成約済み物件の掲載終了が数日遅れただけでも、意図せず「おとり広告」に該当してしまうことがあります。悪意がなくても行政処分の対象になり得るからこそ、実務でどこに気をつければよいかを、法律の根拠と実際の事例つきで整理しました。
ポータルサイトの入稿・更新作業は、日々の業務の中でどうしても後回しになりがちです。しかし「気づいたら成約済みの物件が掲載されたままだった」という状態は、法律上「おとり広告」とみなされるリスクがあります。「うちは悪気なんてない」という会社ほど見落としやすい、実務上の落とし穴を順番に見ていきましょう。
おとり広告とは、実際には取引する意思のない物件や、すでに取引できなくなった物件を広告し続けることを指します。不動産の表示に関する公正競争規約第21条では、次の3つのケースを明確に禁止しています。

① 存在しない物件の広告
そもそも実在しない物件情報を掲載するケース。集客のためだけに作られた架空の間取り・価格が典型例です。
② 存在するが取引対象になり得ない物件
すでに契約済み・入居済みなど、現実には取引できない状態の物件を掲載し続けるケース。もっとも実務で起こりやすいのがこのパターンです。成約処理と掲載終了作業のタイムラグが原因になります。
③ 存在するが取引する意思のない物件
いわゆる「集客用のダミー物件」として掲載し、問い合わせが来たら別の物件を勧めるケース。意図的に行えば当然アウトです。
おとり広告は景品表示法だけでなく、宅地建物取引業法第32条、そして不動産の表示に関する公正競争規約第21条でも禁止されています。宅建業法に違反した場合は指示・業務停止・免許取消の行政処分の対象となり、さらに6か月以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
ここで重要なのは、「知らなかった」「更新が遅れただけ」であっても、対外的には同じ扱いを受けるという点です。行政や消費者庁は掲載結果だけを見て判断するため、社内での経緯や事情は基本的に考慮されません。

実際にあった措置事例として、横浜市の不動産会社では、契約済み・入居済みとなった賃貸物件が長いもので1か月以上、短いものでも16日間、掲載され続けていたケースが報告されています。悪質な意図の有無にかかわらず、「掲載終了の遅れ」自体が処分対象になり得ることを示す事例です。
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成約が決まった時点で即日〜翌営業日中に掲載終了する。
「まとめて週末に処理する」運用は、繁忙期ほど掲載終了漏れの温床になります。 -
掲載中物件の定期棚卸しをルーティン化する。
週1回など、掲載中物件と成約状況を突き合わせるチェックの仕組みを持つと漏れに気づきやすくなります。 -
複数ポータルへの掲載時は更新の抜け漏れに注意する。
SUUMO・HOME’S・at home など掲載先が複数あるほど、1媒体だけ更新を忘れるリスクが上がります。媒体横断のチェックリストが有効です。
いずれも特別なノウハウではなく、「決めておく」「仕組み化しておく」だけで防げることばかりです。ですが繁忙期など人手が足りない時期ほど、この当たり前の運用が崩れやすくなります。


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