路冠水注意箇所リスト【大分県】」と、大分市「局地的豪雨道路冠水予想箇所一覧」をそれぞれ1件ずつ数えたものです。国のリストは表の最後に中身が全部空の行が1つ入っているので、行数で数えると33になります。標高は住所を国土地理院の標高データで引いた参考値で、冠水地点そのものの標高ではありません。
県内でいちばん多いのは、大分市ではなく佐伯市

| 市 | 箇所数 |
|---|---|
| 佐伯市 | 10 |
| 大分市 | 8 |
| 杵築市 | 4 |
| 日田市 | 2 |
| 竹田市 | 2 |
| 豊後大野市 | 2 |
| 別府市・臼杵市・津久見市・宇佐市 | 各1 |
10市で32か所。県庁所在地の大分市は2位です。佐伯市の10か所のうち6か所は国道10号ぞいで、この6か所だけは場所の欄が「大分県佐伯市弥生大字大坂本」のように住所そのものになっています。国が直接管理する区間なので書き方が違うのです。そして大分市の8か所は、種別がすべて市道でした。
冠水した道で車が動けなくなったときに要るもの
JAFのテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほぼ同じでした。つまり止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。車に置いておくものから挙げます。
水に浸かった車は、外からの水圧でドアが開かなくなります。割れるのは側面のガラスで、フロントガラスは合わせガラスなので割れません。グローブボックスの奥ではなく、座ったまま手が届く場所に置いてください。
119番も家族への連絡も、スマホが生きていることが前提です。水に落とすと沈んで探しようがなくなるので、浮く型かどうかがそのまま連絡手段の有無になります。入れたまま操作できます。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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大分市の8か所は、全部が「何かの下」
| 場所の名前 | 路線名 | 住所 |
|---|---|---|
| 下郡地下道 | 下郡東西大通り線 | 下郡南1丁目1003 |
| JR日豊本線志村ガード下 | 志村北8号線 | 志村1丁目1020 |
| 国道10号下川床地下道 | 川床5号線 | 中戸次6106-2 |
| 滝尾橋東日豊線・豊肥線ガード | 滝尾橋下郡線 | 大字下郡 |
| 広瀬橋アンダーパス | 下郡宮崎堤防線 | 大字津守 |
| 府内大橋アンダーパス | 畑中豊府線 | 大字羽屋 |
| 乙津港町ガード下 | 乙津・三川新町線 | 乙津港町 |
| 下判田国道10号南バイパス下 | 中判田戸無瀬線 | 大字下判田 |
地下道が2つ、ガード下が3つ、アンダーパス(下をくぐる道)が2つ、バイパスの下が1つ。8か所とも、線路か橋か国道の下をくぐる道です。
1か所ずつ付いている説明表のPDFを見ると、備考の欄が埋まっているのは3か所だけ。下郡地下道・志村ガード下・下川床地下道に「排水ポンプあり。冠水の注意喚起標識あり。」と同じ文が入り、残る5か所は空欄です。
備考が空欄でも「設備が無い」とは限りません。この欄は書かれていることしか分からない欄です。

大分県のリストだけ、ふりがなが振ってある
説明表を開いて、他県と違う点が1つありました。大分県の様式は、路線名と場所の名前にふりがなが振られています。京都・和歌山・宮崎・鹿児島・佐賀・福岡・熊本、どれを見てもルビはありません。大分県だけです。
おかげで、読み方に迷う地名が公式に確定します。下郡は「しもごおり」、川床は「かわどこ」、中判田は「なかはんだ」、戸無瀬は「とむせ」、下判田は「しもはんだ」、畑中豊府は「はたけなかとよふ」。
読者
読み方が分かると、何かいいことがありますか
道路情報や防災放送で地名を耳で聞いたとき、地図の上のどこなのかがすぐ結びつきます。「しもごおりちかどう」と言われて下郡地下道だと分かるかどうかは、雨の夜には意外と大きい差になります
市のリストには、国に無い8か所がある

大分市の道路維持課が出している「局地的豪雨道路冠水予想箇所」は16か所。市の説明は「過去に道路の冠水被害があった情報を基に、局地的豪雨いわゆるゲリラ豪雨等によって、特に冠水する可能性が高い箇所」です。路線名で照らし合わせると、国の8か所は全部ここに入っていました。市だけに載るのは次の8か所です。
| 名前 | 路線名 | 場所 |
|---|---|---|
| 桃園公園東 | 市道 寺崎11号線 | 寺崎2丁目 |
| 中央清掃事業所前 | 市道 下郡宮崎大通り線 | 大字片島 |
| 木佐上ガード下 | 市道 赤井線 | 大字木佐上 |
| 木佐上広域農道ガード下 | 臼津関広域農道 | 大字木佐上 |
| 浜橋東交差点南 | 市道 汐見竹下線 | 大在浜 |
| 高江中央公園前 | 市道 高江ニュータウン1号線 | 高江中央 |
| 新日鐵正門交差点南 | 市道 高城駅通り線 | 大字西ノ洲 |
| 野津原辻原農道 | 大分中部地域広域農道 | 大字辻原 |
目を引くのは広域農道が2本入っていることです。臼津関広域農道と大分中部地域広域農道。国のリストは市道・県道・国道の区分しか持たないので、農道はそもそも入りようがありません。
もう1つ、同じ場所なのに名前が違うところがありました。国が「国道10号下川床地下道」と呼ぶ箇所は、市のリストでは「白滝橋アンダーパス」です。路線名がどちらも市道川床5号線、場所がどちらも大字中戸次なので、同じ道です。国の呼び方で検索しても市のページには当たりません。
標高は2.4メートルから108メートル

16か所の住所を国土地理院の標高データで引きました(木佐上は2か所が同じ住所なので、住所としては15になります)。
いちばん低いのは寺崎の2.4メートル、次が乙津港町と西ノ洲の3.4メートル。海に近い側です。いっぽうで片島42.0メートル、木佐上43.2メートル、高江中央45.9メートル、中戸次69.8メートルと続き、いちばん高いのは野津原の辻原で108.0メートルでした。
幅は105.6メートルあります。同じ手順で調べた佐賀市は2.1メートル、和歌山市は0.5メートルでしたから、大分市は散らばり方が大きいほうです。「低い土地だけ気をつければいい」という話ではありません。まわりから水が集まってくる形かどうかのほうが効きます。
標高は住所検索で得た代表点の値です。同じ町名のなかでも場所によって上下します。市が「寺崎2丁目」と書いている場所は、そのままでは住所検索に当たらず「寺崎町二丁目」で引き直して一致させています。

大分市の内水の地図は、重要事項説明の対象ではない
大分市は、雨水が川へ流れ込めなくなって道路や家が浸かる「内水氾濫」の想定図を、排水区ごとに順番に公表しています。今のところ8つ(中部・南部・稙田・滝尾・乙津・判田・高松・松岡)が出ています。
想定している雨の強さは、市の説明にこう書いてあります。
大分市における想定最大規模降雨の1時間あたりの降雨量は140(mm/hr)としています
そしてこの図の位置づけについて、市はこう断っています。
大分市の内水浸水想定区域は、水災害の被害軽減や安全の確保等について定める水防法の第14条の2に基づき、降雨量を想定最大規模降雨としています
今回公表しました「内水浸水想定区域図」は、不動産取引時に義務づけられている重要事項説明の対象項目ではありませんが、水害リスクを把握していただくためにも、周知のご協力をおねがいいたします
ここが不動産の話につながります。同じ「内水の地図」でも、和歌山市のものは水防法第15条第3項に基づくハザードマップなので、宅地建物取引業者が重要事項説明で説明しなければなりません。大分市のものは第14条の2の区域図で、説明の義務がかかりません。
つまり、家を買うときに不動産会社から内水の話が出てこなくても、大分市では落ち度ではないということです。自分で開いて確かめる以外にありません。
この住所は浸水しやすい場所ですか
大分市の場合、洪水は洪水ハザードマップ、内水は排水区ごとの区域図と、見る場所が分かれています。自分の住所について1枚ずつ確かめるのは、けっこうな手間です。
住所を入れるだけで、洪水・内水・土砂・地震の指定をまとめて確認できるページを用意しています。
もし車で水に入ってしまったら

地下道もガード下もアンダーパスも、共通しているのは「まわりより低い」ことです。たまった水は上から見ると平らなので、入るまで深さが分かりません。
JAF(ジェイエーエフ)のテストでは、セダンが走れなくなる水深と、ドアが開かなくなる水深がほとんど同じでした。止まった時点で、窓を割る以外に外へ出る方法がなくなります。割れるのは横の窓です。フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーでも割れません。
水深がひざ下でも、流れがあれば大人でも歩けなくなります。50センチより深いときは、無理に移動せず、高いところで助けを待つほうが安全です。
ほかの市はどうなっているか
同じ手順で、ほかの市も1つずつ調べています。リストの書き方が県によって違うので、出てくる答えも変わります。
- 鹿児島市 冠水 どこが危ないの? 県内142か所のうち、遮断機があるのは1か所だけです
- 佐賀市 冠水 どこが危ないの? 10か所のうち6か所が、兵庫町という1つの町にあります
- 宮崎市 冠水 どこが危ないの? 16か所のうち5か所は、地先名が「ポンプ場」です
- 久留米市 冠水 どこが危ないの? 国のリスト9か所は、全部が線路か道路をくぐる道でした
この記事のまとめ
大分市で道路が冠水しやすい場所は、国のリストでは8か所、市のリストでは16か所です。見るなら市のほうです。国の8か所を全部含んだうえで、広域農道2本をふくむ8か所が上乗せされています。
そして市の内水浸水想定区域図は、市自身が「重要事項説明の対象項目ではありません」と書いています。家を買うときに不動産会社から出てこなくても落ち度ではない、という図です。次にやることは、自分の排水区の1枚を開いて家の色を見ることになります。
公式出典
- 国土交通省 九州地方整備局「道路冠水注意箇所リスト【大分県】」(道路防災情報Webマップ)
- 同 個別箇所説明表 大分県-02-001〜008
- 大分市「局地的豪雨道路冠水予想箇所一覧」(土木建築部道路維持課)
- 大分市「内水浸水想定区域図を公表します(想定最大規模降雨)」
- 和歌山市「内水ハザードマップ」(重要事項説明の対象になる例として)
- 国土地理院 住所検索API・標高API
- JAF ユーザーテスト「水深何cmまでドアは開くのか」「何を使えば窓が割れるのか」
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