🗨️「氷見って富山でしょう。能登の大雨とは関係ないのでは。」
同じ時刻に特別警報が出ています。しかも氷見市は、記録の残る9年のうち5年で建物が浸水している町です。
[災害] この記事の要点
金沢地方気象台は2026年8月27日午前6時20分、富山県氷見市に大雨特別警報(警戒レベル5)を発表した。石川県の羽咋市・志賀町・宝達志水町・中能登町にも同時刻に発表されている。時事通信によると、6時20分までの6時間雨量は氷見市で211.0ミリだった。気象庁は石川・富山の両県で線状降水帯が断続的に発生しているとして、直ちに安全を確保するよう呼びかけている。
2026年8月27日 発表
- 氷見市に家がある人、実家がある人
- 氷見市で土地や中古住宅を買おうとしている人
- 富山県西部から石川県へ、今日これから車で移動する予定だった人
- 「能登の大雨」と聞いて自分の県の話ではないと判断した人
この記事でわかること
- 氷見市の住宅地でいちばん低い地点は標高1.1メートルだったこと
- 氷見市の平野は1キロ進んでも1メートルほどしか下がらないこと
- 同じ日に特別警報が出た羽咋市と、浸水した年の数も被害額も倍近く違うこと
この記事でわかること
- ✓ 氷見市の住宅地でいちばん低い地点は標高1.1メートルだったこと
- ✓ 平野は1キロ進んでも1メートルほどしか下がらないこと
- ✓ 同じ日に特別警報が出た羽咋市と、浸水した年の数も被害額も倍近く違うこと
氷見市の住宅地は、いちばん低いところで標高1.1メートル
富山県氷見市に大雨特別警報が出たのは、2026年8月27日の午前6時20分です。石川県の羽咋市・志賀町・宝達志水町・中能登町と同じ時刻でした。6時20分までの6時間に降った雨は、時事通信によると氷見市で211.0ミリ。県境をはさんで、能登の南側と同じ帯の上にあります。
では氷見市はもともとどういう土地なのか。国土数値情報の地価公示(2026年)から市内の住宅地の標準地4地点を取り出して、国土地理院の標高データにかけました。
| 標高 | 所在(住宅地の標準地) | 価格 |
|---|---|---|
| 1.1メートル | 氷見市園字沖宮 | 26,000円/m² |
| 2.2メートル | 氷見市幸町 | 33,500円/m² |
| 5.0メートル | 氷見市窪 | 30,700円/m² |
| 18.9メートル | 氷見市朝日丘 | 28,600円/m² |
いちばん低い園字沖宮が1.1メートル、いちばん高い朝日丘が18.9メートル。同じ市内で17.8メートルの開きがあります。ところが価格は26,000円と28,600円で、ほとんど変わりません。
平野は1キロ進んでも1メートルしか下がらない
低いことより効くのが、そこから先の傾きです。市内でいちばん標高の低い標準地を起点に、その軸上を630メートル間隔で測りました。
| 測った区間 | 距離 | 標高差 | 勾配 |
|---|---|---|---|
| 氷見市の平野 | 5.04キロ | 5.2メートル | 1/969(1キロで103センチ) |
| 千葉県大網白里市の平野(同じ手順で測った値) | — | — | 1/1,071(1キロで93センチ) |
5キロ歩いて5.2メートルしか下がりません。1キロあたりに直すと103センチです。2026年8月に「水が引かない」と全国で検索された千葉県大網白里市が93センチですから、氷見市の平野は、あの大網白里とほとんど同じ傾きしかないことになります。区間のなかでの標高の振れも5.4メートルで、地形としては本当に平らです。
平らだと、なぜ水がこわいんですか。
雨は山から一気に集まってくるのに、出ていくときは傾きのぶんしか進めないからです。入り口は広くて出口が細い、と考えると分かりやすいと思います。
9年のうち5年、氷見市では建物が浸水している
地形の次は実績です。国土交通省の水害統計調査で、2015年から2023年までの9年分を集計しました。
| 項目 | 氷見市 | 羽咋市(同じ日に特別警報) |
|---|---|---|
| 建物の浸水があった年 | 9年のうち5年 | 9年のうち3年 |
| 床上浸水(累計) | 6棟 | 5棟 |
| 床下浸水(累計) | 47棟 | 47棟 |
| 被害額(9年の累計・当年価格) | 約10.6億円 | 約4.5億円 |
浸水があった年は2017・2018・2020・2021・2022の5年です。棟数だけ見ると羽咋市とほとんど同じに見えますが、被害額は2.4倍あります。建物が浸かった数より、道路・農地・水路といった建物以外の被害が積み上がっている形です。
「うちは大丈夫だった」が働きにくい町だと私は見ています
私はこの2つの町を並べて、危ないのは数字の大小そのものではないと考えています。羽咋市は9年で3年、それも床下がほとんどで、統計のうえでは水害の常襲地ではありません。逆に氷見市は9年のうち5年、2年に1度以上のペースで何かが浸かっています。
頻度が高いことは、悪いことばかりではありません。どの道が先に冠水するか、どこまで来たら2階へ上がるか、住んでいる人のなかに記憶が残るからです。今回のように6時間で211.0ミリという降り方をしたときに、その記憶が働くかどうかは大きいと考えます。ただし記憶は「前回はここまでだった」という上限にもなります。前回を超える雨のときに、そこが天井になってしまうことがあります。
特別警報が出たら、すぐ外へ逃げたほうがいいですか。
そうとは限りません。道路がもう冠水しているなら、外を歩くほうが危ないことがあります。建物のなかでより高い階へ移る。それも避難のうちです。
この住所は浸水しやすい場所ですか?
住所を入れると、ハザードマップの指定(浸水・土砂・津波)と地盤の強さをまとめて表示します。無料です。
自分の土地がどちら側かを無料で確かめる手順
市内で17.8メートルの開きがある以上、「氷見市だから」でひとくくりにはできません。次の4つはすべて無料で、住所さえ分かれば今日のうちに見られます。
- 国土地理院の重ねるハザードマップで、洪水・土砂・高潮を重ねて表示する
- 同じ地図の「自分で作る色別標高図」で、家の周りの何メートルかを色で見る
- 氷見市が公開している内水ハザードマップ(川があふれる前に道路や下水から出る水の想定)
- 火災保険の証券で、水災補償が付いているかどうかを確認する
火災保険の水災補償は自動でついてくるものではありません。損害保険料率算出機構の集計では、水災補償の付帯率は2024年度末で61.8%でした。10軒に4軒は付けていない計算になります。
この記事の集計条件
標高と勾配について。国土数値情報「地価公示」2026年のうち用途が住宅の標準地を抽出し、各地点の緯度経度を国土地理院の標高API(5メートルのレーザ測量による標高データ)にかけて標高を取得しました。富山県氷見市は4地点です。断面は最も標高の低い標準地を起点に、その軸上を630メートル間隔で測っています。標準地の位置での値であり、市内すべての土地を表すものではありません。
浸水の記録について。国土交通省「水害統計調査」の市区町村別水害被害(表-3)を2015年から2023年まで集計しました。棟数は建物の被災棟数、被害額はその年の価格です。2024年以降は確報が未公表のため含みません。
生活・仕事にどう効くか
- 今日これからの行動:6時間で211.0ミリ。同じ時刻に特別警報が出た石川県側4市町と同じ帯の上にあり、道路の冠水と内水氾濫が同時に起きうる。
- 家を買う・売る判断:氷見市の住宅地の標準地は標高1.1メートルから18.9メートルまで17.8メートルの開きがある。同じ市内でも土地ごとに条件が違う。
- 火災保険:水災補償は火災保険の自動付帯ではない。9年で5年浸水している町で外していないか、証券で確認する意味がある。
結局どうすればよいか
- 今日は外に出ず、建物の中でより高い階へ移る(避難は屋外へ出ることだけを指さない)
- 自分の住所の標高と浸水想定を、国土地理院の重ねるハザードマップと市の内水ハザードマップの両方で見る
- 火災保険証券で水災補償が付いているかを確認する(付帯していない契約がある)
公式出典
- 気象庁 気象警報・注意報(金沢地方気象台の発表および注記)(2026年8月27日発表)
- 国土交通省「水害統計調査」市区町村別水害被害(表-3)/政府統計の総合窓口(2026年8月27日発表)
- 国土数値情報「地価公示」(2026年)/国土地理院 標高API(2026年8月27日発表)
更新履歴
- 2026年8月27日 初版を公開
※本記事は2026年8月27日時点で公表されている情報にもとづきます。数値・制度・進路などは今後変わる可能性があるため、最新の内容は各公式発表をご確認ください。


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