結論からいうと、橋本の値上がりは本物です。橋本駅南口の商業地は、2015年の1㎡37.6万円から2025年は95.6万円へ上がりました。
ただし、「県内トップの地価上昇」「橋本が横浜を超える」とまでは言えません。リニアは未開業で、相模原市がいま見据えている時期は2035年以降です。
つまり、すでに使える交通利便性と、10年以上先の将来期待が同じ価格に入っています。ここを分けないと、2億3,398万円の1戸を橋本全体の相場と取り違えます。
この記事でわかること
- ✓ 橋本2丁目の商業地が2015年から2025年に2.54倍になった事実
- ✓ 2025年の+10.5%が「神奈川県内トップ」ではない理由
- ✓ 最上階2億3,398万円が橋本全体の相場を表さない理由
- ✓ 13.7haの整備で決まったことと、2035年以降まで未確定なこと
- ✓ 「横浜を超える」を地価の絶対額で検証した結果

橋本の地価は10年で2.54倍になった
国土交通省の都道府県地価調査を同じ地点でつなぐと、橋本2丁目341番4の商業地は2015年37.6万円/㎡、2020年63.9万円/㎡、2025年95.6万円/㎡です。
10年間の上昇幅は+154.3%。坪に直すと2025年は約316万円です。2015年に1億円だった同じ面積の土地を単純換算すれば、2025年は約2億5,400万円の水準になります。

この95.6万円/㎡は、橋本駅に近い商業地1地点の公的評価です。橋本の住宅地平均でも、実際のマンション成約価格でもありません。
橋本の上昇は2025年だけの急騰ではありません。2016年から2019年は毎年約13%、2020年と2021年も上昇し、2023年から再び2桁になりました。
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+10.5%は神奈川県内トップではない
FRIDAYの見出しには「地価上昇率県内トップ」とありますが、本文は「神奈川県ではトップクラス」です。公的データに合わせるなら、本文側の表現が近いです。
2025年の神奈川県地価調査には、橋本2丁目の+10.5%を上回る地点が58地点あります。商業地と近隣商業地だけに絞っても47地点です。
| 地点 | 2025年の変動率 | 価格 |
|---|---|---|
| 横浜市中区羽衣町2丁目 | +20.0% | 132万円/㎡ |
| 鎌倉市小町1丁目 | +19.6% | 275万円/㎡ |
| 横浜市中区千歳町 | +18.8% | 57万円/㎡ |
| 相模原市緑区橋本2丁目 | +10.5% | 95.6万円/㎡ |
橋本の+10.5%が小さいわけではありません。ただ、順位を「トップ」と言い切ると、地価の強さを説明する前に数字でつまずきます。
2億3,398万円は「橋本の平均価格」ではない
橋本駅徒歩4分のブランズタワー橋本は、2026年6月完成、地上29階、458戸です。東急不動産の公式情報では、29階の106.80㎡・3LDKが2億3,398万円で先着順販売されています。
106.80㎡は約32.3坪なので、坪単価は約724万円。数字は合っています。ただし、これは最上階角部屋1戸の売出価格です。成約済みの平均でも、建物全体の中央値でもありません。
読者
2億円の部屋があるなら、橋本のマンションは全部それくらいですか?
同じ公式ページには36.46㎡・4,358万円、68.38㎡・6,858万円からの住戸もあります。最高額の1戸は市場の上限を示しますが、真ん中は示しません。
2億円台が売り出せる理由は、駅徒歩4分、29階、100㎡超、角部屋という希少条件に、リニア駅への期待が重なるからです。リニアだけを価格の原因にすると、部屋ごとの差が消えます。
リニア開業前に、価格と建物が先に動いた
神奈川県駅が橋本駅付近に置かれる方針は2013年に公表されました。その2年後の2015年から地価を追うと上昇は途切れず、2025年に区画整理の事業計画が認可され、2026年にタワーマンションが完成しました。

いま橋本で買われているのは、現在の駅近だけではなく、将来の時間短縮も含む価格です。相模原市の広報は、開業後に橋本から品川まで約10分、名古屋まで約60分としています。
13.7haで決まったのは「街の骨格」まで
橋本駅南口地区土地区画整理事業は約13.7haです。市は駅まち一体牽引、広域交流、複合都市機能、ものづくり産業交流の4ゾーンを示し、オフィスや商業、交流機能を入れる方向を描いています。
| ゾーン | 市が示す役割 |
|---|---|
| 駅まち一体牽引 | 駅とまちをつなぎ、鉄道施設やオフィスなどを想定 |
| 広域交流 | 国内外から人を迎える交流の核 |
| 複合都市機能 | 子どもから高齢者までを支える都市機能 |
| ものづくり産業交流 | 研究・産業の交流とイノベーション |
一方、市の資料には「施設配置や高さなど、具体的な開発計画に基づくものではない」と注記があります。街の方向は決まりましたが、テナント名、床面積、完成時期まで確定した図ではありません。
2035年以降という時間差が価格先行のリスクになる
相模原市は2026年2月の広報で「2035年以降のリニア中央新幹線開業を見据えたまちづくり」と書いています。2027年開業を前提にした古い説明とは時間軸が変わりました。
地価が上がった事実と、リニアが予定どおりの時期・本数で走ることは別です。開業時期、停車本数、具体施設が変われば、将来期待として上乗せされた部分も評価し直されます。
価格先行には、期待が実現するまで維持費を払い続ける時間があります。マンションなら管理費・修繕積立金・固定資産税、土地なら保有コストが先に発生します。
逆に、在来のJR横浜線・相模線・京王相模原線はすでに使えます。橋本の価格を全部「未完成のリニア頼み」と見るのも正確ではありません。
橋本は本当に横浜を超えるのか
地価の絶対額では、まだ大きな差があります。2025年の橋本2丁目は95.6万円/㎡。同じ地価調査で、横浜市の商業・近隣商業88地点のうち25地点が橋本を上回ります。
横浜市西区南幸1丁目は1,700万円/㎡で、橋本の約17.8倍です。橋本が横浜駅周辺の地価を超えた、というデータはありません。
読者
それなら「横浜から経済機能が移る」可能性もないですか?
一部のオフィスや研究機能が橋本を選ぶ可能性はあります。ただし、市の計画は新しい拠点を作る話で、横浜を抜く数値目標ではありません。
私は、橋本の勝ち筋は「横浜の代わり」ではなく、品川・名古屋と多摩・県央をつなぐ別の結節点になることだと考えています。横浜と同じ物差しで順位を競うより、橋本にしかない移動経路が何社・何人を呼べるかを見るほうが現実的です。
「リニアバブル」をどう読むか
私は、橋本の地価上昇を架空のバブルとは考えていません。10年で2.54倍という公的評価、駅徒歩4分の458戸、13.7haの事業認可まで、現実に動いたものがあります。
ただし、価格の全てを現在の利便性で説明することもできません。2035年以降の開業、具体化前の施設、未確定の停車条件があるからです。
売る側は「リニアが来るから」だけで価格を決めず、同じ築年・面積・駅距離の成約と比べる。買う側は、開業がさらに延びても今の3路線と街だけで納得できるかを見る。この2つが、期待を価格に飲まれない線になります。
よくある質問
橋本駅の地価は2025年に何%上がりましたか
橋本2丁目341番4の商業地は前年比+10.5%です。86.5万円/㎡から95.6万円/㎡へ上がりました。橋本の全地点平均ではありません。
2億3,398万円の部屋はもう売れた価格ですか
2026年8月27日時点の東急不動産公式サイトでは先着順の販売価額です。成約価格ではありません。
リニア神奈川県駅はいつ開業しますか
相模原市は現在、2035年以降の開業を見据えてまちづくりを進めています。確定した開業日としては書けません。
出典
- 国土交通省 国土数値情報「都道府県地価調査」(2015〜2025年、神奈川県データ)
- 相模原市「令和7年 地価調査の概要」
- 相模原市「広報さがみはら 2026年2月1日号」
- 東急不動産「ブランズタワー橋本 物件概要」
- 東急不動産「ブランズタワー橋本 間取り」
- FRIDAYデジタル「タワマン最上階が2億円超…」(記事化の発端。数値は上記一次情報で再検証)
※ 2026年8月27日時点の公表情報です。「リニアバブル」は統計上の正式名称ではなく、開業前に価格が先行する状況を表す記事内の呼び名です。


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