結論からいうと、「海外の建物は地震に弱く、日本の建物なら倒れない」とは言い切れません。地震被害を左右するのは国名より、現地の揺れ、地盤、建築年代、構造の種類、壁や接合部の設計、施工品質、劣化の有無です。
2026年8月11日18時46分配信のFNNプライムオンライン(Yahoo!ニュース掲載)は、コロンビア西部のマグニチュード7.4の地震で1,500以上の建物が損壊し、少なくとも80棟が倒壊したと伝えました。大聖堂の塔や空港の天井にも被害が出ています。ただし、映像だけで個々の建物の構造や倒壊原因を断定することはできません。
この記事の要点
- マグニチュード7.4を日本の「震度5強」などへ単純換算することはできない
- 木造・鉄骨造・RC造は、構造名だけで安全性の優劣が決まるわけではない
- 海外で見られる無補強のれんが・ブロック造は、横揺れに弱いことがある
- コロンビアにも耐震規則があり、「海外には基準がない」という話ではない
- 日本の中古住宅は1981年と、木造では2000年も確認の目安になる
最初に注意|マグニチュード7.4は「日本の震度○」ではありません
マグニチュードは地震そのものの規模、震度はある場所での揺れの強さです。震源からの距離や深さ、地盤によって、同じ地震でも場所ごとの揺れは変わります。
さらに、海外で使われることの多いMM震度階は、体感や被害を基にする尺度です。気象庁は、MM震度階と日本の計測震度は、建築様式の違いもあるため1対1で対応づけるのが難しいと説明しています。今回の映像やマグニチュードだけから「日本なら震度5強程度」と決めるのは適切ではありません。
日本と海外の違いを見る前に、4つの建物構造を知る
木造
軽いことは地震時に有利に働きますが、耐力壁の量と配置、柱・梁・土台の接合、基礎への固定が重要です。木造は日本だけでなく北米などでも使われます。
鉄骨造
鋼材は粘り強く変形できますが、梁と柱の接合部、柱脚、ブレースの設計や施工が弱ければ、構造名だけで安全とはいえません。
鉄筋コンクリート造(RC造)
コンクリートの圧縮への強さと鉄筋の引張りへの強さを組み合わせます。柱・梁・接合部の配筋や、1階だけ壁が少ない形などが耐震性に影響します。
組積造
れんが、石、ブロックなどを積んで壁をつくります。鉄筋のない無補強組積造は横揺れに対して脆く、屋根や床との接合が弱いと壁が面外へ倒れる危険があります。
大切なのは、「れんがだから危険」「RCだから安全」と材料名だけで決めないことです。鉄筋やコンクリートの柱・梁で壁を囲う補強・拘束組積造と、古い無補強組積造では、同じれんが壁でも地震時の挙動が大きく異なります。
海外の建物が大きく壊れて見える理由
FEMA(米国連邦緊急事態管理庁)は、無補強組積造について、壁と屋根・床・基礎の接合が弱いものが多く、地震の横方向の動きに弱いと説明しています。一方、現在は中・高地震リスク地域で無補強組積造が新たに使われることは少なく、現代の基準では補強が求められます。
つまり「海外の建物」という1種類があるわけではありません。厳しい耐震規則の下で設計された新しい建物もあれば、基準制定前の歴史的建築、設計者や確認手続きを経ない非公式住宅、増改築を重ねた建物もあります。被害映像では、もともと脆弱だった建物が目立ちやすい面もあります。
コロンビアにも耐震規則があります
コロンビア住宅省は、耐震建築規則NSR-10により建物や構造物の最低要件を定め、現在も更新作業を進めていると説明しています。2023年には、非公式に建てられた無補強または一部補強の組積造住宅の脆弱性を減らすため、AIS 410-23を国の基準として採用しました。
今回の報道から分かるのは被害の規模までです。
倒壊した建物がいつ建てられ、どの基準により、どの構造・地盤条件だったのかは、現地調査を待たなければ判断できません。「コロンビアの基準が弱いから」と原因を決めつけないことが必要です。
日本の住宅は何が違う?1981年と2000年が目安
日本では大地震の被害を受けながら耐震基準が見直されてきました。国土交通省は、1981年5月以前に建てられた建物を旧耐震基準の建物として、耐震診断と必要な改修を勧めています。
木造住宅では2000年も確認の目安です。熊本地震では、新耐震基準でも2000年以前の在来軸組構法の木造住宅に倒壊などが見られました。国土交通省は、2000年に明確化された接合部などの仕様に照らして確認するよう勧めています。
ただし、新耐震基準なら無傷を保証するわけではありません。基準の主な目的は大地震時に人命を守ることであり、地震後も補修なしで住み続けられることとは別です。地盤、建物形状、施工、劣化、過去の増改築でも結果は変わります。
住まいのリスクに対する備え
土地の履歴やリスクを知ったら、次は「起きたときにどうするか」です。最低限そろえておくと動けるものを挙げます。
一から集めると抜けが出ます。まずセットで用意して、家族の人数分と常備薬だけ足すのが早いです。
断水で最初に困るのがトイレです。備蓄で見落とされやすい一方、代用が効きません。
停電時は懐中電灯より、部屋全体を照らせるランタンの方が使えます。電池でも充電でも点くものだと、どちらが尽きても止まりません。
鍵につけて持ち歩けるサイズ。停電や夜道、内見での床下確認にも使えます。備えは「持ち歩けるかどうか」で使用率が変わります。
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中古住宅で見るべき6項目
- 建築確認の時期:1981年6月1日以降か。木造は2000年以前かも確認する
- 構造と工法:木造・鉄骨造・RC造という表記だけでなく、耐力壁や接合部、構造計算・耐震診断の有無を見る
- 確認済証・検査済証:図面だけでなく、完成時の検査を受けた記録があるか確認する
- 増改築履歴:壁を抜いた、大きな窓を設けた、1階を店舗や車庫にしたなど、構造へ影響する変更がないか見る
- 劣化:基礎の大きなひび、傾き、雨漏り、鉄骨の腐食、木部の腐朽・蟻害を確認する
- 地盤と周辺リスク:建物だけでなく、液状化、土砂災害、擁壁、洪水リスクも重ねて見る
建物状況調査(インスペクション)は、取引時点の劣化や不具合を把握する手段です。耐震性については、確認済証・検査済証、耐震基準適合証明書、耐震診断結果など、根拠となる書類も別に確認してください。
購入前・住み替え前に、住所から確認できます
都道府県・市区町村・番地を含む住所を入力すると、洪水・土砂災害・津波・地盤・地震確率・周辺の活断層を公的データからまとめて表示します。登録は不要です。建物自体の安全性は、構造・築年数・劣化・耐震改修歴も別に確認してください。
まとめ
地震で建物が崩れた映像を見ても、「海外だから」「れんがだから」だけでは原因を説明できません。無補強組積造には明確な弱点がありますが、補強の有無、建築年代、接合、施工、地盤によって被害は大きく変わります。
日本の住まい選びでも、木造・鉄骨造・RC造の名前だけで判断せず、1981年と2000年、検査書類、増改築、劣化、地盤を一つずつ確認することが大切です。
出典・確認先
- FNNプライムオンライン(Yahoo!ニュース掲載)「マグニチュード7.4地震で建物が崩れ落ちる“瞬間”」
- 気象庁「震度・マグニチュード・地震情報について」
- 国土交通省「住宅・建築物の耐震化について」
- 国土交通省「新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法の公表について」
- コロンビア住宅省「Construcción sismorresistente」
- コロンビア住宅省「非公式組積造住宅の地震脆弱性低減」
- FEMA「Earthquake Mitigation Planning Guide for Communities」
- 国土交通省「建物状況調査(インスペクション)活用に向けて」
※被害状況は2026年8月11日18時46分配信の報道内容を基にしています。死傷者数や建物被害は今後更新される可能性があります。記事中の画像は構造の違いを説明するイメージで、被災建物を再現したものではありません。


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