神戸市の小学校162校のうち61校は、すでに1学年1〜2クラスしかない小規模校です。ただし同じ小規模校でも、数年後に子どもが戻ってくる学校と、統合の話が始まる学校に分かれていて、その分かれ目は学校の中ではなく、進学先の中学校区に何校の小学校が並んでいるかにありました。
引っ越し先の学校が小さいこと自体は、いいことも悪いこともあります。決まっていないのは、その学校が5年後もいまの形で残っているかどうかのほうです。
先に結論
- 神戸市の基準は小学校が11学級以下で小規模校。2025年5月1日時点で162校中61校=38%が該当する
- 市が小規模校でまず検討するのは統合ではなく「校区変更・希望選択制」。統合はその次に置かれている
- 61校を進学先の中学校区で仕分けると、29校は同じ中学校区に12学級以上の小学校がある(人が戻せる型)。27校は中学校区の小学校が全部小規模(統合が検討される型)
- 実例は須磨区の横尾小。2024年5月の11学級から2025年5月には14学級に戻っている。隣の妙法寺小は24学級で約3倍
- 小規模校の割合は長田区が13校中11校、東灘区は14校中0校。同じ市内で差が大きい
- 内見の前に見るのは学校の評判より、指定校とその進学先の中学校区に何校あるか
「大規模校は荒れる」で小さい学校を選ぼうとした人がいた
2024年5月、Yahoo!知恵袋に、2つの小学校から選べる地区に住んでいるという方が質問を出しています。Aは1学年2クラスで2年ごとにクラス替え、Bは1学年4〜5クラスで毎年クラス替え。大規模校は落ち着かなくて荒れる印象があるので小さいほうがいいのかな、という相談です。閲覧2,534件、回答は5件付きました。
回答は割れました。ベストアンサーは子どもの性格によるという立場で、中学に上がるときが分かれ目だと書いています。小規模校から進学すると周りが知らない子ばかりになる、というのが理由です。ほかに、大規模校は個性が目立たなくて済む、小規模校は教員全員で子どもを見てくれる、結局は学校ごとに違うから見に行くしかない、といった回答が並びました。
5件とも、その学校がこれからどうなるかには触れていません。ここが空いています。学校の規模は、いま何クラスあるかという話ではなく、数年で動く数字だからです。
神戸で1学年1〜2クラスの小学校は61校ある
神戸市は学校の規模に線を引いています。小学校は11学級以下が小規模校、12〜24学級が適正規模校、25学級以上が大規模校。中学校は8学級以下が小規模校です。
この学級数には特別支援学級が入りません。市が公開している学級数のエクセル(2025年5月1日現在)を通常学級だけで数え直すと、小学校162校のうち小規模校は61校、大規模校は18校になりました。市が公表している61校・18校とぴったり一致します。特別支援学級を含めて数えると36校になってしまうので、ここは数え方を合わせないと話が噛み合いません。
61校のうち28校は、通常学級が6学級以下です。1学年1クラスで、6年間クラス替えがないという意味になります。
児童数のピークは1981年度の133,077人で、2023年度にはその約半分まで減りました。減り方は今も続いています。市全体の児童数は2021年5月の72,967人から2025年5月に66,855人へ、4年で6,112人減りました。
面白いのは、児童が減っているのに学級の総数は増えていることです。2024年5月の2,832学級が2025年5月には2,849学級。35人学級が2025年度に小学6年生まで行き渡ったためで、同じ児童数でもクラスが割れやすくなりました。学級数で測る小規模校は本来なら減りにくくなっているはずなのに、それでも55校から61校へ6校増えています。
学校が小さくなると、廃校より先に学区の線が動く
親が心配するのは「うちの子の学校がなくなるのでは」という一点だと思います。ところが神戸市が2023年6月に決めた基本方針を読むと、順番が違います。
小規模校への対策として市が挙げているのは、上から順に「校区変更・希望選択制」「学校統合」「小中一貫の義務教育学校への移行」、どれも難しい場合に「合同授業等の学校間交流」。統合は2番目です。
そして、どれを選ぶかの条件が方針に書かれています。校区変更・希望選択制は隣接校が適正規模校か大規模校である場合に検討する。学校統合は隣接校が適正規模校か小規模校である場合に検討する。
つまり住所は動いていないのに通う学校の範囲が変わる、というのが最初に来る変化で、学校がなくなるのはその次です。引っ越し先を学校で選んだ人にとっては、廃校より校区変更のほうが先に当たる確率が高い、ということになります。
同じ小規模校でも、隣に並ぶ学校で行き先が違う
方針の条件が「隣接校がどうか」なら、隣を数えれば型が分かります。神戸市が学校規模の話を進める単位は中学校区です。実際に市は、横尾小と妙法寺小について「ともに横尾中学校へ進学する両校にとって」と書いていますし、検討中の案件も「竜が台中学校区の学校規模適正化」という名前が付いています。
そこで、市の校区一覧から小学校と進学先の中学校の対応を取り出し、小規模校61校を中学校区ごとに仕分けました。

29校は、同じ中学校区に12学級以上の小学校があります。方針どおりなら、校区変更や希望選択制で人を回す相手がいる型です。北区の有馬小は通常3学級23人しかありませんが、同じ有馬中学校区にはありの台小の12学級があります。
27校は、同じ中学校区の小学校が全部小規模でした。西区の押部谷中学校区は高和・押部谷・北山・月が丘の4校がそろって6学級です。長田中学校区も御蔵6・真陽9・真野6・長田南11の4校で、12学級以上が1校もありません。回す相手がいないので、方針では統合の側に入ります。
残る4校は、中学校区に小学校が1校しかありません。北区の唐櫃と大沢、長田区の丸山ひばり、西区の神出です。組む相手そのものがいない型で、市の方針では義務教育学校への移行か学校間交流が残ります。
この仕分けは、市が実際に動かしている案件と食い違いません。市が「竜が台中学校区の学校規模適正化」として検討しているのは竜が台小6学級と菅の台小8学級で、どちらも小規模。2024年10月16日の朝9時35分から竜が台小で始まった保護者説明会は、2025年12月22日までに4回開かれ、2025年5月には3校の代表者による検討委員会も立ち上がりました。それでもまだ結論は出ていません。決まるまでに年単位の時間がかかる、というのはここから読み取れます。
1年で11学級から14学級に戻った学校がある
須磨区の横尾小学校は、2024年度に1年生が1学級だけになり、計11学級で小規模校になりました。市の資料には、このままだと2029年には全学年が1学級になる見込みと書かれています。
隣の妙法寺小学校は逆でした。児童が増え続けていて、当時で横尾小のおよそ3倍。2027〜2028年をピークにさらに増える見込みで、今度は教室が足りなくなる心配が出ていました。
同じ横尾中学校区にある2校が、片方は減りすぎ、片方は増えすぎ。市はここで統合ではなく就学希望選択制を選びました。妙法寺小学校区に住む子どもが、希望すれば横尾小学校へ通えるようにする制度です。2024年8月に学校運営協議会へ説明し、9月3日と4日に保護者説明会、10月25日に校区調整審議会。実施は2025年4月からでした。市のページには、横尾小学校区の保護者や地域から、妙法寺小学校区の子どもたちにぜひ横尾小へ来てほしいという声をもらった、と書かれています。
エクセルで前後を並べると、こうなりました。
| 学校 | 2024年5月 | 2025年5月 |
|---|---|---|
| 横尾小学校 | 11学級・256人 | 14学級・265人 |
| 妙法寺小学校 | 24学級・749人 | 24学級・783人 |
横尾小は11学級から14学級です。ただし、この3学級の増加を制度の効果だと言い切ることはできません。2025年度は35人学級が6年生まで行き渡った年でもあり、市全体でも学級の総数が17増えています。市も因果を公表していません。ここで言えるのは、制度が始まった直後に横尾小が小規模校の線を越えた、という事実までです。
それでも、隣に大きい学校がある小規模校は数年で形が変わりうる、という実例にはなっています。
「古い街だから小さい」ではありませんでした
小規模校が多い区は住宅が古いからではないか、と考えて確かめました。国土交通省の不動産取引価格情報から、神戸市内で成約した中古の戸建て(住宅地)の建築年の中央値を区ごとに出し、小規模校の割合と並べたものです。
結果は外れました。東灘区は建築年の中央値が2003年で小規模校0%、ここは合います。ところが灘区は1996年で7.7%、西区は1995年で44.8%。建築年が1年しか違わない2つの区で、小規模校の割合が6倍ちがいます。兵庫区は西区とほぼ同じ1995年で37.5%、中央区は1991年と古いのに11.1%でした。
私は、これは街の古さではなく、その学校区に何世帯ぶんの住宅が入る余地があるかの話だと考えています。同じ築年数の家が並んでいても、建て替えや分譲でまとまった戸数が入れ替わる地区と、区画がそのまま残る地区では、子どもの数の動き方が違います。だから「古い街だから避ける」という選び方は当たりません。当たるのは、隣に並ぶ学校を1つずつ数えるほうです。
私はこう見ています
学校の規模を、良い悪いで選ぶ話にしないほうがいいと考えています。市が挙げている小規模校の課題はクラス替えができないこと、行事や習熟度別の授業に制約が出ること。大規模校の課題は一人ひとりの活動機会が取りにくいこと、教員が全員を把握しにくいこと。どちらも本当のことで、うちの子にどちらが向くかは家庭の判断です。
家を決める側にとって効くのは、そこではありません。小規模校であること自体はリスクではなく、その学校が「回す相手のいない小規模校」かどうかがリスクです。隣に大きい学校があれば、選択肢が増える方向に動きます。中学校区の小学校が全部小規模なら、動くのは統合の方向です。統合になれば通学路が変わり、卒業までに校舎が変わることもあります。
そしてこの見分けは、不動産会社に聞いても出てきません。物件広告に載るのは学校名と徒歩分数までで、その学校が何学級かも、同じ中学校区に何校あるかも書かれていないからです。自分で数えるしかない代わりに、公開されている資料だけで数えられます。
引っ越し先を決める前に見る3つ
1. その住所の指定校を先に確定させる
学校名は町名では決まりません。神戸市の校区一覧は番地単位で書かれていて、同じ町名でも学校が割れる行があります。物件を見に行く前に住所で引いておくと、あとで前提が崩れません。
全国の市区町村に対応。学校名からの逆引きもできます
2. 指定校と、同じ中学校区の学校の規模を数える
指定校が決まったら、その学校の学級数と、同じ中学校区にある小学校の学級数を見ます。神戸市なら「神戸市立学校園 学級数・児童生徒数」という表が毎年公開されていて、学校ごとの学級数と児童数が載っています。他の市区町村でも、教育委員会のページか学校要覧に同じ表があります。
見るのは3つだけです。指定校が11学級以下か。同じ中学校区に12学級以上の小学校があるか。その中学校区に小学校が何校あるか。
区によって当たりやすさが違うので、神戸市内なら先にこの図で見当を付けられます。

長田区は13校中11校が小規模校ですが、児童の減り方は5年で7.6%と真ん中です。もう小さくなりきっているからです。これから動くのは西区の15.2%減と北区の12.2%減で、この2区は今は適正規模でも数年で線をまたぐ学校が出ます。東灘区は小規模校が0校、大規模校が7校でした。
3. 教育委員会に、いま検討中の案件があるか聞く
数えて型が分かっても、実際に動くかどうかは市が決めます。神戸市は検討中の案件と実施が決まった案件をページで公開していて、2026年8月時点では竜が台中学校区と桜の宮中学校が検討中、横尾小・妙法寺小と八多学園・鹿の子台小・北神戸中の就学希望選択制が実施済みです。桜の宮中学校については、2026年3月に保護者へ統合計画案が示され、その後2回の説明会が開かれました。
公開されていない段階の話は電話で聞くしかありません。市区町村の代表番号にかけて「就学予定の学校について聞きたい」と伝えれば、教育委員会につないでもらえます。学区の調べ方そのものは引っ越し先の学区の調べ方3つにまとめてあります。中学校で他の小学校と合流するかどうかを気にしている方は、小5で転校させるのはかわいそう?のほうが近い話をしています。
学校を先に決めたら、次は住むところ
学校の型が分かったら、その校区で借りられる部屋・買える家があるかを見ることになります。校区は番地単位なので、「この学校区の中で」という条件は物件サイトの検索条件には入れられません。町名まで絞ってから探すことになります。
写真と間取りで探せます。内見前に住所で学区を確認しておくと二度手間になりません
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開いた時点で神戸市が入っています。町名まで絞れます
この記事の数字の出どころ
- 学級数・児童数: 神戸市「神戸市立学校園 学級数・児童生徒数」(2021年・2024年・2025年の各5月1日現在)。本文の学級数は特別支援学級を除く通常学級で数えています。小規模校61校・大規模校18校は市の公表値と一致することを確認しました
- 学校規模の基準と対策の順番: 神戸市「小中学校の規模適正化に向けて」(2026年7月15日更新)。基本方針は2023年6月策定。なお同じページ内で1981年度の小規模校数が本文と表で食い違っているため、その年の校数は本文に使っていません
- 中学校区ごとの仕分け: 神戸市が公開している校区一覧(小学校区と進学先の中学校の対応)を集計したもの。学級数は2025年5月1日、校区一覧は2025年12月時点で、基準日がずれています。義務教育学校2校の前期課程は小学校とみなして数え、校区一覧に載っていない分校1校は仕分けから外しました
- 横尾小・妙法寺小、八多学園・鹿の子台小・北神戸中、竜が台中学校区、桜の宮中学校の経過: 神戸市教育委員会の各ページ
- 建築年の中央値: 国土交通省「不動産取引価格情報」より神戸市9区の宅地(土地と建物)・住宅地の成約。売れた家の記録であって、その区に建っている家全体の統計ではありません
- 質問と回答: Yahoo!知恵袋(2024年5月23日投稿・回答5件・2,534閲覧)。質問文は要約で、原文は転載していません
学校の統合や校区の変更は、最終的に各市区町村の教育委員会が決めます。本文の仕分けは公開資料からの推定で、市が予定を発表したものではありません。実際の予定は必ず教育委員会に確認してください。


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