岡山県で地震が少ないと言われるのは本当です。ただし、少ないのは県内で起きる地震だけです。
地震調査研究推進本部が公開している「岡山県の地震活動の特徴」を読むと、県内の浅い場所で起きた被害地震として名前が挙がっているのは、鳥取県との県境付近を震源とする1711年の地震ひとつです。300年以上、県の真下からの大きな揺れは知られていません。
その同じページに、こうも書かれています。1946年の昭和南海地震では、児島湾北岸や高梁川下流域などの県南部で被害が大きく、死者51人。揺れは県の外から来ていました。
この記事でわかること
- ✓ 県内で発生した被害地震として知られているのは1711年の1件だけ。県内の活断層は「ほぼ0%」が並ぶ
- ✓ 1946年の昭和南海地震(M8.0)では県南部で死者51人・家屋全壊478棟
- ✓ 南海トラフで発生する地震の30年確率は60%〜90%程度以上(すべり量依存BPT(ブラウン運動通過時間)モデル)
県内で起きた被害地震は、1711年のものしか知られていません
地震調査研究推進本部(地震本部)は、都道府県ごとに地震活動の特徴をまとめたページを出しています。岡山県のページで、県内の陸域・沿岸の浅い場所で発生した地震として挙がっているのは1件だけです。
鳥取県との県境付近を震源とする1711年の地震(M6.5〜6.8)。この地震で県内では家屋全壊118棟の被害がありました。それ以降、県内を震源とする被害地震の記録は出てきません。
県外の地震で被害を受けた例のほうがむしろ多く書かれています。平成12年(2000年)の鳥取県西部地震、2016年の鳥取県中部の地震(M6.6)、1927年の北丹後地震(M7.3)。868年の播磨国地震(M7.1)は、兵庫県から岡山県北東部に延びる山崎断層帯・那岐山断層帯の主部北西部区間で起きたとされ、県内でも大きな被害があったと考えられています。
読者
岡山は「晴れの国」で災害が少ないと聞きます。地震もそういうことですか。
地震については、県内で起きる直下型が少ないという意味では合っています。ただし揺れが来るかどうかは別の話です。1909年の宮崎県西部の地震(M7.6・深さ約150km)でも、岡山県内で家屋全壊1棟の被害が出ています。震源が遠くても、深い地震は広い範囲を揺らします。
揺れた瞬間に、部屋の中で起きることを減らすもの
地震のけがの3〜5割は、屋内の家具類の転倒・落下・移動によるものです(東京消防庁)。壁にネジを打てない部屋でもできる手から並べます。
東京消防庁の実験では、L型金具で壁に直接ネジ止めするのが最も効果が高いとされています。賃貸で壁に穴を開けられない部屋での代わりがこれです。家具の両端の側板部を、できるだけ奥で突っ張ります。天井側にも強度が要ります。
突っ張り棒だけだと効きが落ちます。同じ資料が、ポール式にはストッパー式や粘着マット式の併用をすすめています。マット単独でも効果は小さいので、上の棒と2つで1組と考えてください。
お湯でも水でも作れて、袋のままおにぎりの形になります。断水すると鍋も食器も洗えません。洗い物の出ない形を先に入れておくと、水の減り方が変わります。
飲料水は1人1日3L。4人家族の1週間分で84L=2Lボトル42本なので、6本入りだと7ケースぶんです。5年保存タイプなら入れ替えの手間が減ります。
※ 本記事には広告(アフィリエイトリンク)が含まれます。紹介している商品は、記事の内容に関連するものを編集方針にもとづいて選んでいます。Amazonのアソシエイトとして、おかあさんのおうちは適格販売により収入を得ています。
県内の活断層には「ほぼ0%」が並びます
地震本部は主要な活断層について、今後30年以内に地震が起きる確率とランクを公表しています。岡山県周辺の内陸の活断層は、次のようになっています。
| 活断層 | 想定マグニチュード | ランク | 30年以内の発生確率 |
|---|---|---|---|
| 那岐山断層帯 | 7.3程度 | A | 0.06%〜0.1% |
| 山崎断層帯主部(北西部区間) | 7.8程度 | A* | 0.2%〜2% |
| 山崎断層帯主部(南東部区間) | 7.3程度 | Z | ほぼ0%〜0.005% |
| 鹿野-吉岡断層 | 7.2程度 | Z | ほぼ0% |
| 草谷断層 | 6.7程度 | Z | ほぼ0% |
| 日南湖断層 | 6.7程度 | X | 不明 |
| 岩坪断層 | 6.5程度 | X | 不明 |
ランクは地震本部が使っている相対評価で、S・Aが高いほう、Zが低いほう、Xは確率が算出できないものです。岡山県の周辺はZとXが多く、Aがついているのも0.06%〜2%の帯にとどまります。
活断層の面から見るかぎり、岡山県は確かに静かな場所です。
「Xランク=安全」ではありません。Xは確率が不明という意味です。日南湖断層と岩坪断層はどちらもXで、M6.5〜6.7の地震を起こしうると評価されています。
それでも1946年の南海地震で、県南部に死者51人が出ています
地震本部の同じページには、海溝型の地震についてこう書かれています。南海トラフ沿いで発生する大地震のうち、四国沖から紀伊半島沖が震源となった場合、岡山県内はたびたび被害を受けてきた、と。
もっとも新しい例が1946年の昭和南海地震(M8.0)です。児島湾北岸や高梁川下流域などの県南部で被害が大きく、死者51人、家屋全壊478棟という記録が残っています。
児島湾北岸も高梁川下流域も、干拓地と川がつくった低い土地です。県の真下に断層が無くても、遠くの海で起きた地震の揺れは、こういう地面でとくに大きくなります。地震が少ない県で被害が出るとき、場所はだいたい決まっているということです。
読者
岡山県で家を探すなら、どこを見ればいいですか。
県や市の単位ではなく、その敷地の地面を見てください。同じ市の中でも、台地の上と旧河道・干拓地では揺れやすさが変わります。住所を入れて地盤と揺れの確率を確認できる無料のツールがあります。

南海トラフの30年確率は60%〜90%程度以上
岡山県のページに載っている海溝型地震の確率は、内陸の活断層とは桁が違います。
| 地震 | 想定マグニチュード | ランク | 30年以内の発生確率 |
|---|---|---|---|
| 南海トラフで発生する地震 | 8〜9クラス | Ⅲ | 60%〜90%程度以上(すべり量依存BPTモデル)/20%〜50%(BPTモデル・ケースⅢ) |
| 日向灘のひとまわり小さい地震 | 7.0〜7.5程度 | Ⅲ | 80%程度 |
| 安芸灘〜伊予灘〜豊後水道 | 6.7〜7.4程度 | Ⅲ | 40%程度 |
内陸の活断層が0.06%〜2%なのに対して、海溝型は40%〜90%の帯にいます。岡山県で備えるべき地震は、県の下ではなく南と西の海から来ます。
47の県庁所在地で比べると、岡山は下から33番目です
「地震が少ない県」を数字で並べてみます。防災科学技術研究所が公開しているJ-SHIS(確率論的地震動予測地図・2024年版)から、47都道府県庁所在地の代表点で「今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」を取り直しました。取得日は2026年8月31日です。
今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率(低い順の上位5つと、岡山・比較用)
岡山市の県庁の地点は45.7%で、47の県庁所在地のうち低いほうから33番目でした。神戸(44.5%)より高く、東京(49.5%)とほぼ同じ帯にいます。
低いほうは札幌2.3%、山形4.2%、松江4.9%。ここと岡山では、桁がひとつ違います。
この数字は、国土地理院の住所検索で得た県庁所在地の代表点1か所の値です。市区町村の平均ではありません。同じ市の中でも地形が変われば数字は変わります。当サイトの日本で地震が少ない場所はどこ?プレート・活断層と、同じ東京23区で44%と89%に割れる理由では2020年版で引いているため、同じ地点でも数値が異なります。
「地震が少ない」を家探しの決め手にしない
ここからは私の見方です。岡山県は内陸の活断層という点では静かな土地ですが、それを住まい選びの決め手にするのは危ないと考えています。理由は2つあります。
ひとつは、いま見たとおり県単位の「少ない」が、南海トラフの揺れを説明しないからです。1946年に死者が出たのは県南部で、そこは今も人が多く住む場所です。
もうひとつは、確率が低いとされてきた地域ほど、家具の固定や耐震改修が進んでいないことです。揺れの経験がないぶん、備えが後回しになります。
見るべきなのは県ではなく、敷地の地面と、その家が建った年です。
よくある質問
岡山県はなぜ地震が少ないのですか
県内の陸域・沿岸の浅い場所で発生した被害地震として地震調査研究推進本部が挙げているのは、鳥取県との県境付近を震源とする1711年の地震(M6.5〜6.8)だけです。県内周辺の活断層も、30年以内の発生確率が「ほぼ0%」や0.06%〜2%と低い評価が並んでいます。
岡山県に南海トラフ地震の揺れは来ますか
来ます。1946年の昭和南海地震(M8.0)では、児島湾北岸や高梁川下流域などの県南部で被害が大きく、死者51人・家屋全壊478棟の記録があります。南海トラフで発生する地震の30年以内の発生確率は60%〜90%程度以上(すべり量依存BPTモデル)と評価されています。
岡山市は全国で見ると地震が少ないほうですか
J-SHIS(2024年版)で県庁所在地の代表点を比べると、岡山市は今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が45.7%で、47市のうち低いほうから33番目でした。真ん中より高い位置です(2026年8月31日取得)。
岡山県で家を建てるとき、何を確認すればいいですか
県単位の確率ではなく、敷地の地盤と揺れの確率、それに浸水や土砂の想定を住所単位で確認してください。児島湾北岸や高梁川下流域のような干拓地・低地は、同じ揺れでも大きく振れます。
あわせて読む
日本で地震が少ない場所はどこ?プレート・活断層と、同じ東京23区で44%と89%に割れる理由
出典
地震調査研究推進本部「岡山県の地震活動の特徴」(1711年の地震、昭和南海地震の被害、活断層と海溝型地震のランク・30年確率) https://www.jishin.go.jp/regional_seismicity/rs_chugoku-shikoku/p33_okayama/
防災科学技術研究所 J-SHIS「確率論的地震動予測地図」2024年版・平均ケース・全地震(今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率) https://www.j-shis.bosai.go.jp/
国土地理院 住所検索API(県庁所在地の代表点の緯度経度) https://msearch.gsi.go.jp/
47都道府県庁所在地の確率は、当サイトが2026年8月31日にJ-SHISから1地点ずつ取得して並べたものです。集計条件は本文のとおりで、市区町村の平均値ではありません。
本記事の確率は特定の建物の安全性を保証するものではありません。売買や建築の判断では、自治体の窓口と最新の指定図面を必ず確認してください。


コメント