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ミツバチ、戦闘能力ゼロ。

ひーちゃんが、以前から気になっていた空家再生プロジェクトの即戦力募集をスマホで読む。
司法書士、一級建築士、FP、宅建士など、それぞれ独立した専門家が集まって進める仕事。
不動産も建築も好きなひーちゃんが、空き家再生の仕事に興味をひかれる。
資格も学歴もなく専門外だから、自分は役に立てないだろうと引いてしまうひーちゃん。
ある日、ひーちゃんは昔の女性仲間たちと飲みに行く。
今も仕事で活躍する昔の仲間たちが、ひーちゃんの目にはまぶしく輝いて見える。
仲間たちと自分を比べて落ち込むひーちゃんの中に、挑戦してみたい気持ちが芽を出す。
ひーちゃんの挑戦心がふくらみ、当たって砕けろと勢いがつく。
勢いのついたひーちゃんが、気になっていたプロジェクトに応募する。
届いた返事は、何ができるかプレゼンをしに来てほしい、というものだった。
社畜時代にプレゼンの経験はあるが、緊張すると足がガクガクになるひーちゃん。
面談当日、ひーちゃんは輝く昔の仲間たちを思い出し、勢いにまかせて扉を開けようとする。
失礼しますと言うつもりが、ひーちゃんはこんにちは〜と入室してしまう。
扉の向こうでは大勢の専門家が図面や書類を扱い、中央の女性が仕事を指揮している。入口右手前のひーちゃんは、その仕事の圧に青ざめる。
同じ仕事場が、冠をかぶる大きな女王と鋭い昆虫顔のスズメバチたちが忙しく働く世界に変わる。ひーちゃんだけが、本人の顔をした丸く小さなミツバチ。
冠をかぶった大きな女王スズメバチが、仕事を指揮する途中で小さなミツバチひーちゃんを見下ろし、何ができるのか尋ねる。
いつもの本人の顔をしたミツバチひーちゃんが、点目と眉、小さく震える口、汗で焦りを見せ、言葉が出ずにあわあわする。
図面と書類の仕事を続ける大きなスズメバチたちが、鋭い顔で小さな本人顔ミツバチを見てひそひそする。ひーちゃんの緊張の中の見え方。
毒も武器も、呂律さえもない。ミツバチひーちゃん、戦闘能力ゼロ。
大勢の鋭いスズメバチが仕事を進める中、小さな本人顔ミツバチが資料を持ってあわあわとプレゼンする。冠の大きな女王が見下ろしている。
ビルから、小さなミツバチひーちゃんがぶ〜んとしょんぼり飛び出す。玉砕。
玉砕と感じた後、スマホを確認するひーちゃん。返事はまだない。
人間に戻ったひーちゃんが、勇気を出せたことにだけ乾杯する。 白い泡のあるビールを掲げる。 取っ手つきの生ジョッキ。
▶ この日の話、動画でも。